第25話 いちごの縁


 桜の季節。


 桜色の着物に、赤い和傘を差してうららかな日和を散歩する。



 印象深いのは背中に羽根のはえた空飛ぶ小さな店員さん。



 苺をリースに見せるストロベリーリースタルト。


 注文しておいた店に寄って、注文品の確認がある。



 全体は大きなドーナツみたいな形。


 底の部分がクッキー生地。


 ゼリー状の上部は、ふんだんにカットされた苺が使われていて可愛く赤い。


 ゼリー状の部分そのものも、苺プラスのフレーバーがするらしい。



 今日は親戚の集まりで、何かしら持ち寄って食事の予定。


 私は嫁に来たばかりで、この恒例行事は初めてのこと。


 嫁ぎ先にだけある「ピンクと苺の日、親戚で持ち寄り会食」。


 読んで字のごとくそのままだと言われてるけど、まだ何か信じがたい。


 からかわれてるんだろうか?


 おじいちゃまが春頃に開催するらしいけど、「突然思いついた」とのこと。


 それから二十年間の恒例行事・・・?



 結婚するまで、旦那が言うのを忘れいたって・・・


 普通、そんな親戚の集まりあるんだったら話題に出てきてもいいのに・・・


 旦那のうっかりみたいなのは、もう気づいてるけど・・・



 旦那の実家近くになると、軒先で遊んでいる親戚の小さいのたちが遊んでいた。


 着ているのは今日のために皆ピンク系統。


 少しぎょっとしたのは苺柄の着物・・・苺柄が存在するのを知らなかったから。



 会食前の準備中、雨期には「紫陽花記念日親戚持ち寄り会食」の話になって


 旦那が話しておくのうっかりしていた、ってもう酔ってるから少し呆れてしまった。


 紫陽花の件と紅葉の件は、結婚前に聞いていて素敵だと思ったから嫁いだんです。

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