後編 落ちる時はあっという間

■怒涛の沼落ち


 YouTubeを漁りまくり、既にある沢山のコンテンツを見まくった。

 ダンスパフォーマンスとは違う素の表情が見ていて楽しい。まだまだ芸能界に慣れていないこなれなさが初々しく、素直な反応に好感を抱いた。

 吉本興業の血を感じさせる言動に笑って、のびのびと楽しくはしゃぐ彼らを可愛いと思った。


 彼らの様々なコンテンツを追いかけてTikTokに手を出し、生配信見たさにInstagramを入れ、11人それぞれが主役を務めるドラマ見たさにLeminoも入れた。アプリはどんどん増えていった。それまでLINEとTwitter(X)、YouTubeくらいだった私のスマホ画面が彩りを増していく。

 TikTokは学生や若い子たちが楽しむものでしょ、なんて思っていたはずなのに。インスタは美意識の高い人がするもんだろう・・・・・・なんて思っていたのに、なんということか!(笑)


 Web小説投稿サイトに比重を置き、気晴らしのYouTubeと小説宣伝のためのTwitter(X)が主だった私のスマホの稼働率は増えていった。


 私がアイドルオタク初心者な部分もあるが、ファンに韓国アイドル好きが多くいるらしく、聞きなれないお初の言葉が次々と耳に飛び込んできて面食らった。ケミ、マンネ、ミーグリ、モッパン。ググりまくって新しい世界を走り回った。


 雑多アカウントの私のTwitter(X)にはJO1のツイが増えて、いまでは推し垢と二足のわらじである。

 毎週水曜の夜にはラジオに耳を傾ける。深夜ラジオは学生の頃聞いたきりだった。まさかまた聞き始めるとは思いもしなかった。


 途中からJAM(ファンネーム)になった私は時系列がわからず、おすすめ動画に飛び付いて混乱した。新曲が出るたびにメンバーの髪色が変わりスタイリングも変わっていたのだ。

 映像の動きの早さに追いつこうと彼らを髪色で追いかけて大混乱(笑)。覚えたはずの顔と名前が合わなくて顔が同じように見えた日々が懐かしい。


 あれこれと見るうちに11人それぞれの個性がわかってきて、組み合わせによって見せる一面が変わるところがまた面白い。

 例えば、年下のメンバーと一緒だと落ち着いたお兄さんらしい人が、自分より年上のメンバーと一緒だときゃっきゃして弟感満載だったり。年の近いメンバーにツンとして見せたり。

 コンビをケミと呼ぶけれど、まさしくケミストリー。誰と一緒かで違う化学反応を起こす。どのケミも面白くて良い味があって好きだ。


 ライブストリーミングという視聴の仕方も初めてだった。それまではライブは会場で見るものだった。Kconを知り韓国が音楽産業で頑張っていることを知った。韓国と言えば韓ドラくらいしか思い浮かばなかった私の中にK-POPというジャンルが入ってきた。


 いまでも印象に残っているのは河野純喜の言葉だ。


 スタッフしかいない場所での配信ライブで「JAMちゃん! どこだぁ────!!」とファンネームを叫ぶ声に胸打たれ涙がこぼれた。


 コロナ禍でままならない活動と葛藤、埋め尽くされていたスケジュールは真っ白になり、日本から出ないのにどこがグローバルボーイズだと揶揄されたこともあったらしい。デビュー後に思い描いた未来が希望が打ち砕かれた。その時の彼らの気持ちを考えるとまたぐっとくるものがある。


「応援したい、応援しなきゃ!」


 私の心の中では県民応援魂の旗に並んでJO1のロゴが入った旗も強くなびいている。

 華々しくデビューしてなんの問題もなく知名度を上げて人気グループになっていたら、もしかしたら私はこれほど心を持っていかれなかったかもしれない。


 ・・・・・・でも。


 やっぱり好きになっていたと思う。


 彼らは否定しないんだ。


 話し合いの中でそれぞれに意見を出しあう場面をよく見かける。なかには方向性の違う意見をいう人や突拍子もない事を言い出す人もいるけど、彼らは否定しない。


「いいね」

「いいんじゃない?」

「面白いwww」


 そう言って一旦受け止める。

 受けたたうえでより良い方向に持っていくにはどうするかと考える。

 突拍子もない事を活かして全体を変化させたり、方向性が噛み合わないと思えば次の機会にそれを取り入れようと提案して一旦保留にしたりする。


 そんな懐の深さと柔軟性が安心してみていられて好きなところ。


 お互いに尊重しあっていいねってそっと受け取って転がしあって感謝を口にして頑張っている。互いを支え補いあい切磋琢磨している。

 何よりもパフォーマンスすることを楽しんでいることが見ていて嬉しい。無観客ライブ、声なしライブ、音楽番組の出演も限られる日々を経てきた彼ら。いま有観客でライブできることを、披露できることを楽しむ生き生きとしたパフォーマンスにエネルギーを感じる。


「やっぱりライブは良いね」

「JAMに会えて嬉しい」


 彼らの素直な喜びや生き生きとしたその表情をもっともっと世界に広げていきたい。


 小さかった雪だるまは大きさを増して、転がすファンが追い付かないくらいの勢いで転がり始めてる。もっともっと大きくなって、どこに目を向けても視界に入ってくるくらい大きなグループになってほしい。



 私は旗を振り続けるよ。

  ずっと応援し続けるよ。


   Go to the Top ! JO1!



 12人目のJO1として南の地から愛を叫ぶ。 o(*^▽^*)ノ




◆◇◆ 推し語り           ◆◇◆

◆◇◆ ドル沼初落ちドタバタ記(JO1)◆◇◆



  おわり


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推し語り ドル沼初落ちドタバタ記(JO1) 天猫 咲良(あまね さくら/改名) @amane_mei

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