第2話




 当時は恐ろしく聞いたはずのその言葉を、陸議はあっさり聞き流した。

 その瞳は、目の前のその人だけ見つめている。

 父の弟だったが、

 陸議の父親は幼くして亡くなったので、あまり父のことを覚えていない。

 

 だが寂しく思ったことはなかった。


(それは父親というものを、教えてくれる人がちゃんといたから)


 実の子でない陸議を引き取り、自分の子と同等に扱い、教え育ててくれた人がいた。


 陸季寧りくきねい



義父上ちちうえ……」



 陸康りくこうは暗がりの中でも優しく笑んで、


 頷いて見せた。




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