やわらかいぬの

寝舟はやせ

あたたか



 布をくれるそうです。

 私が寒そうにしているから、布をくれたそうです。


 あたたかく、やわらかく、いつも包み込んでくれるようで、いえ実際包み込んでおりますが、包んでいるはずですが、包んでいたはずがそうではなく、私のために、布を作ってくれたそうで。


 布をくれる、そうです。


 暗闇から現れて、丸まる私にかけたそれを、彼は布だと言い張りました。

 なので布、なのでしょう。あたたかくやわらかい。


「誰の布なんですか」


 これは。

 一体。


 誰の布なんですか。


 こんなにもあたたかい。私にぬくもりを伝えるものは、この世には存在しません。しないということを知っています。ですので、誰、誰の布なのかが、気になります。一番に。ではなく、誰がそうしたのかが、何よりも重要でした。


 彼は答えませんでした。暗がりから出ることもありませんでした。

 布だけがいつまでも私のそばにあります。


 私は 切れた電灯をかえることも、閉め切った雨戸を開けることもないでしょう。


 これはあたたかく、やわらかく、優しい布です。

 そのようにあるべきです。


 布です。


 今日も私の部屋にあります。



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やわらかいぬの 寝舟はやせ @nhn_hys

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