第8話
だらだらと話を淡々と続ける沢井に、段々とイラついてきた徳間は痺れを切らして話を折ってしまった。
沢井はそんな徳間に対して嫌な顔一つせず、明るい爽やかな笑顔で応えた。
「つまり、友達になって欲しいんだ。朝と放課後、一緒に勉強したい。僕は嫌なんだ。大学位は立派な所に行きたい。だから今から大学に行くための勉強を始めているんだ。君もそうだろ?」
「まぁ、私も高校を適当に選んで後悔しているのは間違ってないし、この学校の連中と仲良くなれる気がしない。それに知能指数が合わないのを実感している。自分のレベルに合う人と出会うために今勉強している。大学云々は正直まだ考えていなかったかな。」
「意外だなぁ。」
沢井は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
それから先程までの『社会を舐めくさったクソ若者』のような雰囲気はどこかに消えた。
その代わりに徳間と同じような、凛とした雰囲気を漂わせていた。
少しだけ考えてから沢井は言った。
「目標としている大学がまだ決まっていないなら僕と同じところ目指そうよ。」
「まぁ、レベルが低くなければいいよ。」
「じゃあ、東京大学ね。」
「うん」
「ん?いやそれは…」
「一度返事したから、取り消し無し。じゃ、そゆことで。」
と言って、沢井はその場を離れた。
図書室を出て行った。
勝手なことを約束させておいて、『そゆことで。』と相手を置き去りにするなど良いのだろうか。
おかしいだろう。
いやいやいや、おかしいだろう。
だが、『東京大学』か。
夢のまた夢だな。
東京大学東京大学東京大学東京大学東京大学東京大学東京大学東京大学東京大学東京大学東京大学東京大学東京大学東京大学東京大学…。
午後の授業中、徳間は勉強そっちのけで、昼休憩の時のことを考えていた。
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