第4話  其の機会は突然に訪れる

 その出会いは本当に突然に訪れる。


 渋滞する車の間をパッシングし猛烈な勢いで追い上げて来る四角い二つ目のヘッドライト、白バイとの一件で此の儘進むのが嫌で気分を切り替えるのにルートを変更、明治通り側へ左折し直ぐに次を右折、京葉道路に入り錦糸町駅前を通過中、車は流れてはいるがかなり混んでいた。


 此方は車の流れに乗り40㌔位で走行中、ミラーに後方から猛烈な勢いで真っ直ぐに突っ込んで来るヘッドライトが映る。

「もしや?」

 全身に鳥肌が立ち見逃すものかと身構えるが、俺の眼で捕らえられたのはほんの数秒程だった。


 俺の脇を抜き去る黒い車体に目を奪われる!

「CBX750F!」

 車のミラーと間隔は数センチも有るだろうか?、渋滞の中をあの車体を正確にコントロールし俺の視界から消えて行った…、その迫力とも威圧感とも取れる存在感は畏怖に近い。

 感動だろうか?感激だろうか?其れとも恐怖?、暫く体の震えは止まらず、後を追ってとも思ったが既にその姿は視界の何処にも在りはしない。


 ほんの一瞬の出来事、今の俺では追付ける筈が無い、でも必ず追い付いて見せる!。

 彼等の存在を知った時から憧れ見たかった其の光景を今この瞬間見てしまった、此の先にもっと沢山の人達が居る筈。

「ここ迄来て、是だけで帰れるか!」

 (๑•̀ㅂ•́)و✧


 目的地までで他の仕事人に遭遇する事は無く、内堀通り迄進み目的地の皇居前に到着、歩道へRZを上げ停める後は彼等を待つだけ・・、程無くして数台が通り過ぎて行くが期待とは程遠く皆流している。


「のべつ幕なし速く走って居る訳も無いか…」

 (。・_・。)…

 残念に思いつつも意外な光景が目の前で起きる、内堀通りに沿う様に直進の筈なのに、1台が右折し通りから外れ警備の警官に何かを見せ中へ入って行く、皇居へと続く道を?。

 (・・?




 意外に思い暫く待ってると先程のライダーが戻って来た、警備の警官に頭を下げながら内堀通りに出て走り去って行く。

「皇居に入れるんだ!」

 (✽ ゜д゜ ✽)


 また暫くするともう一台同じ様に門の中へ消えて行く、一般人はましてやバイク等入れない物だと思って居たので此れには素直に驚く。

 暫く其の場所で通過して行く彼等を見ていて気が付く、流して通過して行く彼等が必ずと言って良いほど右折して行く事に…。

「行って見よう!」


 内堀に沿い歩道をRZを押して進む、右折して行く交差点に近づいた時に気が付く、手前迄流して走行していたのに交差点が近付くにしたがって速度が増して行く、また一台近付いて来る、業界最大手のクリーム色に濃紺のラインのCBX400F、ブレーキングしフルバンクさせ立ち上がる、社用車のフルノーマル仕様だが良きエグゾーストを発て加速し、車体を翻し次の左折のみ常時可の交差点へ消えてゆく…。


 今俺が立つ場所其処は警視庁前、警備で立ってる機動隊隊員の眼の前を・・。

 (´゜д゜`)!

 此処は関係者が呼んでいる<警視庁前コーナー>どれ位で抜けたと皆が自慢している所、走り去って行くCBXを眼で追っていた。


 その時後ろからパーンと弾けた音がする、2st独特の音、振り返ると右折から立ち上がりこのコーナーへ突っ込んで来る、パン、パンッとシフトダウンし短くブレーキング、車体を翻し其の侭進入し消えて行った…。

 そのライティングは兎に角上手く唯見惚れていた、でも違和感にも気付くアレはRZ125だったよな?。

 (・・?


 余りの速さで良くは見れなかったが…、丸目のライト?、丸い小さなウインカー?、リアにも同じものが装着されていた、リアの姿は確かにRZ125?、はっと気が付く此処まで来る途中に見た黒のCBX750Fも、今見た赤白のRZ125も俺がTVの画面で見たバイク!。

 ヾ(。>﹏<。)ノ゛✧*。


 今日はここ迄来て本当に良かった・・・。

(≧∇≦)


 ずっとそうして居たかったのだが対面する警視庁前の門番さんが此方を時々チラ見してる、悪い事してる訳じゃないのだが余計な面倒に為らぬ内に退散することに決めた、外務省から坂を上り議事堂前を通過し、内堀通りに沿って左折と思ったら外をまくられた、そしてRZ125は渋滞する車の中を小さくなって排気音を残し消えて行った。


 既に追う気は無かった…

<早く此処まで来い‼>と言われた気がしたから。

 ( ´ー`)フゥー...


 帰り道途中までは順調だったが重要な見落としが在った、県境以降の京葉道路は軽二輪以上じゃ無いと通れない、俺のRZじゃ通れない…、遠回りする羽目に為り結局来る時と同じ14号経由と為って仕舞う。

 (¯―¯٥)…


 でも迂回した分考えられた、上京すると決めた日に眼にした2台・・。


 怒涛のド迫力の黒い一台。

 魚が泳ぐように現れ消えて行った白/赤の一台。

 此方に来いと後押ししてくれた二台が俺に姿を見せ付け消えて行った。

 <速く追い付かないといけないのだと・・・。>

 (。・_・。)…



 さて赤白ツートンカラーのRZ?、と思われた方正式にはRZ125Sです、何方が乗られて居たかは判りませんがTVで見た其の車両で或る事は確認出来て居ります、通常の凸面ではなく〇IBIE製の凹面タイプのヘッドライトか特徴でしたから、其の後のライダーさんが白とスカイブルーのストロボカラーに塗りなおしてヘッドライトはカッコ良い!、と其のまま使ったのでしょう…。

 何故断定出来るのかって?、実はサイドカバーの裏に塗り残しが有り車体の元の色は確認できたのです、私も其のRZ125Sのオーナーの一人ですから…。

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