第13話 テツヤの方から誘う時

 「レイジ、30分後に俺の部屋な。」

一緒に運動をした後、テツヤはそう言った。

「あ、うん。」

俺は自分の部屋に戻り、シャワーを浴びて着替え、テツヤの部屋へと向かった。ノックをして、

「レイジ。」

と名乗ると、

「どうぞ。」

とテツヤの声がした。ドアを開けて中に入ると、ベッドにうつ伏せになっているテツヤが目に入った。だが、その姿は……。

「レイジ……」

テツヤが俺の方を見ている。以前、写真集の撮影で着ていた服を着て。あの写真はヤバかった。時々あれを見ては疼いていたなんて、本人には絶対に言えない。

 テツヤが着ているのは、白くて薄い生地のフリフリのベスト。前身ごろと後ろ身ごろだけが布で、横を紐で3カ所くらい結ぶ服だった。それ自体斬新、というか特殊で、普段男性が着るとは思えない服だが、今テツヤは、その横の紐を1本も結んでいない。うつ伏せになっているから見えないけれど、肘をついて起き上がったら胸が見えるのでは……。ごくりと喉が鳴った。

「な、なにを?」

「何って……あのさ。」

テツヤは起き上がった。一瞬見えた。そしてこちらに歩いてくる。俺が壁を背に突っ立っているので、テツヤは俺の前へ来て片手を壁に付いた。

「ねえ、一緒にここに住むようになって何日経った?なんで……しないの?」

テツヤが下から顔を覗き込んでくる。ああ、その目は……可愛い。けど、その下にある白いフリフリは前に垂れ下がっている。色々触りたい。

「これ、いいでしょ。レイジ、こういうの好き?」

テツヤは両腕を上に持って行って伸びをした。そして俺に背を向ける。顔だけ後ろを振り返り、俺の様子を伺っているようだ。

「まったく。」

「え?」

「ここ弱いくせに。」

俺はテツヤの脇をすっと撫でた。

「ひやっ!」

高い声を出し、テツヤは腕を縮めた。

「こんなに出しちゃって。」

腕を縮めても、脇は全部開いているわけで。俺は、隠れていない脇腹を上下に大きく、ゆっくりと撫でた。

「あ……あっ。」

テツヤが腕を緩めたので、指を少し前の方へと進める。胸の盛り上がりを感じながら少しずつ前へ。でも、そこで辞めた。

「ああ、どうしようかなあ。」

俺は頭を抱えた。

「え?何?どうしたの?」

テツヤが驚いて振り返る。

「だってさ、俺今痩せたのはいいけど、体重落ちたせいで筋肉も落ちたじゃん。さっきだって、テツヤの方がダンベル上げのレベル上だったし。」

そうなのだ。テツヤがすっかり鍛えるようになってしまい、タケル兄さんや俺といった、ずっと前から鍛えている面々よりも、テツヤの方が力が強くなってしまっているのだ。俺ももっと筋肉をつけ、テツヤよりも腕力や体重を上回ってからでないと……抱けないじゃないか。

「ふふん。それなら、俺がお前を抱こうか?」

テツヤはそう言うと、また壁ドンしてきた。そして、キス。キスをされながら、テツヤの背中に腕を回す。でもこのスケスケな服は邪魔。服の下に手を入れてまさぐると……。

「はあ……あ……。」

と、テツヤは上を向いてため息を漏らした。もうダメ。腕力とか体重とかどうでも良し。俺はそのままテツヤをベッドに押し倒し、邪魔だがすぐに脱がせられるヒラヒラを取り払い、テツヤの盛り上がった胸に唇を這わせた。

「あっ、ダメ……。」

脇の方へ唇を這わせると、上ずった声で何か言っているテツヤ。そのまま全てを脱がせ、自分の着ている物も全て取り去った。


 やっぱり可愛くて美しい人。頬を赤く染めてこちらを見上げる潤んだ瞳は、どんな写真集にも載っていない、俺だけの最高の宝物だ。

「テツヤ、愛してるよ。」

「レイジっ…あっ。」

耳元で愛の言葉をささやくと、テツヤはその瞬間に果てた。

「良かった?」

そう言って頬にキスをすると、何も言わずにコクリと頷くテツヤ。

「さて、まだまだ行くよ。」

俺が元気モリモリにそう言うと、

「もう……レイジはやっぱりタフだなぁ。」

テツヤはそう言って恥ずかしそうに笑った。その顔だけでイキそうになった。

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