少子化対策を口実に
ヤスイ・テツカズ(安井鉄和)
第1話 生涯未婚率をさげろ!
少子化対策は、うまくいかなかった。
生涯未婚率は、さがらなかった。
なにか うまいやりかたは ないものか。
とにかく 結婚させればいいんだろ?
そこで、ひとりのガイコク出身者が提案をした。
「市役所は、国籍不問で雇用しなければならない。そして、職員の人権を尊重し、思想信条に基づく言動を尊重しなければならない」
国籍で差別するのはけしからん。人権を尊重せよ。思想信条も言動も自由。表立って反対意見を表明することは、だれにもできなかった。
中高年の独身者は、ヒセイキのヒコクミン職員によって、恣意的に、かってに、いわゆるパートナーをきめられて入籍の手続きをさせられてしまった。本人のしらないうちにみずしらずのアカの他人と結婚させられてしまうのだ。正当な理由がないかぎり、そして双方の合意がないかぎり、離婚は許可されない。
ことばは通じない。話し合いは不可能。双方の合意など、そもそも無理なのだ。
子供は、つくらない。つくろうとしたら、性行為を強要されたと主張すれば、みんな外国出身の女性の味方をする。
で、オトコが先に死んだら、家も土地も財産も、すべて脱チョメ者のものとなる。そしたら、べつのオトコをよびよせればいい。
すべては、旧植民地の出身者を「救済」するための法なのである。とても人道的で人権重視の法なのだ。
ヒダリマキ世界では、国内法よりも国際法が優先される。それを政治家が拡大解釈して、国内出身者よりも外国出身者を優先させる世の中が実現してしまった。
そうやって、生粋の現地出身者の家も土地も財産も、脱チョメ者のものとなる。かれらが財力をたくわえ、いい生活をして、充実した教育をうけて、社会的な発言力が増大していった。
すでに選挙は形骸化してしまっている。立候補できるかどうかを決めるのは、役人なのだ。かれらは、特定の人々を優遇、いや、カバイダテする。
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