第49話 お宝発見

 実際に魔法を使用したわけじゃないけど、こうやって実際に成果が出ると魔法使いになった気分になるな。


「どうしたんだよ、デカい声出して」

「モンスターでも現れました?」


 こちらの雄叫びに反応したハモンズさんとレニアさんがやってくると、クロップが状況を説明。


 魔鉱石を使うくらい、こっち側の世界の住人にとっては何でもなく、子どもでもできる簡単な作業のだろうが、俺が異世界人であると知っているふたりは大喜びで祝ってくれた。


「やりましたね、ユーダイさん!」

「魔力の『ま』の字も分からなかったのになぁ。大したもんだ」

「いやいや、まだ水滴レベルだし、もっとたくさん出せるようにしたいね」


 ひとつできるようになると、さらに上のレベルを目指したくなる。

 とはいえ、今は魔鉱石探しの最中。


 こちらがメインイベンだ。

 魔力鍛錬はここまでにして、俺も探索を再開しよう。

 

 ちなみに、ハモンズさんとレニアはあれから周囲の石を片っ端から砕いたり斬ったりしていったようだが、結局ひとつも見つからなかったという。

 オルティスさんからの提案で、ひとまずここでの調査を切りあげて場所を移動することとなった。


 再びオルティスさんを先頭にしてさらに奥へ。


 ここから先は彼にとっても初めて訪れる場所だという。

 最初は不安もあったが、こうなるとなんだか冒険者気分を味わえていいな。さすがにダンジョンへ行くのはためらわれるけど、屋外だし、まだ明るい時間帯だからっていうのもあってか、恐怖心はほとんどなかった。


 事前にオルティスさんからモンスターの出現は数年以上確認されていないって教えてもらっているのも大きいな。

 しばらく進むと、少しずつ草木が増えてきて、ちょっとした森のようになっていく。


「さっきの湖からそれほど離れてはいないんですけど、景色が随分と変わってきましたね」

「うむ。それに……先ほどよりも魔力の気配が濃くなってきたな」


 真剣な眼差しで語るオルティスさん。

 さらに奥へ歩を進めていくと、やがて遠くから何やら音が聞こえてきた。


「なんだ?」


 一瞬、オルティスさんは足を止めたが、すぐに音の正体が分かったのか再び歩き出す。やがて俺たちの前に現れたのは――大きな滝だった。


「な、なんて迫力だ」


 あまりのスケールの大きさに、開いた口がふさがらなくなってしまう。さっきの湖周辺も実に素晴らしい景観だったが、こっちも絶景と呼ぶに相応しいな。


「カゼノ村の近くにも滝はあるが、ここまでスケールの大きい滝は見たことがないぜ」

「わ、私もです……」

「僕も……」


 全員が呆然とする中、ふと視線を右側へと向けた時、さらに信じられない光景が飛び込んできた。


「オ、オルティスさん、あれってもしかして魔鉱石がじゃないですか!?」

「何っ? ――うおっ!?」


 珍しく体がのけぞってしまうほどのオーバーアクションを見せるオルティスさんだが、それも無理はない。彼のリアクションからして、俺が見つけたのは魔鉱石で間違いはないようだが、問題はそのサイズだ。


 デカい。

 ただただデカい。

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