第2話 平民聖女、学院へと入る
《ステラside》
私はあの日、王子様ところ出会った。
私の名前はステラ。
今はステラ・リアライトになってるけど、この名前も聖女になったからで。
どうやら王宮に保管されてる建国時に作られた予言の書に記された『2人の聖女』のうち一人は私らしいかららしいです。
元々スタンピードの戦災孤児だった私は生きるために必死で、何とか食いつないでいくために魔法も使っていた。
それが治癒もできる光魔法。
そんな大変な生活も、ある神父に見られてからは教会の孤児院で生活するようになった。
食べ物と屋根のある建物、それからたくさんの物語。
そこで私は逆境に立ち向かう灰被り姫と勇敢な王子様の物語に魅了された。
お互いに助け合い、時には喧嘩し、時には想い。
最後には結ばれる学園物語。
そんな夢いっぱいの物語に憧れていた私にある手紙が届く。
それは王立魔法学院への入学許可証。
憧れ、変わりたかった私は、お世話になった教会と孤児院への支援を条件に学院へと向かった。
道中いろんな人を助けながら、王立魔法学院のある国の中心――王都へと着いた。
ここに来てからも、時間がないのに昔からの癖で人助けをしていたら、案の定遅刻しそうになって、急いで向かっていたら。
途中でぶつかってしまったフードを被った人に案内された裏路地で、私は王子様に出会った。
青く煌めく銀色の短い髪に、私と同じ蒼い瞳。
それに、私と同じく学院の制服を着た少女。
こういうのもなんだけど、私はその少女に一目惚れしてしまった。
名前はリピア・ノーツ。
王都から片道一月の聖地と禁足地の管理を任せられてる辺境地を統治している。らしい。
私も無理やり勉強で詰め込んだからあんまり覚えてないけど。
けど、彼女を顔を見た時にとっさに思い出した。
運命を感じる不思議な感覚。
そんな彼女も私と同じ光魔法を使えるみたい。
治癒で治してもらったし。
ついでにエスコートも。
優しい。優しすぎる。
本当に貴族なのかと疑いたくなるくらいに。
☆
王立魔法学院に着いた私とリピアさん(本人は呼び捨てでも良いって言ってたけど、そこまではまだ早い気がする)は女子寮の前で別れた。
どうやらいろいろと手続きがあるらしい。
私はカバン一つの荷物を持って寮へと向かう。
そこである少女と出会った。
綺麗にはためくブロンドの長い髪を持ち、私と同じ制服を着た少女。
彼女も学院の生徒っぽい。
「はじめまして、予言の聖女様。私はアニエス・ハイヴェスタ。ハイヴェスタ公爵のご令嬢ですわ。リピアにあなたの案内を任されたわ。」
「は、はいっ。私は片田舎から来ました。ステラ・リアライトです。よろしくお願いします」
私はなれない礼儀作法で挨拶すると、嫌な顔をせずに「えぇ、よろしく。ステラさん」と言われた。
本当は「この、田舎娘が――」とか言われてそうだけど。
被害妄想だといいな。
「あの、リピアさんに任されたって言ってましたけど。それって……」
「あぁ、そのこと」
「はいっ。ごめんなさい。貴族様にこんなこと質問して……」
「別に構いません。それにあなたは予言の聖女。そんなにかしこまらなくてもいいわ。」
「は……、はい……」
「って、言っても難しいわよね。(小声)はぁ、リピアに緊張させないようにって言われてるのに、まったくわたしは……」
「は、はぁ……」
「不思議そうな顔ね」
「えっ、はい。付け焼き刃な知識ですけど、公爵様って王族の次に偉い人って聞いてたので、ちょっと意外で……。ごめんなさい」
「あら、嬉しいわね。別に謝らなくてもいいわ。あのリピアが手を取った人だもの。それだけで私はあなたを信頼しているわ」
「へぇ……。その、リピア……さんとは親しいのですか?」
「えぇ、幼馴染ですもの。それに、――」
彼女――アニエスさん(本人曰く名前で呼んで良いと)によると、リピアさんの領地は別名:聖域辺境と呼ばれていて。
国家神話にも関係する地域で、王族よりは同等に近い下の階級に位置しており、アニエスさんをはじめとした公爵以下の貴族は彼女らより、さらに上の。
ただでさえ雲の上の存在なのに、さらにその上に雲の上の存在がいることが意外だった。
その存在に気に入られるというのは、彼女たちにとっては王族と同じく崇拝すべき存在なのだということ。
言葉にするのは簡単だけど、感情が追いついていない。
何より、私はそのことを『まるで知っている』かのように『理解』してしまったこと。
そんな話をしている間にある集団が見えた。
それは少し霞んだブロンドの長い髪と緑色の瞳を持つ少女の周りを、見惚れるような、王子様のような美少年たちが彼女を囲っていた。
まあ、私はリピアさんを知ってしまったから特に『惚れる』という感情は無いのだけど。
そんな感じで見ていると、中心にいる少女が私を見て『睨んでくる』。
なんだか気持ち悪い。
「あの方は相変わらずですわね」
「えっ。アニエスさんは知っているのですか?」
「えぇ……。彼女はエルミア。シーエル男爵のご令嬢ですわ」
「そうなのですね……」
「あら、なんだか元気ありませんわね」
「えぇ……。なんだか睨まれてしまって」
「あらあら」
そう言って、「後でしばいて起きますわ」とだいぶお嬢様らしからぬ暴言を吐いていたので「そこまでしなくていいです」と言って何とかなだめた。
それから彼女に案内された学院長室で私は「あなたの寮の部屋はリピア様と同室です」と言われてた……。
え……っ!?。
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