共生と断絶のはざまに
- ★★★ Excellent!!!
和の空気感と、人間の情の光と影が織りなす素敵な物語でした。
異なる存在との共生を描きながら、その不可能さを否応にも突きつけられる。
鬼と人、里と異端が交わろうとするほどに深まる溝、そこに愛情が芽生えていながらも悲劇を呼んでしまう。
日常の細かな描写が積み重ねられていたからこそ、最後に炎に包まれる場面が胸に刺さりました。
這丸と空丸双方の視点で描かれているのも良かったです。
最後に語られる天雲丸の昔話が、這丸と空丸の運命を映す影のように響き、とても印象的でした。