†S7セプタプル†Sランク能力の最強のオレが異世界で無双する話

田部奎子

序章 いってらっしゃい

――オレの名前は「河合蒼(かわいそう)」


気がついたらここに居た。

神殿の祭壇の様な場所……

目の前には神々しい女性が立っていた


明らかに今まで住んでいた……というか自分の記憶にない場所にオレは居た


?「あぁ、可哀想に……」

女性が優しくオレに語りかけてきた。


――そう、オレの最後の記憶はトラックに轢かれて

多分死んだのだろう……


オレは女性に質問を投げかけた

蒼「あの……ここは?それに貴方は……」


おおよその想像はオレにもついている

恐らくここは死んだ人間の来るところで……


これからこの女性……恐らくは女神さまに

オレの行く末を委ねることになるのだろう


女性はオレの質問に答えてくれた

?「ここは、神の領域です。」

?「私はこの世界の全能の女神フェルノンと申します。」


――やはり、オレは死んだようだ。

神の領域とやらに来てしまっていた。


女神「さて、あなたはこれから死後の世界へ向かうのか……」

女神「それとも別の生き方を選ばれるのか……」

女神「この世界の神として伺っていきますね?」

と、女神さまは伺ってきた。


蒼「死後の世界か……別の生き方……?」

死後の世界……様は死んだ後に行く天国やら地獄の話だろう

では別の生き方とは?


そんな疑問を抱いたオレに女神さまは説明をしてくれた

女神「別の生き方とは異世界へとあなたを転生させ」

女神「そちらの世界で【魔王】を打ち取っていただきたいのです。」


女神さまによると

自身の管轄している世界には秩序を乱す

【魔王】という者たちが複数存在しており


選ばれた勇者であるオレに魔王討伐をお願いしたいとのことだ


――異世界転生……

本やゲームでそれこそ死ぬほど見たり聞いたり遊んだりと

あちこちでやってきた話だ大体の内容はわかる


ということはもしかして……

蒼「女神さま、その異世界転生をする場合は特別な力とか?」

蒼「そういったものはいただけるのでしょうか?」

異世界転生にはチート能力がつきものだ。

ギフトみたいな感じでもらえるのだろうか?


まだ、死後の世界に行くとも、別の世界に転生するとも答えていない

聞いてから選んでも問題はないと思った。


死にたくはないから転生するとは思うけど……


そう思っていたら女神さまはあっさりとこう答えた。

女神「私は全能の女神、お願いを聞いていただく立場でもございますし」

   「勿論、特別な力をお授けします」


――マジかよ!

能力をもらえる上に選べるのか!?


女神「流石に全能とは申しましても」

女神「適性を見極め、候補の中から選んでいただくことにはなりますが」

と少し困ったよう笑顔で女神さまは付け加えた


能力を選べる……振り返ってみればオレの人生。

能力と呼べるようなものはなかったし

俺が思うにおそらく平凡よりも下の存在だった……と思う


何のとりえもなくただただモブのような人生を歩んできた。


就活には失敗したし……

親元からバイトに明け暮れる毎日……


恋人もおらず、休日はもっぱら漫画読んだり

ゲームばっかりやってたっけなぁ……


年齢も35を超えて焦りも世間からの風当たりも何も感じない

なんとなく生きて、なんとなく死んでいく。

やりたいこともないし現状維持ができればいいとか思ってたっけ……


まぁ、なんとなくいつか死ぬのかなとは思ってたけど

思いのほか早く訪れたかな……


実際に死んでみたら以外と死にたくないってことはわかった。

死後の世界に行くのは正直、得体が知れないので怖い。


それに比べれば異世界への転生は大体想像がつくし

能力ももらえる。


この選択肢、死後の世界に行きたいというやつ居るのかな?

能力をもらって転生する方が明らかに良い判断だと思えた。


蒼「女神さま、オレ、異世界転生します。」

オレは迷うことなく異世界転生を選んだ。


女神「まぁ!ありがとうございます。」

女神は嬉しそうに感謝を述べた。


女神「ではギフトとして能力を授けましょう」

そう言うと手をかざし、オレの身体から魂?精神体?の様なものを取り出して鑑定を始めた


女神「なるほど、あなたの適性はわかりました。」

女神「ではここに3つの能力があります」


選択肢として掲示された能力

・全ての魔法を習得した状態で転生する

・全ての技を習得した状態で転生する

・全ての能力を最高の状態で転生する


女神「あなたは素晴らしい適性をお持ちでした」

女神「この中からお好きなものをひとつお選びください。」


すごい…が、ひとつを選ぶのか……

オレにはなんとなくわかる


一つ目の全ての魔法を習得した状態というのはおそらく『魔法』は習得しているが

初めのうちは高度なものは使えないのだろう。

二つ目の『技』も同じだ、魔法が技に代わっているのだろう。


三つ目は『魔法』も『技』も覚えてないが能力が高い状態なのだろう。

正直、全部欲しい。


神からはひとつを選べと言われているのに

全て欲しいというのはどうだろうか?

強欲な者、と何ももらえずに放り出されるかもしれない。


……聞くだけ聞いて、ダメなら三つ目にしようと思い

オレは無茶なことを言っていることを承知で恐る恐る女神さまに聞いてみた

蒼「女神さま、その……能力全てをいただくことは可能でしょうか?」


女神は驚くことも強欲な者と眉をひそめることもなくこういった

女神「可能ですよ」


蒼「え!?可能なのですか!?」

予想外の答えだ、ではなぜ一つを選べと言ったのか?

その疑問にもすぐに答えてくれた


――ただしと付け加えて

女神「一つの能力でも手に余る者もおります。」

女神「あなたがこれらの能力を使いこなすことができると思うのであれば」

女神「そのすべてを授けましょう。」


――オレの答えは決まった。


蒼「女神さま、すべての能力をオレに下さい!」

そりゃもらえるモノはもらう、当然のことだよな?

手に余るのは一つしか選ばなかったからだろう。


これから未知の異世界へと転生し、【魔王】とやらを討伐しなければならない。

そう考えると強ければ強いほうがいい。


当たり前のことだと思った。


女神「了解しました。」

女神「それではあなたにすべての能力を授けましょう。」

女神の手の先から光が溢れ取り出されていた精神体とも魂とも言えそうなものへ

力が注がれていく……


そのままそれらをオレの身体へと戻し転送用と思われる魔法陣が足元に現れた。


女神「さぁ、これから第二のあなたの『物語』がはじまります」

女神「夢と冒険と異世界転生者の世界へ」


女神「いってらっしゃい」

女神は優しい声と微笑みでオレを見送ってくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る