第12話 夢の囁き

深い疲労に包まれたリューは、普段より早めに床に就いた。

厚いカーテンの向こうで、夜の静けさがしんと広がる。


やがて、意識は夢の世界へと沈んでいった。


彼が見たのは、緑豊かな森に囲まれた広い草原。

澄んだ青空の下、ひとりの姿が立っていた。


「やあ、ぼくの名前はプーア。みんなの友達さ!」


その声は、どこかおどけていて、無邪気だった。

まるで子供のように軽やかに飛び跳ねている。


「みんなに会えなくて、ぼく悲しいな!」


リューは思わず眉をひそめ、怒りを込めて言い返した。


「うるさい。ミエンの最高指導者であるこの私をバカにするな。永遠に消えてしまえ!」


だが、プーアはくすくすと笑い、声色を変えずに返す。


「「ぼく」は消えないよ。「君」が何かに怯えている間はね」


その言葉のあと、プーアはじっとリューの目を見据えた。


「そして……「君」は「ぼく」になるのさ!」


草原の風がそよぎ、プーアの姿は少しずつ揺らぎながら、影のように薄れていった。


リューの胸に、得体の知れぬ恐怖が渦巻いていた。

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