◆2◆〈極東第三師団臨時司令部〉
〈極東第三師団臨時司令部〉
崩れた建物、瓦礫の中で身を寄せ合う怪我人や震えながら銃を抱く隊員達を背後に左目にリボルバーレンズの付いた眼帯の『死神』が、複数のモニターを浮かばせる通信装置と向き合っている。
死神:……おいおい、そっちも大変なことになってるみてぇだな。……いや?
臨時司令部に死神の部下達『
中ボス:(第三A)大変だぜ死神の姉さん!
死神:どうした『
中ボス:(第三A)それはさっきの火柱見た時に済ましたぜ!
死神:どおりでくせぇと思ったよ! 南から敵か?
中ボス:(第三A)ああ!
おもちゃ屋:(第三D)西からもっすよ姉さん! むしゃむしゃ。
死神:マジかよ『
おもちゃ屋:(第三D)西の倉庫跡で見つけた携行食っす!
死神:ざけんな、俺にも寄こせ。
おもちゃ屋:(第三D)み、みんなの分もあるっすよ!
中ボス:(第三A)やったぜ!
社畜:(第三B)ちなみに東もだよ。
教授:(第三C)北だってさ。
死神:結局全方位じゃねぇか、てめぇらいっぺんに言えよ『
社畜:(第三B)えへへ、サーセン。
死神:と……えっと、お前誰だっけ? というか、いたっけ?
教授:(第三C)あたしは、さっきシレっと合流させてもらった『
死神:『
教授:(第三C)だろ? 独断専行と命令違反繰り返してたらなんか付けられたのさ。
死神:そりゃぁ随分、碌でもねぇ野郎だなぁ?
おもちゃ屋:(第三D)姉さんがそれ言うっすか?
中ボス:(第三A)このボケナス! そういうのは思ってても言っちゃダメなんだよ!
社畜:(第三B)そうだよ! いくらほんとのことでもね!
死神:おい、テメェら今すぐ死にてぇか?
社畜:(第三B)死にたくない!
中ボス:(第三A)生きたい!
おもちゃ屋:(第三D)オレは死なない、何が何でも生き残って、それで、この戦いが終わったら、第一の『朝顔』さんに告白するんだ……!
中ボス:(第三A)教官! ここに死にそうな馬鹿がいます!
社畜:(第三B)それは違うぞ『
中ボス:(第三A)何がでありますか『
社畜:(第三B)何がって、分かるだろ、『
中ボス:(第三A)な、ち、近いでありますよ、軍曹……?
社畜:(第三B)オレ、この戦いが終わったら……、
中ボス:(第三A)あ、ぐ、軍曹……。
社畜:(第三B)死神の姉さんと結婚するんだ。
中ボス:(第三A)そんな馬鹿なぁ!?
教授:(第三C)結婚おめでとう!
死神:しねぇよ馬鹿! てか死ねよ馬鹿共!
社畜:(第三B)新婚旅行は月とハワイどっちがいい?
死神:んなもん月に決まってんだろ。
社畜:(第三B)おやぁ? それは付き合ってくれるってことですな?
死神:って! 下らねぇこと言ってんじゃねぇ!
おもちゃ屋:(第三D)とか言っちゃって、顔赤いっすよぉ?
死神:るせぇ! 今すぐテメェのそのナスみてぇな面を血で染めてやろうか!
おもちゃ屋:(第三D)ひ、ひどい!
死神:ひでぇのはテメェの面だ!
社畜:(第三B)ぷっ!
中ボス:(第三A)ははは!
おもちゃ屋:(第三D)へへへっ!
教授:(第三C)ふふ、あんたら緊張感無いねぇ? こんな状況だってのに。
中ボス:(第三A)こんな状況だからこそだぜ『
社畜:(第三B)そーそー。ガチガチになんのは死ぬときで良い。
おもちゃ屋:(第三D)或いはベッドの上で、だな?
間。
中ボス:(第三A)……引くわぁ。
社畜:(第三B)下ネタかよ。
死神:ナスお前最低だな。
おもちゃ屋:(第三D)あれぇ?
教授:(第三C)ふふっ、仲いいねぇ。長いのかい?
社畜:(第三B)結成して三週間ってとこだよ。
教授:(第三C)にしては随分……。
中ボス:(第三A)だって、あの『死神』の姉さんと同じ部隊だぜ? もう余命宣告みたいなもんじゃん?
死神:喧しい!
中ボス:(第三A)なら、同じ舞台に立てる残りの時間、楽しまねぇとだろ?
社畜:(第三B)洒落たこと言っちゃってまぁ。同感だけど。
おもちゃ屋:(第三D)オレもオレも!
死神:全く、テメェら……。
おもちゃ屋:(第三D)だから、オレはもういつ死んでも後悔はねぇ。まぁ、生きてあの優しくて、強くてかわいい『朝顔』さんと添い遂げられたら——
教授:(第三C)ふふっ、なら『朝顔』と仲良くするといいさ——
『
死神:…………っ!
教授:(第三C)——あの世で。
第三師団臨時司令部のモニターが爆炎に包まれる。
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