二人の恋は物語のように幕を下ろす
- ★★★ Excellent!!!
想い人と一緒に小説家の夢を追っていた主人公・立夏は、小説家志望であり、物事を繊細に美しく描写する目を持っています。本作は、彼の目を通して非常に生き生きと鮮やかに語られることが一つの魅力であると思います。
特に小説家を志望し、しかし想い人のような才能がないと苦悩し、それでも小説を愛する葛藤は胸に迫り、小説を読む多くの人間が主人公の気持ちに共感すると思います。
また、想い人・乃蒼を前にしたとき、彼の美しい言葉で独白し、あまりにも鮮やかに美しい人を描写する場面でも小説家を目指す彼の繊細な内側を覗くことができます。
悲しさを愛で洗い流すような、小説を愛する彼らが紡ぎ出す夢のように美しい恋物語でした。