第18話 桃花が呼ぶ

職員室。しずか先生が手を挙げて

俺様達を呼ぶ。

「こっちよ。」

俺様達3人は中へ歩き出した。

もうすぐ、しずか先生の列に。

その時だった。

「ゼノン!」

職員室の入口から金髪ギャルの桃花の

元気な声が響く。

桃花の声でさっきまで見えていたい

球体の時空空間が消えた。

それと同時にザーッという雑音。

日常音が聞こえてきた。

球体の時空空間の消えた3−2組の

星渡先生が「転校生ゼノン。

どうした?保健室行ったり、

教室へ戻ったり。

今度は職員室か。

ゼノン、お前は忙しいな。」

「はい。今は、しずか先生に呼ばれて。」

「そうか。スバルに。それに田畑か。

妙な組み合わせだな。」

そこへ桃花が。

入って来る。「星渡先生。どいて。」

俺様達と星渡先生と背にしずか先生の前に

桃花が立つ。

「先生。今度は、この3人を縛るんですか?

先生、みんなが先生のこと噂してますよ。

前にいた高森くんも先生に呼ばれた次の日に

急に転校。

その前の秋山くんも。

先生がどこかに彼らを連れて行ったんですか?しずか先生!」

スバルが「そういえば、急に2人とも

転校した。

秋山は同じ野球部で甲子園行こうぜって、

守備の特訓を俺と遅くまでやっていた。

野球部の俺たちにも何も連絡なし。

携帯にかけてもつながらない。

この間の試合。秋山がいたら、また違っていたかもしれないな。」

俺様は思い出した。スバルと出会ったあの日。

野球の試合。スバルの涙。

脳内にスバルの声。

『ゼノン。今はそのことは思い出すな。

それより何か空気がおかしいぞ。

すぐこの空間。職員室から出た方がいいぞ。』

『そうだな。俺様の感知データにも異常が点滅している。』

まったくの地球人の宇宙オタクの田畑は何も感じないようだ。

地球人はこれだから・・・

しかしなぜだ。

この桃花は俺様達を迎えに来た。

職員室の空間がまた強制的に異次元空間に移動されようとしている。

目の前のしずか先生の顔がきつくなってこちらをにらむ。

俺様は「しずか先生。俺様は桃花がタイプだ。好みの女子から声がかかれば、もちろん、桃花を優先する。

悪いが答えは今は知りたくない。

いや、言い換えよう知る必要はない。」

後ろの席から星渡先生が「ゼノン。お前は転校して初日から美人の吉田先生に、そんな口調で。大丈夫か?

少しは先生を敬え。」

俺様は振り向き「2組の星渡先生。さっきから度々俺様を助けてくれて感謝している。

それに心配は不要だ。

悪さをしてここに3人呼ばれたわけじゃない。

答えが知りたければの仮だ。仮。

だから俺様達には選ぶ権利がある。

それだけだ。

スバル。田畑。桃花戻るぞ。」

後ろからしずか先生が「ゼノンくん。それでいいんですか?」

「答える必要はない。」

他の先生達もこの会話をみて、聞いている。

しかし誰も入ってこない。星渡先生以外は。

スバルが「こんなものさ。」一言。

田畑は状況がのみ込めず。

桃花も俺様の後ろにピタリとついて来る。

職員室の出口。俺様達、4人は振り返らずに出た。

廊下に出たとたん。

桃花が「わあー。しずか先生、めちゃコワかった。

でも君達3人がいけないいんだぞ。

あの先生は何かわかんないけど生徒を言葉で縛る特殊能力があるみたいで。

それに女子の感?女子生徒はみんな、しずか先生のことキライよ。」

俺様は桃花の方を向いて頭に手を乗せ。

「ありがとう桃花。弱い地球人のくせに俺様達を救おうとしてくれたのか?」

桃花が赤い顔になり。「そうよ。転校日、初日でさようならはないでしょう。

それにしずか先生はもともとはスバルの狙ってた気がしてたの。

でも転校生のゼノンを呼んで。」

田畑が「じゃあ、僕は?」

「田畑。知らないわよ。先生のイケメンって言ってたじゃない?」

「・・・・   」

「何、ふざけてるんだ。

とりあえずここを離れるぞ。

誰かに聞かれている気がする。」

人影がスーッと消えた。

スバルも「そうだな。それに気づいたかゼノン。」

「あー。もちろんさ。しずか先生は宇宙人だ。それも地球人をさらっている悪い方の宇宙人だ。」

「何。それ?」

田畑が喜ぶ。「そうなんだ。ゼノン、聞かせてくれ。その話。」

「そうだな。スバルどこか人がいないところはないのか?」

「部室はどうだ。野球部の部室。」

「昼休みあと28分だ。行ける。」

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