第16話 シーちゃんの宇宙見る見るチャンネル

俺様は田畑と教室に戻る途中、

廊下で担任の星野先生とすれ違った。

「ゼノン。早退しなかったのか。」

「はい。少し面白いことを見つけたので。

星野先生。この地球は興味深い星ですね。」

「そうか。何を見つけたかは知らないが。

ゼノン。まあ、いい。

それに田畑、宇宙オタクの仲間が

できてよかったな。ハハハハ。

2時限目の授受始まるぞ。

早く教室へ戻れ。」

「はい。」

俺様はすれ違いざまに、

「先生、これから楽しくなりますよ。」

星野先生は片手を上げてすれ違って行く。

俺様の脳内に電磁波が

『ゼノン。はじまりは、これからだ。』

星野先生の声が脳内に響く。

田畑が「ゼノン。急げ。授業が始まるぞ。」

俺様達は教室に戻った。

スバルが「ゼノン。早退しなかったのか。」

「そうだ。何やら面白くなって来そうだ。」

「なんだそれ?」

俺様は桃花の横に座る。

桃花は嬉しそうだ。

「ゼノン。2時間目は古典の授業よ。

厳しい先生よ。教科書をみんなにあてて読ませるの。それに特に女子には厳しいの。」

「そうか。」教室のドアが開く。

顔の整った女性の先生だな。

まあ、俺様のタイプではないが。

淡々と授業が始まる。

桃花が言ったように星野先生とは

授業のスタイルが違うようだ。

クラスみんなに均等に答えるように采配している。

自然にこなすとは。桃花は苦手のようだが。

授業の進め方は悪くはないな。

「桃花さん。次の一行を読んでください。」

「はい。つれづれなるままに、日暮らし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。」

「はい。よく読めました。

では、”あやしうこそものぐるほしけれ。”

の部分を現代訳してください。」

「えっ?ムズ。」

「何か、桃花さん言いましたか?」

「いいえ。」

「先週も徒然草は勉強したところですよ。」

「先生、俺様が代わりの答えよう。」

「あなたは?今日転校してきた。

スバルのいとこの

黒沼ゼノン君ですね。いいでしょう。

答えてください。」

俺様は立ち上がり「ここに心あらず。

自分ではない自分。正気を失ったようだ。

でどうかな。先生?」

「その通りですね。ゼノン君は古典が好きなんですか?」

「いや。この地球の過去には興味がない。

ただ。この文章を書いた人物に少し興味があって俺様の脳内メモリーにダウンロードしていただけだ。」

「そうですか。言い方がまるで宇宙人のようなコメントですね。ゼノン君。

この作者も一説によると宇宙人だとか?

ゼノン君もかしら?」

「そうだ。なぜわかる?」

チャイムが鳴る。

「答えを聞きたかったら、昼休み職員室に

来なさい。」

桃花が「ゼノン、はい。って言ったらだめよ。吉田先生は言葉で人を縛るらしいわよ。

噂だけど。」

「なんだそれは?ブラックホール星人の俺様に呪術は通じないさ。」

吉田先生が「あら、ゼノン君。

どうしたの?

そういえばスバル君も中2病だったわね。

2人で来なさい。」

田畑が「先生、僕も宇宙オタクの中2病です。

僕も昼休み行ってもいいですか?」

「はあー。先生はイケメン好きなんだけど。

仕方ないわね。」

桃花が「先生、私も。」

即「だめです。」

「えっーーーーー!」

吉田先生は教室を出て行った。

田畑が「吉田先生の下の名前。

静っていうんだ。シーちゃんの宇宙見る見るチャンネルあれ、たぶん先生だと思うぞ。」

俺様は思わず

「何?探す手間が省けたぞ。」

スバルが「ゼノン、俺は何も聞いていないぞ。

状況を説明してくれ。」

俺様は脳内電磁波で星野先生のこと、

ブラックホール星人に敵対する勢力がこの地球にいること。そして大気圏から地球に突入した俺様を”シーちゃんの宇宙見る見るチャンネル”がネット配信していたこと。

それが吉田しずか先生の可能が高いこと。

「ゼノン。理解した。昼休み行くぞ。」

「そうだな。」







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