【博士と助手1】最初の死者


ピッピッピッ


ピー


心電図モニターが終わりを告げた。


「博士、死んじゃだめだ!」


「もうやめろ!博士はもう生き返らない!」


「そんな……死んだ……? 薬は完成したのに……」


「お前は博士と長く研究していたから辛いだろう……。でも何でこんなことに?」


「博士は言ったんだ……」


「博士は何を?」


「博士は言ったんだ! 蘇生薬が完成したから、人の死体で蘇生試験をやろうって!」


「人の死体で蘇生薬の試験だって?」


「そうだよ。死体が手に入らないから、ジャンケンでどっちが死体になるか決めようって」


「博士がジャンケンに負けたのか」


「蘇生薬が完成して舞い上がってたんだよ! どうせ生き返れるから、いいかって」


「博士は試験のために自分で死んだって言うのか!

――そうだ、蘇生薬を使えばいい!」


「無理だ。死後すぐに注射しないと効果がないんだ」


「急げば間に合うだろ! 早く持ってくるんだ!」


「――保管庫のパスワード知っているの博士だけなんだよ!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る