[最終もふ]スローライフ社へようこそ
マンションの廊下がナマケモノたちでいっぱいになったあの日から数日。
ポミイたちは、仲間たち全員が安心して働ける場所を探していた。
そしてついに、街のはずれにぽつんと建つ四階建てのビルを借りることができた。
外観は少し古びているが、広さと天井の高さは申し分ない。
大きな窓からは光がたっぷり差し込み、風も心地よく通る。
「ここなら、全員で働けるね……!」
ポミイは胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。
ナマケモノたちはのそのそとビルの中に入り、四階建てのフロアをゆっくりと探索する。
一階は受付と休憩スペース、二階は作業場、三階は縫い物や包装の作業台、四階は……お昼寝フロア。
全員が好きな場所に落ち着き、微笑みながら互いの顔を見合わせた。
ポミイは窓の外を見ながら、小さく呟く。
「スローライフ株式会社……やっと、ここまで来たんだね」
ケモ男はにっこり笑い、ケモジも小さくうなずいた。
みんなで手を取り合う必要はない。
ただ同じ空間にいるだけで、互いを信頼し、支え合えることを知っている。
箱の中に整列したぬいぐるみを見て、ポミイは目を細めた。
「私たちの会社は、これからだ……」
ビルの壁に反射する夕日が、長い影をつくり、温かいオレンジ色に染める。
小さな会社が、新しい場所で、ゆっくりと、確かに歩き始めた瞬間だった。
株式会社スローライフ誕生記 〜ナマケモノ、会社を作る〜【癒し】 ほねなぴ @honenapi
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