第2話「地獄の特訓!朝5時からパンケーキ地獄!?」

午前5時。どん底高校体育館。


ガラッ。


「……誰も来てねぇじゃん!!!」


神風イサムは、全身バレーウェア(なぜかメイドエプロンつき)で一人仁王立ちしていた。


30分後、ようやく部員たちが集まる。


「おっはよ〜……って、なんでエプロン?え?カフェ部?」

と、寝ぐせ全開の春巻トオルがポリポリ頭をかきながら登場。


「お前ら!今日はスパルタ特訓だ!」


「え、何やるの?」


「パンケーキを1時間で100枚焼く」


「それ料理やんけ!!」

ミライが速攻でツッコむ。


「違う!パンケーキはスパイクの感覚を鍛えるための“生地感覚トレーニング”だ!」


「聞いたことねぇよ!」


しかも、


「うまく焼けなかったら、顔面にぶつけるからな」


「おい、ただの拷問だろ!」



【パンケーキトレーニング開始】


イサム「うおおおおおぉぉ!! 焼けたぞ!!」


トオル「ふわふわでうまそう!」


ミライ「ちょっとそれ食べ……ああぁあああ!?」


——バシッ!!


顔面にパンケーキが命中。

メープルシロップで涙が止まらない。


「甘いけど、辛い……」


「それが青春(あまから)ってやつさ……」


誰がうまいこと言えと⁉



突然の事件!?


そこに、校長が現れる。


「お前たち、なにをしているっ!? ここはパンケーキ部じゃない!バレー部だろうが!」


「違います、これは“バンケーキバレー”です!!」


「新競技つくるなーーっ!!!」


だが校長は何かを思い出したように呟く。


「……バンケーキ……昔、私も青春をかけて焼いたものだ……(遠い目)」


何その過去。深すぎる。



そして試合当日!


とにかく何もかもズレているまま、初の公式戦を迎えるどん底高校。


対戦相手は、超絶強豪・私立パーフェクト学園バレー部。

部員全員、身長190cm以上&モデル級ルックス&IQ150以上。


神風イサムは叫ぶ。


「こいつら……バレー漫画の“最終章の敵”だろっ!?」


しかもキャプテンが名乗った。


「我が名は、セレブ沢ユウキ。特技は“空中レシーブ with ウインク”。」


「お前ぜったいギャグ担当じゃないやろ!?」



しかし奇跡が…!


「よーし!あいつらをパンケーキで油断させよう!」

「作戦名:“スイート・フェイクサーブ”」


パンケーキをラリーしながらサーブ!

レシーブした相手が美味しさのあまり放心状態に!


——その隙に、イサムのスパイクが炸裂!


ズバァァァン!!


観客「え、入った!? 点取った!?」


ミライ「てか、これバレーじゃなくて、パンケーキ合戦じゃん!!」



最後に…


スコアは——

「どん底高校:3点 パーフェクト学園:25点」(完敗)


でも、会場の拍手はなぜかどん底高校に向けられていた。


「笑ったよ…」

「うちの部にもパンケーキマネージャー欲しいな…」


まさかの、ファン急増中。


トオル「勝ってないけど、勝った気分だな……よし、帰ってプリン食おうぜ。」


ミライ「感動したのに締めがプリン!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る