第6話 静香
静香って、…ああ、ああ
神様、なんて________
なんて都合がいいことなのかしら。
私は仁をリビングの外に出してもらって、ふたりで腰掛けた。棚に飾られた黄色いヒヤシンスがこちらをみている。
「ねえ、貴方、………」
「なんですか…?」
「高校時代、付き合ってるのに関わらずひっそりと仁を思ってた部活の後輩よね?」
「東 静香」
「な、なんでそれを知ってるんですか…?貴方は私と接点なんてなかった」
「いや、あったわよ。祐希と仲が良かったじゃない。」
簡単に言うとこうである。
私と仁は付き合ってた。その間静香は仁が好きだった。その悩みをいつも聞いていた祐希。私明菜と祐希は親が大学の同級生同士で仲が良かったから、腐れ縁で、静香の話は何度も聞かされた。仁と別れたあとは、そんな彼がやんちゃな性格ながら私を励ましてくれた、…………私を好きになったから。
「貴方、見た目はすっかり変わったけど、バレバレなのよ。」
だって________
「お金持ちだからって整形して、お金を理由に仁と付き合おうとした。もちろん私にバレないように、こっそり。仁は忘れっぽいから、顔が変わった貴方をすっかり違う人だと認識したようね。」
彼女の顔が真っ青になる。
「まって………」
「い、言わないでください………!!」
私は勝ったと思った。
「じゃあ、私と仁に何かあっても、絶対何も言わないでね」
「仁、終わったよ。」
私のモノを、渡すもんか。
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