第4話 血が滲んだ拳


「………。」


許さない。許さない。


どうやったら殺せる?どうやったら倒せる?


「…………。」


「え。なんで黙ってるの?あーそっか。部屋が血で汚れちゃったから?大丈夫。あとで家来に掃除させるよ。」


目の前で舐め腐ってるこいつを、倒したい。


反射的に拳を振り下ろす。が、やめた。


もし物語通りに進むなら、私はこの後攫われて牢屋に監禁される。


暴動なんか起こしたら余計に警戒されるだろう。


「……………。」



「………。」


「…。」


「…怒ってないわ。ちょっと戸惑っただけ。」



「……。そっかぁ!!なら良かった!!

ねぇ、この後僕のお城に連れて行ってあげる。そこで君は、僕と一緒に暮らすんだよ。」



「……。分かった。それでいい。」



「よし!じゃあ決まりだね!今から馬車を出させるよ!」


「………。」


ふざけるんじゃない。

拳は握ったままだからな。


私はそう決意を固め、城への馬車へと乗り込んだ。

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