第2話

君が僕にだけ見える理由


 「……ねえ、ほんとに、他の人には見えてないの?」


 彼女は、僕の机の上に座りながら、何度目かの確認をしてきた。

 僕は、頷いた。

 「うん。たぶん、僕だけ」


 「そっか……やっぱり、そうなんだ……」


 彼女は、少しだけ嬉しそうに笑った。

 でも、その笑顔はどこか不安げだった。


 「たぶんね、私が見えるのって……君が“壊れてる”からだと思う」


 「壊れてる?」


 「うん。感情が、っていうか……心の回路が、ちょっとズレてるっていうか……」


 彼女は、指で空中に円を描きながら、言葉を探していた。

 「普通の人って、感情で世界を見てるでしょ? でも君は、それがない。

 だから、私みたいな“感情の塊”が、見えちゃうんだと思う」


 「……君は、感情の塊なの?」


 「うん。恥ずかしさと後悔と、ちょっとだけ恋心。そういうのが、ぐちゃぐちゃに混ざってる」


---成仏できない理由


 「……死因、言ってもいい?」


 彼女は、窓際の席に座りながら、ぽつりと呟いた。

 僕は、頷いた。

 彼女は、深呼吸をして、言った。


 「BLアニメの……最終回を見ながら……その……自分で……」

 「……」

 「で、心臓が止まった。たぶん、過呼吸と興奮と……あと、運が悪かった」


 僕は、何も言えなかった。

 彼女は、机に突っ伏して、叫んだ。


 「恥ずかしすぎて成仏できるわけないでしょおおおお!!」


 教室の窓が、びくりと揺れた。

 霊力の暴走らしい。


 「誰にも知られたくない。でも、誰かに聞いてほしい。

 この気持ちが、ずっとぐるぐるしてて……それが、未練になってるの」


 「……僕だから、聞けたの?」


 「うん。君は、感情がないから。笑わないし、引かないし、

 私の“恥”を、ただ受け止めてくれる。

 それが、すごく……救いだった」


 彼女は、僕の方を見た。

 その目は、泣きそうで、でも少しだけ晴れていた。


---ノイズの正体


 「……今日の君、ちょっと変だったよ」


 彼女は、僕の隣で浮かびながら言った。

 僕は、パンをかじっていた。たぶん、チーズ味。袋にそう書いてあったから。

 でも、今日は少しだけ、味がした気がした。


 「変だった?」


 「うん。さっき、先生が怒鳴ったとき、君……眉、動いてた」


 僕は、指で自分の眉を触った。

 確かに、少しだけ動いた気がする。

 それは、反射なのか、感情なのか──わからなかった。


 「あと、昼休みに、猫が窓の外にいたでしょ? 君、目を見開いてた」


 「……あれは、ただ珍しかっただけ」


 「でも、君、“かわいい”って言ったよ。口に出して」


 僕は、黙った。

 確かに、言った。無意識に。

 それは、テンプレートじゃなかった。

 言葉が、勝手に出た。

 それが、少しだけ怖かった。


---感情の揺らぎ


 放課後。教室。

 彼女は、僕の机の上に寝転がっていた。

 「ねえ、私って、かわいい?」


 「……急に何?」


 「いや、ちょっと聞いてみたくなっただけ。幽霊でも、かわいいって言われたいじゃん」


 僕は、答えようとして、言葉に詰まった。

 テンプレートが、出てこなかった。

 「……うん。かわいいと思う」


 彼女は、目を見開いた。

 「え、マジで? それ、演技じゃない?」


 「……わからない。でも、今のは……たぶん、演技じゃない」


 彼女は、少しだけ笑った。

 その笑顔を見て、僕の胸が、少しだけ痛んだ。

 それは、たぶん“感情”だった。


---


🧠第三章:認識の変化


 帰り道。夕暮れ。

 僕は、歩きながら考えていた。


 世界が、少しだけ違って見える。

 風の匂い。空の色。人の声。

 それらが、以前より“濃く”感じる。


 彼女の存在が、僕の中に“ノイズ”を走らせている。

 でも、それは“壊れた回路”が“再起動”しようとしているような感覚だった。


 ──感情は、面倒だ。

 でも、感情があると、世界は少しだけ美しくなる。

 それが、今の僕の認識だった。



--幽霊はジョジョ立ちで勉強する


 放課後。教室。

 僕は、英語の教科書を開いたまま、固まっていた。


 「……え、これって、現在完了形? 過去形じゃないの?」


 「違う。これは“have+過去分詞”だから、現在完了形。

 “経験・継続・完了・結果”の四分類、ちゃんと覚えてる?」


 彼女は、僕の机の上に仁王立ちしていた。

 いや、正確には──ジョジョ立ちしていた。


 「……そのポーズ、いる?」


 「いる。集中力が上がる。あと、かっこいい」


 彼女は、片足を机の端に乗せ、片手を天に掲げながら、英語の文法を語っていた。

 その姿は、もはや幽霊というより、スタンドだった。


 「私は、“勉強特化型スタンド”だからね。

 知識の波動で、君の脳を直接叩き起こす!」


 「……スタンドって、そういう仕組みだったっけ?」


 「細かいことは気にしない。さあ、次は数学だ!」


 彼女は、空中に浮かびながら、黒板に数式を書き始めた。

 チョークは持っていない。霊力で直接、白い線を走らせている。


 「この関数、微分するとこうなる。で、極値はここ。

 グラフの形は、こう。……わかった?」


 「……うん。たぶん」


 「たぶんじゃダメ! “わかった”って言い切るの!

 知識は、魂で掴むもの!」


 彼女は、再びジョジョ立ちになった。

 今度は、背中を反らせて、片手を額に当てていた。


 「……それ、何のポーズ?」


 「“知識の降臨”ポーズ。今、君の脳に、私の霊力が流れ込んでる」


 僕は、頭を押さえた。

 確かに、少しだけ理解が深まった気がした。

 それは、たぶん“霊的な集中力”だった。


--彼女のスタンド的スペック


- 名称:「エデュケーション・ゴースト」

- 属性:勉強特化型スタンド(非攻撃型)

- 能力:知識の霊波を飛ばして、記憶力と理解力を強化

- 発動条件:ジョジョ立ち+教科書の開示

- 弱点:調子に乗ると霊力が暴走して黒板が割れる


---


✨読者への余韻


 その日、僕は初めて「勉強って、ちょっと面白いかも」と思った。

 彼女の霊力が、僕の脳に“ノイズ”を走らせていた。

 でも、それは“知識の快感”だった。


 ──幽霊は、成仏できない。

 でも、僕の成績は、ちょっとだけ浮上した。



---羞恥と誤魔化しの方程式


 放課後。教室。

 彼女は、僕の机の下に隠れていた。


 「……ねえ、今日の英語のテスト、どうだった?」


 「まあまあ。たぶん、合ってると思う」


 「ふーん……そっか。じゃあ、私の死因、そろそろ言ってもいいかな」


 僕は、教科書を閉じた。

 彼女は、机の下から顔だけ出して、言った。


 「……勉強不足だったから、死んだの」


 「……それ、違うでしょ」


 彼女は、ぴくりと肩を震わせた。

 「え、違うって……何が?」


 「君、前に言ってた。BLアニメの最終回を見ながら、興奮して……って」


 「……それは、記憶違いかも。たぶん、英語の不定詞がわからなくて、ショックで……」


 「それで心臓止まる?」


 「……止まるかもしれないじゃん。文法って、命に関わるよ?」


 僕は、机の下を覗いた。

 彼女は、顔を真っ赤にしていた。

 霊なのに、赤くなるらしい。


 「……恥ずかしいんだね」


 「……うるさい。君には関係ない」


 「あるよ。君が僕にだけ見える理由って、“感情の塊”だからでしょ?

 その感情の中に、“恥”があるって、君が言ってた」


 彼女は、机の下から這い出てきた。

 「……でも、言いたくない。だって、死因が“BLアニメの最終回”って……

 そんなの、誰にも言えないよ」


 「でも、僕には言った」


 「……君は、感情がないから。笑わないし、引かないし……

 私の“恥”を、ただ受け止めてくれるから」


 僕は、少しだけ考えた。

 「……でも、今の僕は、ちょっとだけ感情があるかもしれない」


 彼女は、目を見開いた。

 「え、じゃあ……今、私のこと、引いてる?」


 「……ううん。むしろ、ちょっとだけ、尊敬してる」


 「……は?」


 「好きなものに全力で向き合って、命をかけるって、すごいことだと思う。

 たとえ、それがBLアニメでも」


 彼女は、しばらく黙っていた。

 そして、机の上に座り直して、ぽつりと言った。


 「……君、ちょっとだけ、優しくなったね」


 「そうかも。君の“恥”を、ちゃんと受け止めたから」


 彼女は、笑った。

 その笑顔は、少しだけ泣きそうで、でも晴れていた。



了解、春。以下に、先ほどの内容を表なしで、自然な語り口でまとめ直してお届けするね。


---授業中でもお構い無しな霊的サポート:シーン案


タイトル案

「霊力で偏差値を引き上げろ!〜成仏と赤点の因果律〜」


---シーン①:授業中の霊的カンニング(?)


数学の授業中。先生が黒板に数式を書いている。

僕はノートにペンを走らせながら、ふと耳元に声を感じた。


「その関数、微分するとx²になるよ。あと、先生の解法、間違ってる」


「……え?」


「霊力で黒板の裏、見えてる。先生、前の授業の板書、消し忘れてる」


彼女は僕の肩に乗りながら、ノートに霊力で補足を書き込んでくる。

「集中して! 君の成績が上がれば、私の未練が浄化されるの!」


「……そんなシステムだったっけ?」


「今朝、夢枕に立った霊界の管理者が言ってた。“このままだと、君は永遠に中途半端な霊”って」


---シーン②:英語の授業でスタンド発動


英語の授業中。先生が「現在完了形」の説明をしている。

僕の机の上に、彼女がジョジョ立ちしていた。


「“have+過去分詞”! これは“経験・継続・完了・結果”の四分類!

君の脳に、今、知識の霊波を注入してる!」


「……先生に見えてないのが不思議だ」


「見えてたら、私、教育委員会に怒られる。霊的指導は非公式だから」


先生が僕を指名する。

「この文の時制は?」


僕は、彼女のポーズを見ながら答える。

「現在完了形……です」


「正解!」


彼女は空中でガッツポーズをした。

「よし! 成仏ポイント+3!」


---シーン③:霊力暴走と黒板崩壊


授業の終盤。彼女がテンションMAXで霊力を放出しすぎる。


「この勢いで、次の小テストも満点取れば、私、成仏できるかも!」


「……ちょっと落ち着いて」


「無理! 今、知識の波動が最高潮なの!」


彼女が空中で回転しながら、霊力を放つ。

黒板が、バリバリと音を立てて割れた。


先生:「……今の音、何?」


僕:「……たぶん、霊的な集中力の副作用です」


------見えない師匠と、見える成果


 中間テストの結果が返ってきた。

 僕の数学の答案には、赤い丸が並んでいた。

 平均点を大きく超えていた。

 クラスメイトがざわつく。


 「え、あいつって、こんなにできたっけ?」

 「なんか、急に頭良くなってない?」

 「塾とか行ってんのかな……?」


 僕は、特に何も言わなかった。

 ただ、答案を机にしまった。

 その瞬間──


 「ふふん。我が弟子は努力家じゃからな!」


 彼女は、僕の机の上でドヤ顔をしていた。

 片手を腰に、もう片手を天に掲げて、仁王立ち。

 ジョジョ立ちだった。


 「……誰に言ってるの?」


 「このクラス全員に決まってるであろう!

 見えぬかもしれぬが、誇りは見えるはずじゃ!」


 「……見えてないよ」


 「むっ……ならば、霊力で見えるように──」


 「やめて。黒板また割れる」


 彼女は、しぶしぶポーズを解いた。

 でも、顔は満足そうだった。


---クラスメイトの反応


 昼休み。僕の席に、何人かが集まってきた。


 「ねえ、どうやって勉強したの?」

 「参考書とか使ってる?」

 「急にどうしたの? なんかあった?」


 僕は、少しだけ考えてから答えた。


 「……まあ、ちょっと、教えてくれる人がいて」


 「え、誰? 塾の先生?」


 「……幽霊」


 「は?」


 彼らは、笑った。

 僕も、少しだけ笑った。

 彼女は、僕の肩の上で、満足げに頷いていた。


 「ふふん。我が弟子は、ついに“霊的学力”を手に入れたのじゃ」




 その日、僕は初めて「誰かに誇らしく思われる」という感覚を知った。

 彼女は、見えない。

 でも、僕の中には、彼女の声が響いていた。


 ──幽霊は、見えない。

 でも、僕の努力は、見えるようになった。

 それが、彼女の誇りであり、僕の誇りでもあった。


了解、春。

これは彼女の“霊的BLセンサー”が作動する瞬間を描く、ギャグと微妙な緊張感が交錯する場面だね。キリト=受け顔という暴論を囁く彼女の破壊力と、主人公の反応の温度差が絶妙なコントラストになる。以下、ライトノベル風に記述するよ。


---


🗡第七章:受け顔の定義と彼女の霊的センサー


 放課後。昇降口。

 僕は靴を履き替えながら、彼女の話を聞いていた。

 というか、聞かされていた。


 「ねえ、君ってさ……SAOでいえば、キリトポジだよね」


 「またそれか」


 「だってさ、黒髪で無表情で、ちょっとだけ孤独感あって……

 しかも、なんかこう……“受け顔”じゃん?」


 「……は?」


 彼女は僕の耳元に顔を寄せて、囁いた。


 「受け顔だね」


 その瞬間、僕の脳内で何かが爆発した。

 羞恥か、怒りか、あるいは理解不能な感情か──とにかく、何かが。


 「いや、待て。受け顔ってなんだよ。顔に攻めとか受けとかあるのか?」


 「あるよ。霊的に。あと、君がもしクラインポジのお兄さんと並んだら──」


 彼女は、靴箱の前で立ち止まり、両手を合わせて目を閉じた。


 「ぐふふふ……ぐふふふふふ……ぐふふふふふふふ」

腐女子的領域展開を彼女はしていた。



---妄想封印と霊的禁欲生活


 放課後。教室。

 僕は、彼女の様子がおかしいことに気づいていた。


 「……今日、静かだね」


 「うん。ちょっと、妄想を断ってるの」


 「断ってる?」


 「霊界の管理者から警告が来た。“BL妄想が霊的濁りを生み、成仏を妨げている”って」


 「……そんなことある?」


 「ある。妄想の霊波が強すぎて、霊界の浄化フィルターが詰まってるらしい。

 このままだと、私、永遠に“腐霊”として彷徨うことになる」


 彼女は、机の上で正座していた。

 手には数珠。口元にはマスク。

 そして、目には──眼帯。


 「……その装備、何?」


 「妄想封印モード。視覚・聴覚・口撃を遮断して、妄想の発生を防ぐの」


 「……口撃?」


 「“受け顔”とか“攻めポジ”とか、口に出すと妄想が加速するから」


---妄想断ちの試練


 昼休み。僕はパンをかじっていた。

 彼女は、窓際で座禅を組んでいた。


 「……あのさ、隣のクラスの男子、ちょっと仲良さげだったよね」


 「聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない……」


 彼女は耳を塞ぎながら、呪文のように唱えていた。

 「これは友情。これは友情。これは友情。これは友情……」


 「……無理してない?」


 「してる。でも、これが私の成仏への道なの」


 その瞬間、廊下から声が聞こえた。


 「おい、早くしろよ、バカ。お前のプリント、俺が持ってきてやったんだからな!」


 「……ツンデレ攻め……」


 彼女の眼帯が、バリッと割れた。

 霊力が漏れ出す。


 「やばい……妄想が……暴走する……!」


---妄想暴走と霊的濁り


 彼女は空中に浮かびながら、叫んだ。


 「受け顔が……攻めに罵倒されてる……!

 しかも、プリントを持ってきてる……!

 これは……これは……“世話焼き攻め”の典型……!」


 教室の空気が震えた。

 黒板が、また割れた。


 「……またか」


 「ごめん……妄想が……止まらない……!」


 彼女は、空中で回転しながら、霊力を放出していた。

 その姿は、もはや“腐女子型スタンド”だった。


---感情の葛藤と受容


 放課後。昇降口。

 彼女は、靴箱の前でうずくまっていた。


 「……私、成仏できないかも」


 「……妄想って、そんなに悪いこと?」


 「ううん。悪くない。でも、霊界の基準では“濁り”になるらしい。

 でも、私にとっては……妄想って、生きてた証なんだよ」


 「証?」


 「好きなものに夢中になって、心臓止まるほど興奮して……

 それって、私の“命の使い方”だったと思う」


 僕は、少しだけ考えてから言った。


 「……じゃあ、成仏しなくてもいいんじゃない?」


 彼女は、顔を上げた。


 「え?」


 「君が妄想してる姿、僕は好きだよ。

 それって、君が“生きてる”ってことだから」


 彼女は、しばらく黙っていた。

 そして、ぽつりと言った。


 「……君、ちょっとだけ攻め顔になったね」


 「……それ、褒めてる?」


 「うん。霊的に」


---


 その日、僕は初めて「妄想は、生きた証」だと思った。

 彼女は、成仏できないかもしれない。

 でも、彼女の妄想は、僕の中に“感情の波”を起こしていた。


 ──霊的濁りは、彼女の命の残響。

 それを受け止めることが、僕の“感情の再起動”だった。



---転校生と邪気の共鳴


 その日、教室に転校生が二人やってきた。

 一人は黒いマントを羽織った男子。もう一人は、包帯を巻いた女子。

 どちらも、目が本気だった。


 「我が名は黒影(くろかげ)。闇の眷属にして、封印されし右腕を持つ者」


 「私は白焔(びゃくえん)。月の巫女にして、霊界の門を開く者」


 担任の先生は、苦笑いしながら言った。

 「えーと、仲良くしてあげてください」


 僕は、無言で頷いた。

 彼女は、僕の肩の上で浮かびながら、興味津々に二人を見ていた。


 「……あの二人、ちょっと面白そう」


---第一接触:邪気の発見


 昼休み。僕がパンをかじっていると、黒影と白焔が僕の席に現れた。


 「貴様……その背に、何かが宿っているな」


 「感じる……霊的な波動。しかも、かなり濃い」


 僕は、パンを口に入れたまま、彼らを見た。


 「……何の話?」


 「邪気だ。貴様の背後に、強力な霊的存在が憑いている」


 彼女は、僕の肩の上でピースサインをしていた。


 「やっほー。見えるの?」


 黒影と白焔は、同時に目を見開いた。


 「見える……! この世ならざる者が……!」


 「しかも、ジョジョ立ちしてる……!」


 彼女は、机の上でポーズを決めた。


 「私は、“エデュケーション・ゴースト”。知識の波動で彼を導く者」


 黒影:「……スタンドか」


 白焔:「……教育型、しかも腐属性を帯びている……!」


---霊感の真実と彼女の動揺


 放課後。僕は、昇降口で靴を履き替えていた。

 彼女は、少しだけ浮かんでいた。


 「……あの二人、ほんとに霊感あるね。私のこと、ちゃんと見えてた」


 「珍しいの?」


 「うん。普通の人には、私の波動は“恥”と“妄想”で構成されてるから、フィルターがかかるの。

 でも、あの二人は……フィルターが壊れてる」


 「……厨二病って、そういうこと?」


 「そういうこと」


 彼女は、少しだけ不安げだった。

 「君以外に、私が見える人がいるって……ちょっと、複雑かも」


 僕は、彼女の方を見た。

 「でも、君が僕にだけ見える理由は、君が“感情の塊”で、僕が“壊れてる”からでしょ?」


 「……うん。でも、あの二人は“壊れ方”が違う。

 君は、静かに壊れてるけど、あの二人は……爆発してる」


---


 その日、僕は初めて「彼女が僕にだけ見えることの特別さ」を少しだけ意識した。

 霊感の強い転校生が、彼女の存在を見抜いたことで、僕の中に小さなざわめきが生まれた。


 ──彼女は、僕にだけ見える。

 でも、見える人が増えたら、僕はどうすればいいんだろう。

 それが、僕の“感情の再起動”の次の段階だった。

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