第20話 2人目の仲間?
二〇二四年七月一七日 二二時三〇分 2025年11月11日 更新
「そもそもなのだけど、私が一ヶ月以上家に帰ってないのに警察官に届出も相談もしてないのおかしいと思わない?私予備校以外で遅い時間に帰ることないんだよ?遅くなる時も連絡入れてるのに」
アヤナは麦茶を一気に飲み干し「おかわり」と言わんばかりにコップをミアに差し出した。
「確かにアヤナのママ昔から心配症だもんね。」
グラスを受け取り「でしょ?」とアヤナは頷き一口で麦茶を半分ほど飲む、相当不満が溜まっているようだ。酔っ払いのおじさんみたいになっているのが面白い。話すことによってだいぶ緊張がほどけてきたように思えた。
ミアも麦茶を一口飲み、大きく息を吐いた。問題はここからである。
正直、ミアだけではお手上げだった。
人間を解体したとされるキッチン。元々天然な性格をしていたとわいえそんなスプラッタな現場で違和感なく料理する狂った母。実際ミアも家の中がどのようになっているのか見てみないとなんとも言えないが。警察が動かないとなるとアヤナの夢か幻覚なのではと疑わざる得ない。
アヤナの父は何が解決する術をすでに持っているような気もするが断定も期待もするのは危険だ。そしてミアがこの問題に介入することで逆にアヤナの父に迷惑をかける可能性まである。
「一回アヤナの家に行ってみるしかないかな。」
しかしミアの好奇心が優ってしまった。また今回の件はおそらく今自分が最も強く心を惹きつけている【怪物】絡みの案件かもしれない、もしそうだとすればこれは絶対に逃すことができないチャンスなのだ。
同時にミアは今回の件に一人の友人を巻き込むことを連想してしまった。それを思うと非常に心が躍ってしまう。
「え、いきなり?」
「正直、まだ私も半信半疑なんだよね。今の話だけでの判断申し訳ないけどできない。」
「ミアも信じてくれないんだね。」
アヤナの目から諦めと他者と自分との線引きをされたようにミアは感じた。
「そこでなんだけど、もう一人協力者が欲しいんだよね。」
「協力者?」
アヤナが理解するより前にミアはスマホを手に取る。
電話先の相手は出ず五コール目ほどで留守番電話につながってしまった。
ミアはスマホを枕元へ放り投げ、彼女からの連絡を待つ事にした、久しぶりのワクワクなのだどうせ今日は眠れない、気長に待つ事にする。
しばらく二人で昼休みの続きかのように話を続けた。
アヤナも緊張や不安が残ってはいるものの、誰かに話すことで気が紛れたようで、ミアが話を降らずとも、自分の普段の学校で過ごし方を話してくれた。
一時間ほど経っただろうか、みあのスマホの着信音が鳴る。「やっとバイトが終わったのかな」とミアは一人言をいい。スマホに手を伸ばす。
「アヤナさぁ、今回の件なんだけどもう一人噛ませてもいい?いてくれると私心強いんだけど。」
アヤナは一瞬眉を顰めたが「口が堅い人なら」と言い了承した。
「マシロ、お疲れちゃん。ちょっと相談したいことがあるんだけど。今から家来れたりする。と・ま・り・で」
「お疲れ様、今から?明日じゃダメなの?」
「ちょっと急ぎ。私一人で何とかなりそうにないのとなんか荒事になった時にマシロがいてくれると超心強い!!それとマシロの好きなアイス買っておいたから話だけでも!お願いだよ〜」
アヤナは不安そうな表情だが気付かないフリをした。もし直感通り怪人の事件だとしたら情報が圧倒的に少ない、しかし自分が求めてやまなかった事柄だった。
SNSや同業のインフルエンサーから集めた情報も真偽が定かではない。そうなると足で稼ぐしかない。自分の目で見た事実が欲しい。
そんな時だ。チャンスが自分の目の前に転がってきた。
絶対にものにしたい。
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