作業着とガリガリ君。熱った体に冷たい心地良さ。対比が見事だと思いました。素敵な作品をありがとうございました。
こんなにも積み上げられた建材が誰かを包むその日を目指すこのほかにも「働く」「作業着」が出てくるので、おそらく作者は建設関係の仕事をなさっているのでしょう。こういう肉体労働の短歌は、最近はあまり作られなくなっているので、貴重な連作だと思いました。また、恋の歌もちりばめられているので、全体的にバランスの良い作品に仕上がっているのです。オノマトペも印象的な力強い短歌集。
『灰色の汚れがついた作業着にガリガリ君が溶け込んでゆく』ガリガリ君という言葉に注目したときに、ソーダ味のガリガリ君の水色。夏の澄んだ空の色が浮かんできます。すると、灰色の汚れがついた/作業着という読み方ができるかなと思いました。空色に対する灰色。一面の曇り空が裂けるような晴れ間が出る様子が想像力できます。それは、アイスクリームが食べている最中から溶け出してしまうほどに、暑い現場の様子とも重なるようで美しいと感じました。素晴らしい作品をありがとうございました。
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