第7話 堕落

私は静香に最早仁の浮気相手だと言ったようなものだったが、何も後悔はしていなかった。

実際静香は、仁の性格にも身体にも惹かれたわけじゃない。本当の目当ては、彼のお兄さんが好きだったから。

なんで兄を狙わずに弟を思い続けたかって?

静香の先輩Aは、仁の兄の彼女だった。

付き合っていた2人のお似合いさに、彼女は絶望した。だから、顔が似ている弟仁にその姿を重ねていた。

そのために全身を整形するのはどうかと思ったが、彼女の執着具合からしてそうなってしまうのは必然だっただろう。


これで何も言われない。

私達はほとん毎日体を重ねた。自分のあなが彼のかたちに変わってしまいそうだった。そのくらい彼に依存していた。でも、私、というかそもそも彼も私に恋情は抱いていない。だって、あんなことを言ってしまった私にもう一度なんてあり得ない。きっと仁は私を身体の欲を解消するだけの道具としか思ってないだろう。


さて、静香は泣きそうになりながらリビングを後にしたし、しばらく帰ってこないだろうから、また挿れてもらうとするか…


そう言って彼女は服を脱いだ。

ひっそりと近づく影に気が付かずに。

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