第10話 8月24日 兄ちゃんの試合


夏の熱気がまとわりつく柔道場。

そこは古くからある木造の柔道場だ。

畳の青い匂いと、汗の臭いがむっと立ち込める。

窓は大きく開け放たれているけれど、風が入るのはほんの一瞬。

その一瞬の涼しさが、汗で火照った体をすっと冷やしてくれる。


掛け声と畳を踏む足音が響く中、兄ちゃんが相手に組みかかった。

息をのむ刹那、場内の空気が止まる。


ドンッ!

畳に響く大きな音と同時に、兄ちゃんの技が決まった。

審判の手が勢いよく上がる。一本!


観客席から大歓声が湧き上がる。

その瞬間、さっき窓から吹き込んだ風の爽快さと同じように、

胸の奥が一気に熱く、そして清々しくなった。

いつもと違う、かっこいい兄ちゃんがそこに居た。

なんか、そこだけ光った?って思える一瞬だった。

風のタイミングも最高な演出だった。


俺も、かっこよくありたいと思った。


今日の気づき

「暑さも臭いも一瞬忘れるくらい、心を奪う瞬間がある」

 普段は気づかないけど、「かっこいい」ってあるんだ!


Cherish today! Enjoy your adventures and don't look back on the past. Focus on the road ahead and keep moving forward!

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