女装もの短編集

夏祭り

健太（けんた）は、友人たちと地元の夏祭りを楽しむ予定だったが、その夜はいつもと少し違っていた。

彼の親友、美咲（みさき）は健太に驚きの提案をしたのだ。

「ねえ健太、今年の夏祭り、一緒に浴衣を着て行こうよ。でも、ちょっと特別な感じでね。」

健太は首をかしげた。「どういうこと？」

美咲はにやりと笑い、袋から美しい花柄の浴衣と共に、女性用の下着を取り出した。

「これを着てみて。女の子として夏祭りを楽しんでみない？」

最初は戸惑ったが、健太は好奇心に負けて美咲の提案を受け入れることにした。

恥ずかしさを感じながらも、美咲の指示に従って女性用の下着を身に着けていく。

まずは、柔らかな感触のブラジャーをつけると、美咲がパッドを用意してくれた。

健太はそれを詰めて形を整え、次にスリップを着た。

「なんだか変な感じだな」と健太は呟いたが、美咲は優しく微笑んで、「大丈夫、すぐに慣れるよ」と言った。

その後、美咲は健太に浴衣を丁寧に着せていった。

帯を結び、髪もアレンジし、軽くメイクまで施した。

鏡の前に立った健太は、まるで別人のように見えた。

「すごい、まるで本物の女の子みたいだ」と健太は驚いた声を上げた。

美咲は満足げに頷いた。「そうでしょ？さあ、行こう！」

祭りの会場に着くと、健太は最初は緊張していたが、美咲の励ましで徐々にリラックスしていった。

美咲は健太に、祭りの屋台を一緒に巡りながら、女の子として振る舞うコツを教えてくれた。

その夜、健太はいつもとは違う視点で夏祭りを楽しむことができた。

浴衣姿で金魚すくいをしたり、たこ焼きを食べたり、花火を見上げたりする中で、

新しい自分を発見するような気持ちになった。

女性用の下着を身に着けているという意識が、彼にさらなるスリルと特別な感覚を与えた。

しかし、健太にとって最も印象的だったのは、美咲との会話だった。

美咲は優しく、健太の新しい姿を見て、彼がどれだけ素晴らしい友人であるかを再確認した。

「健太、今日は本当にありがとう。あなたと一緒に過ごすこの時間が、本当に特別なものになったわ。」

健太は少し照れながらも微笑んだ。「こちらこそ、ありがとう美咲。君のおかげで、忘れられない夏の思い出ができたよ。」

夜が更け、家に帰る時間が近づいた。

健太は浴衣を脱ぎ、元の姿に戻ったが、その心には新たな自信と感謝の気持ちが芽生えていた。