第2話 二人きりの飲み会

//SE 2話の最後まで、ドイツ料理居酒屋をイメージさせる店内BGMが小さめの音量で流れる

//SE 客の控えめな話し声


//テンションを無理やり上げている感じで

「で、ではっ。六年ぶりの再会を祝しまして……」


「かんぱーいっ」


//SE グラスを突き合わせる音

//SE お酒を飲んで喉を鳴らす音


//おいしそうに

「ふぅ。やっぱり、仕事終わりの一口目は最高ですよねぇ」


//SE グラスをテーブルに置く音


「せ、先輩? なんだか驚かれているようですが、どうかしましたか?」


「アルコールに強いようには見えないから意外だ、と?」


「い、いえ。わたし、お酒には強くないんです」


「どちらかと言えば、すぐ酔っちゃう方でして……」


「ただ、職場の付き合いで飲むことが多いので、こういう場でのポーズには慣れていると言いますか……」


「あっ、でも別にお酒は嫌いじゃないんです。むしろ、おいしいお酒を飲むのは好きなくらいなので、気を遣わなくて大丈夫ですよ」


//SE 千尋がお酒を飲んで喉を鳴らす音


「そ、それに。今日は先輩との再会記念日なんですから……」


//テンションを上げようとしながら

「お、思いっきり楽しみましょうねっ」


「せ、先輩も遠慮なさらず。さあ、メニューをどうぞ……」


//SE 千尋がメニューが書かれた紙を捲る音


「ちなみに、ここはドイツ料理のメニューが特にオススメです……。店長のこだわりが詰まっていて、どれも絶品なんですよ」


「気になるメニュー、ありましたか?」


「なるほど、おすすめのブルスト盛り合わせですか。いいですね」


「ブルストはドイツ語でソーセージのことです。ドイツのソーセージは種類が豊富なので、盛り合わせでいただくと色んな味が楽しめるんですよ」


「ますます食べたくなっちゃいましたか? それは良かったです。では、さっそく追加しましょう……」


//SE 呼び鈴を鳴らす音


//緊張している感じで

「す、すみません。おすすめのブルスト盛り合わせを、一つお願いします……」


(注文を終え、千尋はグラスを手に取る)


//SE 千尋がお酒を飲んで喉を鳴らす音


「ふぅ……。ここのお酒はわたしでも飲みやすくておいしいので、つい手が伸びてしまいます……」


「このお店にはよく来るのか、ですか?」


「は、はい。ここは、わたしの知ってる居酒屋さんの中では一番のお気に入りなんです」


「先輩も、素敵な雰囲気だと思いませんか?」


「照明は暗めで、インテリアがとってもオシャレで、心地よい音楽が流れてて……」


(千尋は数秒の間店内BGMに耳を澄ませ無言になる)


「あと、今いる席みたいに個室があるので落ち着いて過ごせるのもポイントですね」


「慌ただしい日常を、少しだけ忘れさせてくれると言いますか……」


「社会人になって、理不尽なことに直面する機会が多くなりましたから、心を癒すことができる場所って大事だと思うんです」


「あ。共感してもらえて、嬉しいです……」


「やっぱり、先輩もお仕事お忙しいんですか?」


(あなたは仕事のことを話す)


//SE 千尋がお酒を飲んで喉を鳴らす音


//ここから、酔いが回って口調が砕け始める

「そ、それはキツイですね……。というか、わたしなんかよりずっと大変そうじゃないですかぁ」


//SE 千尋がお酒を飲んで喉を鳴らす音


//悲しそうな感じで

「ううぅっ。わたしより早く社会に出てから、たくさん苦労をしてこられたのですね……」


「え。一つしか年が違わないのに大げさですって?」


//SE 千尋がお酒を飲んで喉を鳴らす音


//あなたを心配する気持ちが爆発している感じで

「この際、細かいことはいいのです。とにかく、わたしは先輩が辛い思いをしているのが悲しいのですぅ」


//SE 千尋がお酒を飲んで喉を鳴らす音


//張り切る感じで

「こうなったら、今日は先輩の疲れが吹き飛ぶようにおもてなしして差し上げますよぉ」


//楽しそうに

「あっ、ちょうど料理が来たみたいですね。先輩、どうぞ。見てくださいっ」


「この店のおすすめ盛り合わせは毎回種類を変えてくれるので、来るたびに知らないソーセージが出てきて面白いんですぅ」


「さあ、ぜひお好きなのから食べてくださいね~」


//SE 千尋がソーセージを齧る音

//SE 千尋がお酒を飲んで喉を鳴らす音


「う〜ん、やっぱりここのソーセージは最高です~」


//SE あなたがソーセージを齧る音

//SE あなたがお酒を飲んで喉を鳴らす音


(あなたはソーセージのおいしさを褒める)


「お口に合ったようで良かったです。すっごくおいしいですよねぇ」


「ではせっかくですし、シェアしておすすめブルスト全種類制覇してみませんか?」


「こちらのソーセージも美味ですよぉ」


(千尋が自分の食べていたソーセージをあなたに勧める)


「先輩? どうかしましたか?」


//少しからかうような調子で囁くように

「あっ。もしかして、間接キスにならないか気になってしまった感じですかぁ?」


「ふふっ。ちゃんと切り分けてますから、ご心配には及びませんよ~」


//SE 千尋がお酒を飲んで喉を鳴らす音


//囁くように

「先輩……。間接キス。できなくて残念ですか?」


//楽し気に

「では。代わりに、わたしが直接食べさせて差し上げます~」


(千尋があなたの隣の席に移動して身を寄せる)


//ここから先、千尋の声がすぐ近くから聞こえる

//囁くように

「さあ、口を開けてくださいね。はい、あ~んっ」


//SE あなたがソーセージを齧る音


//ここから先、呂律が回っていない感じで

「えへへ。どぉですか? おいしいですかぁ?」


「じゃあ、次はこっちの小さいやつ行きましょお。は~い、どうぞ~」


//SE あなたがソーセージを齧る音


//囁くように

「うふふっ、たくさん食べてくださいね~」


(千尋があなたの身体にもたれかかる)


//ここから先、千尋の声が耳元で聞こえる

「あ……。先輩の身体、おっきいですねぇ。羨ましいですぅ」


(千尋があなたの腕に抱きつく)


「ぎゅ~っ」


//SE 千尋の身体が密着して衣擦れの音がする

//SE 千尋の息遣いが聞こえる


//甘える感じで

「先輩の腕、あったかいです~」


//SE 千尋が欠伸をする


「なんだか眠くなってきちゃいましたぁ」


//囁くように

「……先輩の、うでまくら。えへへ。しあわせぇ~」


(千尋はあなたの腕に抱きついたまま寝てしまう)


//SE 千尋の寝息5秒ほど

//SE 店内BGMフェードアウト

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