可憐なロリータ男子

午後の日差しが優しく差し込む部屋で、淡い紫色のクッションに身を預けたアユムは微笑んでいた。


彼の長い金髪は優雅に波打ち、ピンクのリボンと白いレースが彼の美しさを引き立てている。


アユムの笑顔はまるで絵画のように完璧だったが、その微笑みの裏には秘められた秘密があった。


彼はロリータファッションを愛する男子であり、その趣味を周囲には隠して生きてきたのだ。


アユムは幼い頃から綺麗なものや可愛いものに心惹かれる子供だった。


彼は花や蝶々、繊細なレースやリボンに興味を持ち、母親のドレッサーを覗き込んではその美しさに魅了されていた。


しかし、男の子らしくない趣味を持つことに対する周囲の反応を恐れ、アユムは自分の気持ちを隠すことを覚えた。


小学校に上がると、アユムは周囲に合わせるためにサッカーや野球といったスポーツにも挑戦したが、心から楽しむことはできなかった。


彼の心の中には常に「本当に好きなことをしたい」という思いがくすぶっていた。


そんなある日、アユムは偶然インターネットでロリータファッションのサイトを見つけた。


フリルやレースが施された美しいドレスに心を奪われた彼は、その世界にどんどんのめり込んでいった。


サイトを通じて知り合った同じ趣味を持つ仲間たちとの交流も始まり、アユムは初めて自分が「自分らしく」いられる場所を見つけたのだった。


中学生になると、アユムは自分でロリータファッションを試し始めた。


学校の友達や家族には内緒で、休日になると部屋にこもり、インターネットで購入したドレスやアクセサリーを身に着けて楽しんだ。


鏡に映る自分の姿に満足感を覚える一方で、周囲に知られたらどうしようという不安も常に抱えていた。


ある日、アユムの親友であるタカシがアユムの部屋に遊びに来た。


アユムは急いでドレスを隠し、タカシが気づかないように振る舞った。


しかし、ふとした瞬間にクローゼットの扉が開き、隠していたドレスが見えてしまった。


タカシは驚いたが、アユムの趣味を否定することなく、「お前が好きなものなら、俺は応援するよ」と言ってくれた。


この出来事がアユムにとって大きな自信となり、少しずつ自分の趣味を認めてくれる人が増えていくのだった。


高校生になったアユムは、ますますロリータファッションに夢中になっていた。


そして、ついに勇気を出してロリータファッションのイベントに参加することを決意した。


イベント当日、アユムはお気に入りのピンクのドレスとレースのカチューシャを身に着け、鏡の前で自分を見つめた。


ドキドキしながらも、一歩ずつ会場へ向かった。


会場には同じ趣味を持つ人々が集まっており、アユムはすぐに多くの友達を作ることができた。


その中でも特に仲良くなったのがリナだった。


リナはアユムと同じ学校に通う女子で、ロリータファッションに情熱を持っていた。


二人はお互いのコスプレについて語り合い、すぐに打ち解けた。


リナとの交流を通じて、アユムはますます自分の趣味に自信を持つようになった。


リナはアユムが男子であることを知りながらも、その美しさと個性を尊重し、支えてくれた。


二人は一緒にイベントに参加したり、新しいコスプレを考えたりする時間を楽しんだ。


ある日、リナはアユムに「家族や友達に自分の趣味を打ち明けてみない?」と提案した。


アユムは最初は躊躇していたが、リナの励ましにより、ついに家族に打ち明けることを決意した。


アユムは家族に自分の趣味を打ち明ける日が近づくにつれ、緊張が高まっていた。


彼は何度もリナと話し合い、どう伝えるかを考えた。


ついにその日がやってきた。


家族が揃った夕食の席で、アユムは意を決して自分の趣味を打ち明けた。


最初は驚きの表情を見せた家族だったが、アユムの真剣な態度を見て、次第に理解を示し始めた。


特に母親は、アユムが小さい頃から美しいものに興味を持っていたことを思い出し、彼の気持ちを尊重することに決めた。


父親も最初は戸惑ったものの、「お前が幸せならそれでいい」と言ってくれた。


この出来事を通じて、アユムは家族との絆を一層深めることができた。


アユムは自分の趣味を打ち明けたことで、大きな成長を遂げた。


彼は自分自身を受け入れることができ、周囲からの理解と応援を受けることで、一層自信を持つようになった。


これからもアユムはロリータコスプレを楽しみながら、自分らしく生きていくことを誓った。


アユムとリナはこれからも一緒にイベントに参加し、新しいコスプレのアイデアを共有し続けることでしょう。


アユムの笑顔は、彼が自分自身を大切にし、周囲と繋がることでますます輝きを増していくのだった。

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