第10話 タケル兄さん助けて

 翌日、テツヤと一緒にライブ配信をした。離れた場所で2画面でやって、途中からタケル兄さんも加わった。すると、カズキ兄さんも現れて、結局四人でわちゃわちゃと配信をした。

 テツヤは自分の部屋から配信していたのだが、カズキ兄さんがテツヤの部屋に行くとテツヤが俺たちのところへやってきた。テツヤは俺にぐっと寄りかかってくる。思わず赤面してしまった。だが、これでいいんだよな?こうやって、俺たちが仲良しだという事をテツヤはファンのみんなに示したいって事なんだよな?


 その後、テツヤの部屋に行った。ベッドの上で二人して寝そべり、まったりしていると、ドアにノックが。

「テツヤいるか?」

タケル兄さんだった。俺はとっさにベッドの裏に隠れた。

「……という事だから。あー、レイジにも伝えておいてくれるか?」

タケル兄さんはテツヤにそう言うと、去っていった。

「だってさ。レイジ、何してんの?」

テツヤが振り返って言った。

「あ、いやその……さっき、タケル兄さんがテツヤの部屋の場所を教えてくれた時、知らないふりしちゃったから。」

頭を掻きながら立ち上がると、

「タケル兄さん、これを見てレイジにも伝えてって言ったんだぞ。」

テツヤはベッドの上に二つ並んだスマホを指さした。

「え、バレてた?」

「さっき教えてもらったから来た事にすれば?」

テツヤが言った。確かに。

「知ってたけど、ちゃんと来たのは今が初めてだしね。」

俺がそう言ったら、テツヤが急に悲しそうな顔をした。そして、とうとう涙を流して泣いてしまった。

「え、何?どうして?」

オロオロする俺。

「本当に悲しかったんだっ……うう」

ああもう、好きなのはテツヤだけなのに。どうしたらこの一途な想いを伝えられるんだろう。女ならまだしも、他の男なんてテツヤの足元にも及ばないのに。

「レイジ、それ独り言?」

「え、うそ!声に出てた?」

オロオロしすぎて訳が分からなくなっていたようだ。

「女ならまだしもっていうのが気に入らないな。俺は女には負けるのか?え?」

テツヤは泣き止んで少しにやけているが、そんな事を言って俺をいじめる。

「違うって、言葉の絢だから。うわーん、タケル兄さん助けて~。」

俺に誠意が伝わる言葉を教えて。いつも作詞をしてくれるタケル兄さんに思わず助けを求めた。

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