第33話  「そんなに違う物なの?」

 頭の中はフル回転!、でも中身がスカスカだからな…



「どうしたの難しい顔して?、あたしとクリスマス過ごすの愉しみじゃ無いの?」

 頭の中をフル回転させ答えを探す、回答を間違う訳には行かない!、それで俺の口から出た回答は…。


「幾つか思う処が有ってね、コッチと俺の田舎じゃクリスマスって行事が全く違っててさ、何でだろって考えちゃってさ…」

「そんなに違う物なの?」

「あゝ全く別物だよ、コッチじゃ恋人同士の為のイベントって感じだよね、俺と悠美見たいに二人で過ごす夜って感じじゃ無いかな?」

「うん♥、だからあたし愉しみ!」

 (≧∀≦)♥

「俺の田舎じゃクリスマスは教会ミサに行って、その後に家族でお楽しみのケーキと鳥の丸焼き!って感じ何だよね、コッチと大分違うでしょ?」

「全然違うね、何でなの?」

「そう何だよね、だからコッチに出て来て初めてのクリスマスは驚いたよ…、まるでお祭り見たいだって!」

「それじゃびっくりしたでしょ?」

「ホントにそうだった!」

「それで?」

「それでって?」

「何でそんなに違うのかって処!、答えて貰って無いよ?」

「あっゴメン、其れを言って無かったね」

「うん♥」

「俺の田舎は大昔、江戸時代に幕府お上に迫害受けても決して折れずに信仰を捨てなかったって、そんな土地柄何だってさ、今は勿論世の中が違うし、俺も信心深い訳じゃ無いけどね♥」

「それで?」

「身体の何処かに在るんだよね、人からは見えなくても天上うえからは悪事を見てるんだぞって…、だからおっかなくって悪さなんか出来やしない!」

「それでも他所の家の山に入って枇杷取りに行くんだ…」

 (ΦωΦ)フフフ…

「だから山に自生してる木だって!、自然に生ってるもんだって他所の家で育ててる物じゃ無いって!」

「解ってるって…、何時か連れてってね其処に…」


 其の時凄く遠い眼をして居た、遠い憧れの地を夢見る様に。其の心の内を知る事は出来無いが、俺の想像で合致あって居るなら…。

『私なら出たく無いな…、悪い人は居なさそうだから…』そう零れた言葉が頭に浮かぶ…。

「嗚呼約束するよ、俺の嫁さんだって紹介しなきゃ成らんからな!」

「うん、楽しみにして待ってるね♥」


 年末が近付き朝も大分冷え込んでいるが相変わらず迎えは続いてる、何時も本当に楽しそうにしてる‥。バイトの度にチェックをしてるが目的の募集は一向に掛からず俺は少し焦り始めていた、日刊〇N、フ〇ムA、あと毎朝配送されて来る朝刊の求人募集欄迄、特に日刊〇Nは三日毎位に内容が刷新されるので刷新される度に隅々まで見ているのだが未だに載って無い…。


「こんなんじゃ、何時まで経っても迎えてやれないだろ!」

 焦りは日を追う毎に増して行く、その焦りが何でなのかは自分でも解ってる…、本来ならば此の年末年始に帰省するのが当然の事、何でだと思う?。

 つい先日未成年では無くなった、本来なら地元に帰って成人式を迎えるのだが、俺は夢を掴み一人前に成ってから帰省すると言って故郷を出て来たのに未だに掠りもしない、一人で居る間は何年待ってもと全く気にしなかった、いや違うな気にはしていたが夢を掴み大手を振って帰ると誓ったから、でも…。


「おめでとう、今日から二十歳だね、まー坊の歳も聞いて無かったから同い年位かなって思ってたのに、一寸年下だったんだ♥」

(⋈◍>◡<◍)。✧♡

「そう言えば俺も悠美の歳知らないよ?」

「あたし?、女の人に歳聞いちゃうんだ?、聞いちゃいけないんだよ♥」

「其れは初対面の女性にでしょ?」

「噓ゝ、夏に24に成ったのよ♥」

「そう…なんだ、クリスマスって事なんだ…」

 参ったな半年位しか残って無いぞ、如何すんだよ!


「まー坊今何て言ったの?」

「否、何でもないよ!」

「何か気に為るな…、やっぱり若い子の方が良いんだ?」

「んな事言ってませんて!」

「おばさんには興味無いって事なのね…」

 ( ノД`)シクシク…

「何でそんな事に為るんですか?、そんな事一言も言ってませんて!」

「ホントかな~?、なら証明してよ!」

「証明ですか?、でも如何やって証明するんです?」

「簡単だよ!、名前書いてハンコをポンと一つ押せば証明できるよ♥」

 嘘だろ?、本気で言ってんのか?、嫌本気だよなあの眼は…。


「イヤイヤ一寸待って、せめて正社員に成ってからだって!、無職で其れは世間体って物が…」

「そんなの気にしてるの?、あたし気にしないよ、其れより家族が欲しいな♥」

「だから正社員に成ってからにしましょ?、無職で嫁さんが居てじゃ面接官だって良い顔しないでしょ?」

「そうか…、そうだよね…」

「そうでしょ、ならこうしましょ、正社員に成って試用期間が終わったらで如何です?」

「それまで我慢するの…」

 (ToT)…

「でも何でそんなに急ぐんです?、もしかしてクリスマスケーキっての気にしてます?」

 聞き齧りだが前回言われた事を思い出してしまい、思わず言葉にしてしまう。


「それは気に為らない訳じゃ無いけど、あたし逃げ出して来たでしょ…、今の儘じゃ親に顔を合わせられないし怖くて帰れない…」


「ゴメン嫌な事思い出せてしまったね…」

「だからねまー坊と一緒に赤ちゃん抱いて帰りたい、今はこんなに幸せにしてますって言って♥」

 (≧∀≦)♥

「解った!なら急がないと為らないな!」

「だからハンコ押して?」

 (=^・^=)

「だから順番だって!」

「まー坊のケチ!、それじゃ早くお仕事見付かるの祈ってるね♥」

 思い出だしたくない事を思い出させてしまった事が、心に痼しこりの様に残ってしまう、軽率だったと…。


 その事も有り寒空の下で手袋に息を吹き掛ける姿を見る度に不甲斐ない自分が情けなくなる…。


「せめて温かく成る迄は迎えを休まない?」

 勿論そう言って迎えを止めさせ様としたのだが。

「大丈夫だよコッチは未だ雪は降って無いよ、向こうじゃ此の時期には雪降ってたしね、窓から外を見てると厚い雲に覆われてさ…、外が暗いんだよね此処から大して離れてる訳じゃ無いのにね…」

 其の光景が目に浮かぶ、一番楽しい高校生活の時期に自室で哀し気に窓越しに外を眺めてる姿を…。


「解ったけど…、それじゃ悠美が体調崩さない範囲でお願いするよ」

「うん♥」

 微笑む顔に俺は何時になったら本当の笑顔を取り戻して上げられるのかと考えていた…。


 まー坊のケチ!

 ٩(๑`^´๑)۶

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