第4話

「星になった彼等」




第三話 後編「七夕の夜、、 一つに。」




雀達が声を鳴らしている。近くの公園からラジオ体操に精を出す老人達の活気良い声が聞こえてくる




朝の弱い私は時計のタイマーの音で目を覚ました。




季節は7月に入り、この北の大地も、すっかり夏日よりだ。 太陽が眩しく輝いている。




そう言えば、今日は7月7日、本州では七夕の日なのだ。




ふと、携帯に目を向けると、史名からのメッセージがあった。




「おはよう、里美さん! 今日も天気が良いね、会えるの楽しみにしてるね!」




もう出会って大分経つのに、今だ、彼からのメッセージを見るだけで、まるで中学生の様に初初しく心をときめかせる自分がいる。




「私も楽しみにしてるね史名!」




私はLINEの返信を済ませると、いつもの様に出勤準備をして、病棟へと向かった。




「おはようございます、神野さん!」




「あら、坂本さん、おはよう! 今日は本州では七夕ね。」




彼女と話していると心が和む自分がいる。




続けて彼女は話した。




「今日は、レクリエーションで、皆で七夕パーティーをするみたいよ! 短冊に書いた内容を話して、流しそうめん食べるんだって! 楽しみね!」




七夕を祝うのなど、何年ぶりだろう。


私は幼い頃に家族で七夕祭りに参加したのを思い出した。 私は特に裕福な家に生まれたわけでもなく、ごくごく自分は平凡だと思っていた。




だけれども、あの若さで家族と離れて、この病棟に入院して暮らしている史名の事を考えると胸が痛くなった、と同時に彼を強く強く抱き締めてあげたい、そう想った。




その日、7月の空は雲一つなく、まるで七夕のこの日を祝福しているみたいだった。




そして、午前中に私達スタッフは七夕パーティーの準備に取り掛かった。皆、患者さん達は活気に溢れている。 史名はどうしてるかな、なんて思い、辺りをチラチラと見回すと、後ろから、あの高くて美しい声に呼ばれた。




「おはよう、里美さん!」




(あ、史名!)




「おはよう。今日は七夕パーティーだね!」




「うん!」




作業の疲れも彼と会うと一瞬で吹き飛ぶ。話している最中、まだ十代、史名は七夕パーティーの今日を、とても嬉しそうにしていた。ニコニコと微笑むその可愛い顔に勤務中だという事をふと忘れそうになる自分がいる。




足元には変わらずハナが史名にピッタリとくっついている。




「ハナもおはよう!」




彼女にも挨拶をし、その大きな頭をよしよしと撫でた。 (ハナ、いつも史名をありがとうね。)




私は先ほど、考えていた史名が家族と離れて暮らしている事を思うと、私よりも何年も彼との付き合いが長いハナへの強い感謝を感じ、再度、その白髪がかった頭や首もとを撫でた。




ハナはポカンとした感じに私を見つめ、無邪気に顔や手を舐めてきた。




さて、午前の準備を終えると、七夕パーティーの為に上司達が流しそうめんに使うのに、どこで買ったのか何本もの竹を用意をしていた。




その日の昼食はスタッフも患者さん達も皆、元気良くキラキラと流れる麺を食べ、短冊の願いを皆で語っていた。




「渡さん、そうめん、美味しいね、今日は体調どうですか?」




私達スタッフよりも、史名は渡さんの調子を気遣い、おしとやかな声で話し掛けた。




「あらー史名君、久しぶりだねー! 最近は調子良いわよ、ありがとうね。今日は特別に七夕だから、外泊届け出して、子供達にやっと、会えるの!」




そう答え、渡さんはとても嬉しそうに子供達の写真を史名に見せた。




小学生位だろうか、長男の男の子と次女の女の子が写っている。




この日を本当に楽しみにしていたのだろう、彼女は満面の笑みを浮かべていた。




そんな光景を見て、


(そっか、今日は患者さん達の数少ない外泊日なんだ。 史名は誰と過ごすんだろう。。)




パーティーの中で他の患者さん達と話す中、私はずっと史名の事について考えていた。




近くに目を向けると、老若男女様々な患者さん達に囲まれ、皆に優しく語り掛けながら、また、一人一人の話をうんうんと耳を傾け頷き、聞いている神野さんの姿があった。




2~3人の患者さん達の話を聞いて業務をこなすのに、精一杯な自分と比べ、けっして、おごる事もなく、何人もの患者さん達を見ている彼女は本当に凄いな、と思った。




太陽はますます、散散と降り注ぎ、もう気温も30℃程になっただろうか、私は額にかく汗をハンカチで拭い、持ってきた水を飲んだ。




「里美さん、大丈夫?」




その時、後ろからヒンヤリとしたスイカを持って史名が私の近くに来てくれた。




「あ、史名。ありがとう、大丈夫だよ、気使わせてごめんね、また後で話そうね。」




私は小声で史名に語り掛けた。




「里美さん、今日、皆、他の患者さん達、、同様に僕も外泊許可日なんだ。」




彼は少し下を向いて、そう話した。




そんな様子を見て、私は彼に尋ねた。




「そっか、史名は実家に帰るの?」




私の問いに少しの間を置いて史名は答えた。




「僕、、おばあちゃんと一緒に暮らしてるんだ。。」




そう話す彼の顔はどこか寂しげだった。




どんなに、史名が大切な存在であっても、出会って間もない私は彼の家庭環境について詳しく聞けなかった。。




「史名、あの、、」




私がためらいながら、話す前に彼は小声で私に尋ねた。




「今日、里美さんと、、」




私は彼が何を言いたいのかすぐに分かった。




「私もだよ、史名。貴方と過ごしたい。。」




「じゃあ、僕、おばあちゃんに友達の家に泊まるって話しとくね。」




私達はどこか、ぎこちなく、お互いに顔を赤らめていた。




「じゃあ、また後で連絡するね、史名。」




私はソッと彼の手に触れ、業務に戻った。




夏空の空の下、太陽は変わらず暖かく、竹を流れるそうめんはキラキラと輝き、周りも皆、楽しそうだった。




私の心の中は今夜、史名と過ごす事でいっぱいだった。




いつも見ている同じ風景、周りが全て美しく見える。こんな私は、ふらちだろうか、私の心は高なる高揚感で満ちていた。




やがて、パーティーも過ぎ、陽も沈みかけ、外泊する患者さん達は皆、どこか、嬉しそうだった。




特に渡さんは本当に幸せそうだ。




(良かった、渡さん、やっと子供達に会えるんだ。)




「渡さん、お子さん達と楽しく過ごして下さいね!」




業務を終えた神野さんが温かく彼女に声を掛けると、渡さんは「うん!ありがとうね!」と元気良く答えた。




そんな中、私は史名の方に目を向けると、彼も同じく私を見つめていた。




私達は出会った頃の様に少しぎこちなく、互いに照れながら目を反らした。




そして、、LINEで連絡をし、夕方の六時にあの花屋の前で待ち合わせる事にした。




(早くお仕事終わらないかな) 私は高鳴る胸の鼓動を抑え、一日の訓練日誌を急いで書き終えた。




「坂本さん、お疲れ様、明日は休日ね!」




神野さんが話し掛けてきた。




「あ、神野さん、お疲れ様です。神野さんは休日、予定はありますか?」




「天気も良いから、私は子供と旦那とピクニックに行こうと思ってるの!」




家庭か、、史名の事が再度頭に浮かんだ。


彼はどんな境遇で祖母と暮らしてるのだろう。。




そんな事を一瞬、ボーッと考えていると、




「坂本さんは今週は誰と過ごすの?彼氏さんかな?フフ。」




(どうして、この人は私の事がこんなに分かるのだろう。。)




「じゃあ、今日もお疲れ様、残り私、仕事やっとくから、上がって大丈夫よ!」




「いつも、本当にありがとうございます。」




お礼を言う私に、彼女はニコリと微笑みながら、見送ってくれた。




時間は5時半、丁度、6時には待ち合わせの花屋に到着する。




道を歩く最中、私の頭の中は史名の事でいっぱいだった。 私の部屋汚くないかな、史名が大好きなカルピスも買ってかなきゃ、美味しい料理も作ってあげたい。




そして、、夜はどんな風に過ごすんだろう。。




考えれば考えるほど、彼への想いが心のなかで膨らんでくる。




そうして、歩く事30分、待ち合わせの花屋が見えてきた。




(あ!史名だ。。)




もう今の関係になってしばらく経つのに彼の姿を見るだけで心がときめく自分がいる。




声を掛けようと思った時、史名は丁度、先日見た花屋で飼われている、あの雄の大きな黒ラブの吾朗が史名と戯れていた。




コロンとした愛くるしい大きな体を史名にあずけ、嬉しそうに尻尾を振っている。




病棟でお留守番をしているハナが見たら、まるで嫉妬しそうな位に夏の夕焼けと重なり美しい光景だった。




「史名、、お待たせ。」




私はまるで、人生で初めてのデートをする十代の少女の様に顔を赤らめた。




「お仕事お疲れ様、来てくれてありがとう。里美さん。」




そう言って彼は腹這いになって喜ぶ吾朗の顔を撫で、ニコリと微笑んだ。




彼の笑顔を見て緊張が少し和らいだ。




「じゃあ、またハナと一緒に来るからね。またね。よしよし。」




名残惜しそうにする吾朗に史名は優しく、その大きな頭を撫でた。




私達が店を後にしようとすると、花屋の奥さんと一緒にいつもの店長が出てきた。




「おー!お姉さん、久しぶり! 二人とも吾朗の相手ありがとうな!」




「ほら、吾朗、ご飯の時間よ。よしよし。お二人とも毎度、吾朗の事可愛がってくれて、ありがとうございます。」




彼等夫婦は、私達の関係にとやかく言う事はなく、いつも笑顔を見せてくれる。




「じゃあ、またなー!」




店長夫婦に見送られ、私達は店を後に、私の家へ史名と共に向かった。





「やっぱり、あの花屋さん良いよね、心が温かくなる。」




史名にとって、数少ない心が癒される場所なんだろう。




「そうだね、あの店長も奥さんも吾朗君も皆、私達に温かいよね。」


(私達も、あんな夫婦になれたらな。。)




史名と話していて、フッと将来の願望が頭に浮かんだ。




そして、私の家へ向かうのに、向かえの森林公園前の停留所でバスに乗った。




バスで向かう途中、知ってる人がいないのを確認すると、私は史名の手を握った。


彼も優しく握り返してくれた。




夏至の頃よりも、日が沈むのも若干早くなった。 窓から見える夕暮れがかった景色を私達は二人して眺めていた。仕事帰りや、部活の帰りだろうか、沢山の人達が行き交っている。


今、私達はどの人達よりも幸せだ。


互いに言葉など交わす必要もなく、二人の想いは一つだった。




やがて、数個の停留所を過ぎ、私のアパートの近くに着いた。




「こんな場所に住んでるんだね、何だか心地良いな、この場所。里美さんが住んでると思うからかな。。」




辺りを見回し、史名はどこか嬉しそうだった。




暖かい夜風が私達の頬を撫でてく。


二人が二人でいれば、全ての事が心地良く、美しく感じる。




「史名、どうぞ。」




私はアパートのドアを開け彼を初めて私の部屋に入れた。




「お邪魔します。」




そう言い、彼は自分の靴を綺麗に置くと、私の部屋に入った。




(私の部屋、汚くないかな、変な物置いてないかな、、)




私は大好きな史名に悪い印象を少しでも持たれたくない、そんな事ばかり気にしていた。




だが、そんな私とは裏腹に史名は満面の笑みを浮かべた。




「これ、花屋さんで撮ってもらった写真だよね!」




私はあの日の写真を大切にテレビの前に額縁に入れて飾っていたのだ。




「うわー、ハナも吾朗も嬉しそう、僕達も笑顔で映ってるね!」




写真を見て史名はまだ、あどけなさが残るその顔でニコニコと微笑んでいる。




私達はしばらく、あの日の写真を二人して眺めていた。




気付けば時計はもう夜の八時を過ぎようとしていた。ちょうど、お腹のすく時間だ。「史名、カルピスも買ってきたよ、後、好きなご飯作るからちょっと待っててね!」




私は決して料理の腕前に自信などないが、以前に聞いた史名の好物のオムライスを作る事にした。




料理をしている最中も史名はじっと写真を眺めていた。 (よっぽど嬉しかったんだね史名、良かった。)




何だか史名がこの部屋にいるという事自体が不思議な感覚がする、出会った頃から私の大切な大切な史名が今、同じ部屋で時間を共にしている。私は思わず自分の頬をつねった、良かった、今ある幸せは現実なんだ。




調理する事、数十分、ようやく料理が出来上がった。




「綺麗。美味しそう、里美さん。ありがとう。」




そう言い、史名はゆっくりと、その小さな口でオムライスを食べ始めた。




(味、変じゃないかな、大丈夫かな。)




私がチラリと彼の顔を見ると、「とっても美味しいよ、里美さん!」




彼の言ってくれた言葉が私にはとても嬉しかった。




(良かった。。)




「あ、史名、口元、、」




彼の綺麗な唇についたケチャップを私は手に取り、思わずペロリと舐めた。




史名も私も恥ずかしげに、小さく笑い合った。




少食の彼は食べ終えると、すっかり、お腹がいっぱいの様だった。




食事を済ませると私達はカルピスを飲みながら、椅子ではなく、、ベッドに座りながら、どちらから言い出すわけでもなく、自然と、今までの事を振り返る様に本当に沢山の事を話した。




初めて出会ったあの春の庭、その美しい歌声に私は救われ、二人して涙を流していた事。




勿忘草を二人して眺めたあの日。彼の辛かった過去を聞き、思わずその時も二人して泣いていたね。そして、、初めてキスした時の事。




花屋さんで、あの優しい夫婦とハナや吾朗と、笑い合った瞬間。




どんな一瞬も、私達にとって、誰にも奪う事など出来ない、かけがえのない宝物だ。




出会って、まだ数ヵ月かもしれないが、本当に沢山の事を共に経験してきた。




肩を寄せ合い、時にはキスをして、今までの想い出を話していると、時間はあっという間に日付けが変わる頃になっていた。




「大丈夫?史名、眠たくない?」




「うぅん、今、里美さんといるこの時間が嬉しいから。眠るのが勿体ないよ。」




史名は私の手を握りしめ答えた。




続けて彼は話した。




「実はね、、言ってなかったんだけど、今日の7月7日で、僕18歳になったんだ。」




「え!? そうなの!? 」




私は彼の言葉にもう少し早く言ってくれれば誕生日のプレゼントもケーキも用意したのに、、と思った。




そんな私に史名は続けて話した。




「里美さんが今日、一緒に過ごしてくれる事が一番のプレゼントだよ!」




「ありがとう、里美さん。」




屈託のない笑顔を見せてそう話す彼を私は本当にお誕生日おめでとう、と言い彼を強く抱き締めた。 そして、咄嗟に私は自分のつけている青い天然石のネックレスを彼の首にかけた。 男女どちらがつけても良い感じのネックレスだった。


彼の薄茶色の髪の毛とちょうど、その青色が似合い首回りのサイズもピッタリだった。




「正式なプレゼントは明日すぐに買うね、私の腕輪とおそいろだよ!」




この天然石の腕輪とネックレスは私に取って何年もつけている大切な物だったが、史名の為なら何も惜しくはなかった。




「凄く綺麗だね、この石。僕ずっと大切にするよ。ありがとう里美さん。」




「こちらこそ、いつも、ありがとう史名、これからは、もっともっと沢山の幸せがあるよ、私達はいつまでも一緒だよ。」




私達は見つめ合い、ベッドの上で互いの身体を寄せ合い、再度キスを交わした。




「里美さん、僕は今まで諦めないで生きてきて本当に良かった、貴女に出会えて。。」




「そして、、」




彼は少し間を置いて緊張しがちに話した。




「あの、僕は今まで生きてきて女性と男性がする行為をした事がない。。ましてや、誰かをこんなに好きになれるなんて、絶望していたあの過去の人生で信じられなかった。。里美さん、、貴女と出会うまでは。こんなにも好きになれた里美さんとなら、、」




彼が話し終わらない内に私は彼を再度強く抱き締め、史名の髪の毛をソッと触り、今までで一番想いをこめてキスをした。




「私も、こんなに一人の人を想って、好きになれたのは初めてだよ。出会った頃から、ずっと貴方が私の中にいるよ。。私も史名と一つになりたい。」




電気を消し、ベッドの上で私達は身体を寄せ合い抱き締めあった。 窓からは無数に輝く星々が私達を見守る様に照らしていた。




星空の下、私達は季節を越えて、今、一つになった。


今まで二人して過ごしてきた日々が思い出され、見た事のない愛で心も身体も満たされていく。




薄明かりの中、彼の白い肌の身体がとても美しかった。 学生時代に付き合った龍一や、海辺などで様々な男性の体を今まで見てきたが、男の、いや、人間という生き物の身体がこんなにも美しく感じたのは初めてだった。




「里美さん、僕は貴女に出会えて本当に良かった。これまでの道は貴女に出会う為の長い迷路だったんだ、きっと。。」




「私も幸せだよ。史名が私の価値観を全て変えてくれた。愛してる。」




「僕も愛してる。生涯、愛するのは貴女だけだ。」




どれくらい、抱き締め合っていただろうか、、愛を育んだ後、私達はベッドから窓の景色を眺めた。 夏の夜空には無数に輝く星達が、まるで、プラネタリウムの様にキラキラと美しく光っていた。




あの澄んだ夜空を私は今でも覚えている。星々の事も。。




「あ、夏の大三角だ、それに天の川も見えるね、里美さん。」




史名は星座に詳しかった。




「こと座もわし星座もはくちょう星も皆、綺麗。」




私に身体を寄せながら彼はじっとカーテンから開けた窓の向こうの星座を見ていた。




そんな可愛らしい史名の頭を私の胸元に置き、私達は夜空に光る星を見入っていた。




「里美さん、星になってもずっと一緒だよ。」




彼は短冊に書いた願いと同じ事を言っていた。




「うん、そうだね、まだ、ずっとずっと先の事だけど、星になっても貴方を私は照らし続けるよ。ずっと史名の側にいるよ。」




私の言葉に史名は満面の笑みを浮かべ、プレゼントのネックレスを握りながら「ありがとう」と言い、本当に幸せそうな顔をしていた。




しばらくすると、夜も大分更け、先に史名は私の膝の上で眠りについた。




眠りについた君はどんな夢を見てるんだろう、そんな愛しい彼のサラサラの髪の毛を撫でながら、私も眠りについた。




あの夜、あの時、私は自分の口にした言葉


を覚えている。




そして、、ただ声を聞くで、貴方と側にいるだけで、ずっと共に歩いていける、そう信じていた。




だけど、私の吐いた言葉は今となっては全部、偽りの妄言になっちゃったね史名。。


あの時、真っ直ぐに貴方だけを見て話していた。だけど、あの時告げた言葉は全て嘘になっちゃったんだ、他の誰でもない、私自身のせいで、、そして、、だから、今、君は隣にいないよ。




守る、幸せにする、大切にしてみせる、、私の言葉は全部、弱虫の吐いた嘘っぱちだったんだ。




あの時、貴方と二人して見上げた星達はどこに行っちゃったんだろう。星空は変わらない筈なのに。。




涙で霞む私の瞳には、あの日見た星々は今はもう見えないよ。




溢れる涙の理由は、ただ一つ、願いが叶うならば、もう愛してくれなくて良い、笑ってくれなくて良い、ただただ、もう一度君に会いたい。



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