第9話 異変

気分が落ち着いて当たりを見渡すと、彼の部屋にいた。瞭君のベッドがある。彼がお茶をくんでくれている間に、私は彼のシーツの匂いを嗅いだ。やっぱり仁のシーツとは違う。仁のシーツの香りは、男子にしては珍しいモモのような甘い香りだった。あの匂いが恋しいな…。

「お茶持ってきましたよ~」

「ありがとう」

「ほんっと、明菜さんってミステリアスで魅力的だなって思ってたんですよー、でも彼氏にそんなひどいことをされるなんて、俺ならそんな事絶対させないのになぁ」

「ふふっ、素敵な冗談をするのね」

「冗談じゃないですよ!」

「じゃあ私のこと好きなのね」

上から目線で彼を見る。けど彼にはそれは鋭さより美しさが勝ってしまったようだ。顔を赤らめる。しかしどうも様子がおかしい。

「い、いや…そうでもなくて…」

あれ…?

実は、俺…

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