雪の草④
目を覚ますと、漆黒の空を背にした青白い月がこちらを見下ろしていた。
……さっきまで綺麗な夕焼けだったのに。
ニナは雪の中から、ゆっくりと体を起こしてみる。あちこち痛むが、動けないほどでもない。
……わたし、落ちたんだよね? そのわりには、なんだか……。
雪に手をつき、よろよろと立ち上がってからようやく、ニナは自身の服にべっとりと赤いものが付いていることに気がつく。
……何これ。どっか怪我してる? でも、どこもそんなに痛くはないし……。
視線を彷徨わせるうちに、細長い川のような血の痕が、雪を赤黒く染めていることに気づく。その川を辿った先に倒れているのは。
「……エイブラム?」
呼びかけても、返事は返ってこない。
「エイブラム!」
ニナは仰向けに倒れ伏すエイブラムの肩に手をかけ、その冷たさにぞくりとする。
エイブラムの額には、痛々しい傷口が開いている。
「……嘘でしょ?」
ニナは縋るように、エイブラムに身を寄せる。そして、まだ彼の体の内で微弱な鼓動が鳴っていることを知る。
ニナは泣きそうな気持ちで、エイブラムの白い顔を見る。まだ生きてる。生きてるけれど、このままじゃもうじき死んでしまう。そんなのは嫌だ、嫌だ、嫌だ―。
ニナはエイブラムの額に手のひらをかざし、そこに全神経を集中させる。治癒魔術なんて、もう何十年も訓練していないけれど。それで上手くいくとしたら、それこそ虫の良すぎる話だけど。
ニナの手のひらから淡い光が発せられ始める。ニナはその光が絶えぬよう、懸命に魔力を注ぎ続ける。
……お願い、起きて。
しかしニナの願いも空しく、エイブラムはぴくりとも動かない。やがて、光も力尽きたように萎んでいく。
……やっぱり駄目だ。わたしが何にもできないから、何にもしてこなかったから、エイブラムが死んじゃう。
ニナの頬を涙が伝っていく。その涙がエイブラムの額にぽつりと落ちると、エイブラムの瞼がわずかに動く。
「……ニナ様?」
「……エイブラム! 良かった……!」
「ええ。すんでのところのようですが……」
エイブラムは小さく身じろぎして、顔を歪める。
「動いちゃ駄目! 傷が広がっちゃう……」
「たしかに、まともに動けそうにないですね。……あの血の跡は私のものですか?」
ニナが頷くと、エイブラムは心から安堵したように笑う。
「良かった。ニナ様がご無事で何よりです」
「全然良くない! あなた、わたしを助けるために一緒に落っこちて、わたしを庇って……」
「存じ上げていますよ。全て私が望んだことです」
「そんなこと、望まないでよ……」
「白馬の騎士を演じてみたかったのですよ。颯爽と乙女の苦難に駆けつけ、華麗に救出する、そんな騎士をね。まあ、実際には随分無様な救出劇でしたが」
「馬鹿なこと言ってないで、じっとしてて。すぐに助けを呼んでくるから……きっとタータとフランが探してくれてるはず」
「そうですね。しかし、この時間になっても合流できていないということは、おそらく捜索は難航しているのでしょう」
「そうかもしれないけど……」
エイブラムは瞼を閉じ、大きく息を吐く。
「ニナ様。このままここに横たわっていれば、私の命は夜が明けぬうちに尽きるでしょう」
「冷静な顔でそんなこと言わないでよ……」
「ですが、それが最も現実味のある結末です。別の可能性があるとすれば……ニナ様、あれはどうなりました?」
「あれ?」
「ニナ様が崖で足を踏み外す直前に掴んでいた、あれですよ」
崖から落ちる直前に―。
ニナははっと弾かれたように立ち上がり、自身が倒れていた辺りの地面を見回す。
「……あった」
ニナはそれを拾い上げると、エイブラムの眼前に差し出す。
「あったけど、これを一体どうすればいいの?」
「幾つかに千切っていただいて、それから私の口に押しこんで下さい」
「……慈幽草って生で食べられるの?」
「味は到底食えたものじゃありませんが、薬効はたしかです」
エイブラムの口元に、ニナはおそるおそる慈幽草を流しこんでいく。
「むせそうになったら言ってね」
エイブラムは無言で頷きつつ、ゆっくりと細切れの慈幽草を咀嚼していく。
「……どう?」
「口の中の残り香で気を失いそうですが、それ以外はだいぶマシになりました。では、行きましょうか」
「大丈夫? 少し休んでからでも……」
「こんなところで休んでいたら、じきに芯まで冷え切って動けなくなります。慈幽草には止血や痛み止めの作用もありますから、これが効いているうちにできる限り麓まで近づきましょう」
よろよろと立ち上がるエイブラムを、ニナは慌てて支える。
「ごめん、もうちょっとだけ屈める?」
「はい。申し訳ありません」
その夜は、幸い雪が止んでいた。月の光が地上まで届き、歩ける道を探すのにはそう苦労しなかった。問題はどちらに進めば麓に辿りつけるのか、という点だった。
「エイブラム、この辺りに来たことは?」
「生憎ですが」
「そう……タータたちと合流できればいいんだけど」
ニナは声を張り上げて何度か呼びかけてみるが、帰ってくるのはこだまばかりである。
「ニナ様、あまり無理をなさらないでください。あなただって怪我をしているんですから」
「こんなの、エイブラムと比べたら何でもないわよ。雪だって、これくらの寒さならわたしはへっちゃら」
それはあながち強がりというわけでもなかった。ニナは自身の内側で、炎がゆらゆらと揺らめいているのを感じていた。なんとしても、エイブラムを無事に麓まで送り届けなければならない。
「あなたをここで死なせたりしたら、妹さんになんて伝えればいいのかわからないもの」
ゆっくりと歩を進めながら、エイブラムはそうですね、と呟く。
「あれは甘えたがりですから。私がこちらへ向かうことを告げた際も、ひどく駄々をこねられました」
「想像できるかも。エイブラムって面倒見がいいし、きっと妹さんもあなたのことを慕ってたんでしょうね」
「駄々をこねることのできる相手が欲しかっただけのような気もしますがね。近隣でも有名な我儘娘でしたから」
「そうなんだ。それなのに、今はすっかりおとなしくなっちゃったのよね」
「はい」
ニナは少しの間黙った後、再び口を開く。
「エイブラムは、妹さんを治してあげるためにここまでやってきたんでしょ?」
わずかな間の後、エイブラムは答える。
「そのつもりだったのですが。今にして思うと、結局それは言い訳だったのかもしれません」
ニナは訝しむ目でエイブラムを見上げる。
「私の研究目標を覚えていますか」
「慈幽草の栽培でしょ」
「そうです。実現すれば、大変素晴らしい成果を生みます。病に苦しむ貧しい人々の元にも薬が行き渡ることになる。そして慈幽草が安価が手に入るようになれば、新薬の発明にも繋がる」
「そうね。実現すればすごいけど、そんなに上手くいくものなの?」
「この調査の結果次第では、十年以内に実現するかもしれません」
「……本当に?」
「もちろん希望的観測も多分に入ってはいるのですがね。ですが慈幽草の栽培は決して不可能ではないというのが私の見解です」
「……エイブラム、あなたってやっぱりすごい人だったのね」
「ところで私の妹は、友人の医師の見立てでは、もってあと五年の命なのだそうです」
ニナは返す言葉を咄嗟に見つけられず、ただエイブラムの横顔を見上げる。
「私も診療は専門ではありませんが、おおむね彼と同意見です。長くて五年、今後の病状次第では来年にもその日が来るかもしれません」
「でも、慈幽草の薬があれば治るんでしょ?」
「今の薬では治りません。父母も妹のために薬を欠かさず調達していますが、年々効きが悪くなっています。妹の命を救うためには、もっと別の薬が必要なんです」
エイブラムは奇妙に力の抜けた、彼が妹について語るときに必ず見せる笑みを浮かべている。己の無力を悟った者の、諦めを映す笑み。
「私が薬学を学んだのは、妹の病気を治すためです。慈幽草から作った薬を飲めば多少は容態が改善したので、もっと効果のある薬を生みだせれば病を完全に治癒することもできると考えました。そして帝都一の薬師にも教えを乞いだ末に、私は諦めました。自身の才覚ではどうあがいても、妹が生きているうちに新薬を生みだすことはできないと気づいてしまったのです」
「それで、慈幽草の栽培の研究を始めたの?」
「はい。私には無理でも、慈幽草が容易に入手できるようになれば、どこかの天才がこの素晴らしい草から新薬を作ってくれるかもしれません。そして、どうやら植物に関しては薬より才能があったようで、こちらの研究は格段に捗りました。そうするうちに、ガルプ伯から現地で調査をしないかとお声がかかったというわけです」
「お父様に、妹さんのことは」
「話しておりません。つまらぬことでお心を煩わせてはいけないと思いましたので」
「つまらなくはないでしょ」
「どのみち、私のやることは変わりません。長期的に見れば、これが新薬を生みだすための最善の道ですから」
ふたりはしばらく黙々と歩き続けた。月に照らされた雪原に、雪を踏みしめる足音だけが克明に響く。
「ニナ様、私は卑怯者でしょうか」
ニナの答えを待たず、エイブラムは続ける。
「私は、自分には妹を救えないと気づいたので、妹の元から逃げだしました。日に日に痩せていく妹から目を背けました。そのくせ、これが妹を救うために自分が果たせる最良の役目なのだと言い訳を言い続けています」
そう言って、エイブラムは乾いた笑い声を立てる。
「すみません、告解ならば司祭にすべきですね。つまらぬ話をしてしまいました」
「エイブラム」
ニナの声は静かだった。怒りを押し殺しているわけでも、悲しみに浸っているわけでもない、ただただ静かで透明な声。
「ちょっとだけ昔話をしてもいい? エイブラムが生まれるより、うんと昔の話なんだけど」
「どうぞ。少し喋り疲れましたので、聞き役に徹します」
「ありがとう。ずっと昔、わたしがもっと小さかった頃のことなんだけど、毎日この山に入り浸ってる時期があったの」
「今のニナ様からは想像もできない話ですね」
「そうでしょ? でも、その頃のわたしもどっちかといえば屋敷の中で遊ぶのが好きな子どもで……そんなわたしが山に籠ってたのには、とある理由があったの」
ニナは遠い夜の空に浮かぶ月を見上げる。
「エイブラムはわたしのお母様のことって、何か聞いてる?」
「大広間に飾られた肖像画の方でしょうか」
「うん。お父様から聞いてた?」
「いえ。ニナ様とよく似ていらっしゃる方だなとは思っていましたが」
「そうね。見た目だけはそっくりってよく言われたわ」
「性格はまったく違ったのですか」
「実を言うと、もうあんまり覚えてないのよね。物心ついた頃には、お母様は臥せりがちになってたし。だけど、わたしはお母様のことが大好きで、お母様の病気を治してあげたいってずっと思ってた。そのために図書室で薬草の本を読んだりしてるうちに、慈幽草のことを知ったんだと思う」
あらゆる病を治すと伝えられる、王国最北部の山奥にのみ生息する草。幼い自分がこれだ、と飛びついたのは想像に難くない。これさえあれば、お母様も元気になるはず!
「ファリジャ……タータのひいおじい様と一緒に、来る日も来る日も山中を探索して、束にできるくらいたくさんの慈幽草を集めたわ。それで薬を作ってもらったら、たしかにお母様は少しの間、元気になった。でもそれは少しの間だけで、だんだん薬もあんまり効かなくなっていった」
少しでもたくさんの薬を作ってもらおうと、ニナはひたすら慈幽草を集めた。ファリジャは何も言わず、それに付き従った。
「今にして思えば、ファリジャには最初からわかってたんでしょうね。でも、言えなかった。優しい人だったもの」
彼が亡くなる前に、謝っておけば良かった。嘘つきなんて言ってごめんなさい。
「エイブラム。わたしには、あなたが今どうすべきなのかはよくわからない。そんなことがわかるほど賢くないもの。だけど、あなたが今どんな気持ちでいるのかは、全部は無理でも、少しぐらいならわかると思う」
エイブラムの痛みは、かつて自分が感じたそれよりもはるかに強いのかもしれない。何年も追い求めた末に、彼は自身の無力を悟ったのだから。
「かりにあなたがここまで逃げてきたのだとしても、わたしはあなたを責めない。そんなことができるほど、わたしは立派に生きてこなかったもの。だけどもし、エイブラムが妹さんのことを諦めてしまっているなら、まだ諦めないでほしい。だって妹さんは、まだ生きてるんだもの」
こんな言葉は、エイブラムにはひどく薄っぺらく聞こえるかもしれない。何にも知らない部外者の戯言。そう思われても仕方がない。
それでもニナは、エイブラムの横顔を見上げながら、その言葉を伝えた。不敵な笑みの剥がれた、自分を守るために傷を負ったその横顔に。
やがてエイブラムは息を吐いた。溜めこんでいたものを吐きだすように、ゆっくりと。
「ニナ様。正直に言ってしまえば、私は妹に助かる見込みがあるとは思っていません。あと五年足らずで彼女を救う術が見つかると考えるのは、あまりに楽観的すぎます」
「……うん」
「それなのに」
エイブラムの口元に、痛みを堪えるような苦い笑みが浮かぶ。
「私の中には、先ほどのあなたの言葉に縋りたくて仕方がない私がいます。諦めたほうが楽だと知りながら、まだ諦めたくないと無様にもがき続けている私がいます。―ニナ様。無礼を承知でお願いさせて頂きます。私の調査に、これからも協力して頂けないでしょうか。研究を実現させるために、少しでも現地調査を早く進めたい。そのために、あなたの力を貸してほしいのです」
エイブラムの言葉に、ニナは呆れ顔で応える。
「そんなこと、いちいち聞かないでよ」
「……ありがとうございます」
「そうと決まればさっさと下山しないとね。それができないから困ってるんだけど」
ニナは白い息を吐き、星の浮かぶ空を見上げる。ひゅう、と風が吹き、粉のような雪が舞い上がる。月明かりに照らされ、闇に煌めく雪。それはさながら、光の粒子のような。
「……そっか」
ニナは目を瞬かせ、小さく呟く。そしてすっと瞼を閉じると、その場に立ち止まる。
「ニナ様?」
エイブラムは怪訝そうに言い、それからはっと息を呑む。
「まさか、魔力の流れから麓への道を探ろうと言うのですか?」
ニナは目を瞑ったまま頷く。
「お父様や屋敷の魔術師たちの魔力ならきっと判別できるし、やってやれないことはないと思うの」
そう。自身の潜在能力を全て解放できたならば、ろくに魔術の訓練もせずなまりきった感覚が、今このときだけでも持って生まれた力を開花させてくれたならば、それも決して不可能ではないはずだ。
「……まあ半分、なんなら八割九割は神頼みに近いけど、ここはわたしを信じてみてくれない?」
「ええ、信じますとも」
「他に縋るものがないから?」
「いいえ。ニナ様の優秀さは教師の私が最もよく分かっていますから」
「半月教師したくらいでわかった気になんないでよ」
「半月で理解できるほど、ニナ様の能力が際立っているということですよ」
「気が散るから、もう黙って」
「仰せのままに」
ニナは大きく吸った息を、ゆっくりと吐いていく。光を閉ざした闇の底で、瞼を閉じたまま、じっと目を凝らす。
やがて闇の向こうに、ほんのわずかな光源を見つける。目を凝らしてなお見落とすほど小さな、砂粒ほどの光。
ニナは息を止め、その光源を見据える。その方角を脳裏に刻みこみ、ゆっくりと瞼を開く。
「こっち」
エイブラムを支えているのとは反対の手で、先ほど見た光の方角を指差す。
「見間違いかもしれないけどね」
「大丈夫ですよ。ニナ様は先ほども私に希望を与えてくれましたから。ニナ様の指し示す方角に光はあるのです」
「よくそんな恥ずかしい台詞言えるわね」
「歌劇場に通えば、この手の台詞は慣れっこになってしまいますよ」
「歌劇なんて観るの? 意外」
「妹が好きだったのですよ。ニナ様は歌劇はお好きですか?」
「王都のやつなら、それなりに。年に一回、聖祭のときぐらいしか観れないけど」
「ああ、なるほど。では今年の聖祭のとき、一緒に観に行きましょうか」
エイブラムの言葉に、ニナはぽかんと口を開く。その表情をどう受け取ったのか、エイブラムは淡く微笑む。
「魔王陛下から一度直接話を聞かせてほしいとおっしゃって頂きまして、聖祭の時期に王都を訪れることになったのですよ」
「そ、そうなの」
「ですので、もしお嫌でなければ」
「……考えとく」
「ありがとうございます」
にこりと笑ったエイブラムから、ニナは慌てて目を逸らす。そして今一度立ち止まり、瞼を閉じて闇に浮かぶ光を探る。
「……あれ?」
「どうかされましたか」
「光が近づいてきてる……」
まだ遠く、目を離せば見失ってしまうほど小さな光だが、それでもそれはゆっくりと、ニナたちのいる場所を目指して闇の中を進んでいる。
ニナは腕を伸ばして、その光を指し示す。
「こっちよ。だいぶ心配させちゃってるみたいね」
「ニナ!」
救援隊の先頭に立つガルプ伯は、普段の沈着さをかなぐり捨て、雪の中をニナたちの元まで全力疾走してきた。
「よく無事で……お前まで失ったら、私は……」
「エイブラム様!」
伯に続いて、フランが駆け寄ってくる。
「申し訳ありません……あの後タータ殿と必死に捜索したのですが、おふたりを見つけることは叶わず……!」
顔面蒼白のフランに、エイブラムは苦笑してみせる。
「もういいだろう。こうして私もニナ様も無事に帰ってこられたのだから」
「はい、それは本当に……エイブラム様の身に何かあったなどと、リーン様と奥方様にお伝えできるはずもありませんから……」
ニナは半ば朦朧とした頭でフランの言葉をぼんやりと聞いていたが、ふと妙な言葉が耳を通り抜けていったことに気づく。
「……奥方様?」
ニナは、横でフランを宥め続けているエイブラムをじろと見る。
「あんた、奥さんがいるの?」
エイブラムはきょとんとニナの顔を見返す。
「言っておりませんでしたか。今は帝都で伯祖父とともに妹の世話をしてくれています」
「……あっそ」
ニナはそれだけ言って、ぷいと顔を背ける。
……奥さんがいるくせに、涼しい顔してわたしを劇に誘ったわけ?
無論エイブラムにしてみれば、妹と遊びに行くのと同じ感覚なのだろう。しかし、そのことがまたニナを不機嫌にさせる。
……わたしはあんたの妹じゃないんだから。なんなら、わたしのほうがずっとお姉さんなんだから!
「どうしました? 急に不機嫌そうな顔をして」
「なんでもないわよ。ほら、さっさと帰って、しばらくはおとなしく怪我を治しなさい。そうしたらまた、付き合ってあげるから」
頬を膨らませながら言うニナに、エイブラムはいつもの不敵な笑みを浮かべながら、仰せのままにと返す。
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