第7話
空港で食事して、買い物をして、着いたヴィラは本当にすごく綺麗で豪華だった。
濃い茶色のフローリングに、寝室とリビングダイニング。開放的で、庭には大きくてきれいなプールが付いている。
「本当にすごい……!ね、和政!」
「ね、すごい良い部屋。
受付の人も優しかったし、ここにしてよかった」
和政のことだから、きっと沢山調べてくれたんだろう。
和政はスーツケースを寝室の端に置いて広げる。
「どうする?早速プール入る?
それともちょっと、ゆっくりする?」
「せっかくだしプール入りたいな」
「だよね、俺も!
色々楽しめそうなもの持ってきてる!」
和政が露骨に浮かれてるところを見るの、結構レアな気がする。
特に最近は家デートが多くて、浮かれるって感じではなかったし。
私は洗面台とお風呂が一緒の広いバスルームを借りて、結奈と選んだ水着に着替える。
アイボリーカラーのビキニセットで、胸元に少し大きなお花がある。
全体的にフリルで、下はスカート風になっていて、腰元に小さな花飾りがついている。
お腹はスースーするけど、和政と二人だし、私にしてはかなり露出が高いと思う……!
そして結奈と食事した後に調べて買った、香水を髪の毛にふる。
さすがに、二人で髪の毛ビショビショにして泳ぎまくるってことはないと思うし。
いつもと違う香りがすると男性は興奮するみたいな記事を少しだけ参考にした。
いつもは下ろしてる髪の毛を後ろでまとめてアップにして、メガネをコンタクトに替えた。
度数的には見えづらくなるけど、眼鏡を壊したくないし、この部屋からそんなに出たりしないだろうから、問題ないだろう。
日焼けすると赤くなって痛くなるタイプなので、念入りに塗り直し、バスルームから出る。
和政は黒地に大きめの白いボタニカル調の水着を履いて、空気入れで浮き輪を二つと、何かを膨らませている。
「お待たせ!ありがとう、色々用意させちゃってごめんね?」
振り返って私を見ると、立ち上がって私の方に早歩きで駆け寄り、私のことを抱きしめる。
「可愛すぎる。水着、本当に似合ってる。
髪型もかわいい、ヘアクリップも新しいの買ったの?」
「そう、よく気づいたね。結奈とおそろいなの」
そして私の唇に優しく触れて、腰にそっと手を回す。
身長の高い和政は少し屈んで、私は顎をできる限り上に向け、少しだけ踵を浮かす。
「コンタクトだと、ちょっと見えづらいよね?俺も気をつけるけど、足元とか、詩織も気をつけてね」
「え、あ、うん!ありがとう!」
もっと、深いキスされること期待してしまった……!
でもそうだよね、今からプールに入るわけだし、そんな突然イチャイチャし始めないよね。こんなに色々用意してるし、和政。
「浮き輪と、……それなに?」
「これ!知ってる?ドリンク用の浮き輪!
これに飲み物乗せられるんだよ!
そしたらプール入りながら飲み物飲めるでしょ?便利そうだなと思って買っちゃった。
これに入れたいから、さっき沢山瓶ビールをスーパーで買ったんだよね。
あ、冷凍庫で冷やしてるからもう冷たいと思う」
和政も今日を全力で楽しもうとしてくれてることが嬉しくて、私は笑って頷いた。
庭に出る手前のところに足ふきマットとバスタオルがホテル側で準備されていて、すぐに入れるようになっている。
庭にはリビングからも寝室からも出られるようになっていた。
「じゃあ、ビール持ってプールでのんびりしようか」
「あ、あと、このカップにカットフルーツ入れて一緒に食べられるようにしよ。
さっき切っておいたから」
テキパキ準備して、いろんなアイテムを先にプールにあっという間に出し終えると、私の手を握ってエスコートして、プールサイドに連れて行ってくれた。
「そこの段差だけ気をつけてね」
「ありがとう!和政いなかったら今、確実にプールに落下してた」
足をプールに入れて水の冷たさを感じる。
太陽がジリジリと暑いおかげで、プールは体を心地よく冷やしてくれる。
和政が膨らませてくれた浮き輪に乗っかって、私はビールを開けた。
和政は私の隣で、私の浮き輪をつかんでいる。
「あれ、和政は浮き輪乗らないの?」
「そしたら詩織と遠くなっちゃうじゃん。
今日はできるだけ、くっついてたいし」
そう言って、和政もビールを開け、二人で瓶同士で乾杯した。
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