第23話 2人目の協力者
二〇二四年七月一八日 〇時一〇分
マシロと言う少女が到着したのは通話が終わってから二時間が経過した深夜〇時を少し過ぎた頃だった。
「アヤナ紹介するね、この子はマシロ、高校入ってからの私の友達。こう見えてめっちゃ強くて凶暴だから、舐めてるとやられるぜ。で、マシロこっちが私の中学時代から親友で佐々木彩菜、めっちゃ勉強できるんだよ、今回私がマシロを呼んだのはアヤナのお母さんの件で協力して欲しいんだよね。」
ミアは簡単にアヤナを紹介をする。
「遅い時間にわざわざ来てくれてありがとうございます。」
アヤナはひとまず、頭を下げて素直にお礼を述べる、マシロと呼ばれた少女は一言「ども」とだけ頭を少し下げた。部活帰りの中学生のように見えた。それにしても。
マシロと呼ばれた少女は変わったと呼ぶにはやたら奇抜な格好をしていた。まず目を引いたのがスカジャンだ背中にドクロというインパクトの強い柄だ。そして体に斜めがけしているコンパクトボディバック。普通なら全体的にダサいと思ってしまう格好なのだがどこか現実味のない出で立ちが様になっており、不思議とその少女の雰囲気にあっていた。
「と言うわけでさ、私達もアヤナの家に一度行くべきだと思うんだよ。」
ミアは大きく手を叩き、一通りの状況をマシロの説明し終えた、まるで旅行の計画を立てるかのように楽しそうだ。人事かもしれないがミアの反応は正直不快だったが口には出さない。
「そうだね、ミアの言うとおり一度家の状況は知っておきたい。アヤナはキッチンが血まみれだとか言っていたけど明かりはなかったんでしょ、本当に人を殺したのかも信じられない」
マシロもミアに同調するがこちらは淡々と感情を交えずに事実を確認している警察みたいだ。アヤナはマシロのことは信用しても大丈夫かもしれないと感じた、しかし。
「どうしても家に行かないとだめ?」
「そりゃあそうだよ。マシロもせっかく呼んだんだし準備して明後日にでもアヤナの家に」
ミアは拳を作りてを大きく振り上げかけた時、アヤナの大きな声が遮る。
「ごめん!相談しておいてなんだけど家に行くのは、私はやめておく。」
アヤナは両手で自分の体を強く抱きしめて縮こませて震えた。今はあの家に近づくのが恐怖よりも嫌悪感が強く体内を支配した。
「わかった、じゃあアヤナは家に残ってて、ミア懐中電灯とかドライバーなんかの工具すぐに準備できる?あとナイフとかあると助かる。」
アヤナが自宅に帰ることに難色を示したが、特に追求することはなくマシロはミアと二人で話を進める。
彼女のドライな思考に若干の戸惑いを感じつつも安心し背を向けて大きく息を吐いた。
ミアも得意の好奇心で聞いてきたりはしなかった。
「スマートフォンのライトと撮影用のしかないかな、あと護身用の催涙スプレー」
「じゃあ明日の朝一でドンキ行くから。私が必要なものを買いにく。ミアは駅のカフェで待機してて。そしてアヤナ」
「はい!?」
「アヤナはしばらく家で何も考えずに寝てて」
突然の気遣いに驚く、この言葉にはさすがのミアも口を大きく開けて目を丸くした。
先ほどからだがマシロの抱いていた印象がことごとくズレていた、初対面でこのようなことを思うのも失礼だが他者に気を使うという感情が欠落しているように思えたからだ。
マシロはアヤナに向き直り顔に手を伸ばす、一瞬どきりとしたが、右目の下瞼を親指で擦る、化粧で隠していたが、くっきりと目の下にくまができていた。
「最近眠れていないんでしょ、そんな中ついてこられても迷惑。家から必要なものがあればリストにしてミアと私におくってあと家の見取り図が欲しいから明日の朝までに書いておくこと、ミア!やっぱり今から行こう、時間が惜しい」
「えっもうこんな時間じゃん。電車も動いてないし明日にしようよ。」
さすがのミアもこんな時間から出かけたくないようだ、しかし腕をくみ「う〜ん」と悩むそぶりをした。
「今から電車はダメでもミアの原付でニケツしていけば三〇分もすれば着くでしょ、私を巻き込んだんだからそれくらい付き合え」
「ああ〜わかりました、女王様の仰せのままに」
それからマシロとミアは簡単に支度を済ませて出かけていってしまった。マシロの言われた通り自宅の見取り図と必要なリストをまとめてミアへメッセージアプリに送った。
マシロの言うとおり、アヤナは祖母の家に帰った日以外ろくに眠ることができずにいた、二人が外出したことによって気が抜けてしまい急に睡魔が襲ってきた。
少し躊躇ったがミアのベットを使わせてもらうことにした。
布団を頭まで被り、目を瞑るとすぐに意識が深く沈んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます