第26話 捕まると長いからね…
コラ待ちなさいって言われても…
有無を言わせず引き摺られ部屋まで来てしまった、俺の意志の弱さも有るけど、このお姉さん結構強引なのかも…。
「そう言えば仕事はどうしたんです、今日も休みを取ったんですか?」
「ううん違う辞めてきたの、昨日話を聞いて貰ってもう一度続けるか考えて答えを出した、其の後で会社に手続きに行ったのよ、あんな事が有ったから直ぐに受理されて、今日からは有休消化中」
「良かったの其れで?」
確かにああ言った事の有った会社には居辛いだろう、だが周りから白い眼で見られる事の無い知らない場所へ行きたい、其の一心で頑張って手に入れた職場の筈だ。
其れを手放してしまうとは…、それも俺と話しをしたからと、聞いて貰ったからとも言ってる…、話しを聞いてしまった俺にも責任が有るんじゃ無いかと感じてしまう、本当にそれで良かったのだろうかと…。
小さく頷くと正座し膝の先に手を付き頭を下げる。
「此の侭の私と御付き合いして下さい、そして・・抱いて下さい…」
最後は呟く位で。
「ハイッ?」
(@_@;)!
今なんて言った?、俺の聞き違いか?、嘘だろ?、きっと冗談だよな!。
「一寸待てって!、付き合って欲しいと言われたのは嬉しいが、幾らなんでも行き成り過ぎないか?、俺が未だどんな男か判らんだろうに!」
小さく横に首を振る。
「今の私が好きだと言って呉れました、其れで充分です貰って下さい」
今は独り身で断る理由は勿論無い、今外からの音も聴こえ、同じアパートの住人だろうかテレビの音も聞こえて来る、しかも未だ朝早い時間で此処は学校の傍、友達と燥いで登校する元気な子供の声もする、何より昨日の今日でってのは流石に一寸…。
「いや好きなだけ時間を上げるから、もう一度良く考えてくれる?」
「何でですか?、アッ!、もう付き合ってる方が居るんですか?」
「今は居ませんけど…」
「今は居ないって…、居ないのに…、ヤッパリあたしは他の女性より劣ってるんですね…」
「んな事無いって、俺には勿体無い位ですって!」
「なら貰って、お願いします!」
一寸待った、昨日やっと落ち着かせたのに又振出しに戻ってる!、どうすりゃ良いんだ?、嘘でも今付き合ってるのが居るんだって言えば良かったのかよ!。
「昨日お姉さんに言ったでしょ、良い人が出来る迄大事に取っとくもんだって!」
「今が其の時なんです!」
「困ったな…」
「あたしの何が駄目なんですか?」
「駄目とかの問題じゃ無くて、今迄真面に話した事も無いでしょ、暫くは何処にも行かないし逃げも隠れもしないって、店に来れば何時でも会えますから!、だからよ~く考えてからにして呉れませんか?」
「暫くって…、居なくなっちゃうんじゃない!」
不味いどうして何時も余計な一言を事言っちまうんだよ俺って奴は!。
「本当に何処にも行かないって、流石に何時までもバイトって訳には行かないでしょ?、ちゃんと正社員の仕事に着かないと家族を持てないって言うかそう言う意味だから!、解って呉れる?」
「だったら何も問題ないじゃ無いですか、お仕事探す間も傍に居て良いって事ですよね?」
何か…、何か会話が微妙にズレてる…、こんな人だったんですね…、すっごく危なっかしい女性なんだ。
「だったらお付き合いを初める処から始めませんか?」
「ホントに?、あたし彼女にして貰えるのね!」
やっと笑った、一番多感で楽しい筈の時間青春を俯いて隠れる様に過ごし、其処から変わろうと努力し手にしたのに又付け込まれた、なのに何で素直に喜べるのかな…。
「納得して貰えたみたいなんで今日は是で帰りますね!」
「何で帰っちゃうの?、此処に居てよ彼氏なんでしょ?」
「流石に初日に彼女の部屋に居座るってのも変でしょ?」
「産まれて初めて彼氏をお部屋に招待したのに何で直ぐに帰っちゃうの!」
「生まれて初めて?」
「そうだよ此処に居て、忘れずに貰ってね♥」
「貰ってって・・・」
日を改める様に伝えたが完全にスイッチが入ってる、まあ場所変えて見れば気分も変わるだろ、落ち着いて呉れれば話も解って呉れるだろうし、慌てずのんびりと進めるんじゃないかな、もう二度と選択肢を間違えない様にして。
「一寸待ってて!」
「ヤダ!何処にも行かないで!」
「流石に此の時間で此処だとまずいだろ、バイク取って来るから場所替えよう!」
出て行こうとすると腕を掴んで離さない、昨日乗せたバイクを取って来るからと、15分位で戻るから待ってくれるように説得した、まるで置いてきぼり喰った子犬の様だ。
「ちゃんと戻ってきて呉れるのね?」
「あゝ判ってる、直ぐに戻るから!」
頷いてドアを出た、まあ戻って来るまでに多少気持ちも落ち着くだろうと踏んでいた、正直俺も前回の事から余り時間も経過して無い、分かり合える別の方法が有ったのではと考えた事も在る。
だからこそ時間を掛けても、違うな時間をかけた方が良いじゃないかと思う、もう悲しい顔を見るのは御免被る喧嘩する事も在るだろうが笑って長い時間を過ごして行けば良い、先は永いんだし焦らずに…。
戻っもて未だ気持ちが変わって無かったとしても、乗せて走っている間に気分も変わると思う、其の時は昨日の海に連れて行ってやれば良いか、今なら笑って二人であの場所へ行ける。
「お疲れ様です!、バイク取りに来ました」
「良い所に来た!、どうしても思い出せないんだけど一体誰なのよ?」
「さっき言ったじゃ無いですか、この店の人なら知ってる人だって!」
「思い出せないから聞いてるの!」
「急いでますんでもう行きますね!」
捕まると長いからね、おばさま方は…。
「コラ待ちなさい!」
待ちなさいって言われても…。
「急いでるって言ったでしょ、そうだヒントは普段スーツのお客様ですよ、お先に!」
長居は無用!、全力で逃げ出した。
ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
バイクを乗り換えて直ちにお姉さんの家に戻った、ただ<Γ>で戻った俺の考えは本当に甘かった…。
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