第13話 病みつきな身体と心
俺は最近週に4回ほど朝帰りをする。嫁であるはずの静香は最近何も言ってこない。前までは1回でも朝帰りしたら鬼電とスタンプ、無視したら帰った時に問い詰められ説教など、散々だったのに。しかも、今日なんて明日からしばらく実家に帰ると言ったもんだ。彼女にはモラハラと言う言葉がぴったりだが、残念ながら本人の自覚は全くない。まあ、契約結婚っぽいものだったし、俺は愛しているフリだけで、あいつのことは本当は好きではない。なんで結婚したのかと言われれば、きっと元カノの明菜を忘れたかったからだろう。
高2の夏、俺は彼女に振られた。原因は初めての行為中に、拒絶されたことだった。彼女は俺に対して不満を募らせていたのだろう。無理もない、俺が全てに対して諦めたように、誰にも興味がなく、ぶっきらぼうな扱いをしていたからだ。自分中心と言われて、正直傷つかないわけがなかった。ただ、後悔だけが身体に蓄積して、液と共に出てこないだろうかと慰める日々だけが続いた。転機は去年の冬だった。
「明菜君、俺の近所に引っ越してきたんだよね。顔のパーツが全く変わってなかったから、すぐ気がついた。しばらく見ないうちに、大人になったなぁ」
部活の先輩がなんとなく言ったその言葉に、俺は食らいついた。
「え!?…それって、どこですか」
俺の追いかけが始まった。
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