第3試合 北関東の巻
(阿久津滝音キタ~!!)
圓はかの石梨の4番打者を間近に見られるという名の優越感で大脳が一気に欣喜雀躍となった。彼を間近に見るのは当然ながら人生初で尚且つ、高校生時代はノーブルホームスタジアム水戸でしか試合はしたことがなく、どのくらいの強豪校にフルボッコにされたでしょう。いや、不特定多数。
「おら、雨貝圓と申すっぺ。東海村から東京へやって来たばがしなんだ。」
圓は開口一番に瀧音に話しかけてみた。すると…
「阿久津瀧音と申上げます。雨貝圓さん、お会いできて誠に光栄です。大田原ボーイズから2017年選抜高等学校野球大会21世紀枠栃木高野連推薦校となって頂いた石梨高から…わが母校では珍しい東大へ行くのです。」
(東大行く行く詐欺はデマだったんだべか…。)
圓は瀧音の顔を円らな瞳で見つめた。去年の第101回夏の甲子園地方大会真っ只中のある栃木の高校野球ファンのtweetでの「石梨高のショート・阿久津瀧音くん、最後の夏なので見る価値あったんだけど、去年の秋季県大会と比べたら超イケメ〜ン!♥オジサン結婚したーい♥」というストーカー同然のtweetで夏なのにも関わらず自分だけ雪が降ったような気分に成ってしまったという事実が蘓ってしまった。
「2人とも、東大野球部新1年生?」
「誰よ…。」
「此方こそ、誰ですか?」
謎の青年が現れてしまったのだ。
「群馬県前橋市の
謎の青年…。いや、羽鳥美緑は大の乃木坂46ファンらしく、Tシャツなんか自作みたいで[Mai Shiraishi I won't forget you FOREVER 2013ガールズルール 2015今、話したい誰かがいる 2017インフルエンサー 2018シンクロニシティ 2019 2020しあわせの保護色 #御三家 #群馬県 #1期生 #レコ大連覇]
という風に、美緑は彼女のサイリウムカラーである水色をベースに黒で其のようなことが書かれていたので2人は目を
「角膜レベルの変態です。こんなの着て赤門を通って見なさいよ。笑われますよ。」
と瀧音は忠告した。
しかし、美緑に対してはカエルの顔に水だったのだ。
だから、東京六大学野球の他大学の1年生について話す必要ができてしまったのだ。
東京六大学の超新星を1人ずつ紹介されたweb記事では(一応はてなブログだけど)
「【東京六大学野球】 2020年度版私的イチオシ選手1大学1人!」
目次では
早大→木内遥(投手・茨城県出身)
慶大→朝比奈竜二(一塁手・島根県出身)
明大→
立大→
法大→黛師恩(遊撃手・佐賀県出身)
東大→雨貝圓(???・茨城県出身)
と紹介されていた。
「なぜ、おらだけ???なんだべか?」
圓は急いで自分を紹介している所にジャンプした。
――雨貝圓(あまがい つぶら)は茨城県東海村出身で高校は火戸第一(水戸)。身長は157cmと野球選手としては超小柄の選手です。ポジションはある試合では遊撃手、違う試合では捕手、また違う試合では左翼手でしたが、私が現地まで足を運んだ時は守備位置が投手でした!
情報がヒジョーに少ない子なので引き続き調べる必要性が前述した5人よりもメチャクチャ多いです…。(;´д`)トホホ…
(お…おめぇはあがっぺただがんな!)
圓は思わず柳眉を逆立ててしまった。
それから…
「後楽園いぎで降りるべか?」
「うん。」
「まぁ、がんばっていきまっしょい。」
圓の怒りは直ぐに静まった。
3人は人でいっぱいいっぱいの電車の中を見渡し、そしてマスク越しに笑みを浮かべた。
東京メトロ南北線に乗り換えて、東大前駅に着いた。
「ここから私達の新しい場所の一誠寮は僅か400m。私達が本気で走れば1分台で普通につきます。」
瀧音は相変わらず冷静だった。
「いい?行くわよ。」
「モモレンジャーじゃねぇなら発すんなよ。その科白回し。」
信号は青。三人は、走り出した。トランクの銀輪をガラガラと転がしながら走った。疲れる気配は無く、それに対して躰にすっかりと耐性が出来ているようにも見えた。
「ここ!ここ!ここを曲がれば!」
「おけぇい」
「一誠寮だべ!」
着いた…。
三人は奇蹟を互いに確信した。一誠寮の門の前。昨年の8月23日から改修工事が着工して今年のホワイトデーに終わった所だったので、昨年の写真と比べた時の真新しさを感じた。
Melody Lane 杯 星耕 @Haiseiko
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