第25話 平凡なダンジョン探索
「最近刺激がないなぁ」
モンスターハウスで死にかけてから一か月がすぎた。
透過があるから大丈夫だと思うんだけど、レギオンがある程度成長するまではモンスターハウスには入らないようにしてたんだけど……。
「成長おっせー」
〈レギオンはモンスター百体分なんだら、経験値も百体分なんだろな〉
〈それが十体いるんだから、千体分ですねー〉
〈あんなのが簡単にレベルアップしたら、みんなやる気無くすわよ〉
最近はこの三人以外にも数人見てくれてるっぽい。
閲覧者が五〜九くらいになることが多い。
なかなか二桁にならないけど。
戦闘は数の暴力すぎる。
レギオン達が分割して周囲を囲んで、気を引き
その間に他の部隊が纏レイスで強化された状態で低空飛行で接近する。
そのまま膝を砕いて倒したら、フルボッコ。
戦術もへったくれもない。
最近は武器強化くらいしかやる事ない。
「薙ぎ払え!」
後はゆっくり近づくだけ。
毎日一層ずつ降りてたので、五三十層まで来た。
「ここ降りたら魔法使うのいるんでしたっけ?」
〈今更気にする事じゃないだろ〉
「いやぁ、魔法出てくる前に一回モンスターハウス入ろうかなって思って」
〈飽きてきたんだろ?〉
「え、あ、いやぁ、そんなことー……無いとも言えなくも無いと言えば……無い……かな?」
〈良いんじゃね? 飽きると雑になるしな! 刺激を求めるとか探索者らしくなってきたじゃねぇか!〉
「じゃあ、モンスターハウス探して入りますねぇ」
割と簡単に見つかって、割と簡単に攻略した。
「なんか……何も苦労せずに勝っちゃった」
〈そりゃそうだろう、オッサンは分かって無いだろうが『レギオン』はかなりヤバいモンスターだからな〉
「そうなんですか?」
〈すっとぼけてるなぁ〉
「あ、モンスター見つけました」
あっさり倒した。
〈もう下の階行っても良いんじゃねぇか?〉
「そうですねぇ……あ! モンスター見つけました」
〈今は俺しか見てないんだな〉
「過疎ダンジョンの初心者配信ですからねぇ、むしろ見に来てくれる人居るだけビックリです。 あ! モンスター見つけました」
〈初回配信だけはみんなご祝儀感覚で見に来るけどな、それっきりって方が普通だからなぁ〉
「そうですねぇ……あ! モンスター見つけました」
〈おいおい、多くねぇか?〉
「俺もそう思……またいた!」
なんと、このグループは魔法を撃ってきた。
「え? 魔法?」
〈おい! やべぇかもしれねぇ、すぐボスの所いけ!〉
「はい!」
ボスのいる五三十一層に向かうゲートへ走り出した。
「また居た!」
〈無視しろ走れ! 俺も今いるダンジョンから出る準備してるが、距離があり過ぎる〉
「見えて来まし……ウジャウジャ居ます!」
〈氾濫だ! 緊急ボタン押せ! 俺も全力で向かうからなんとか時間持たせろ!〉
「はい!」
慌てて緊急通信ボタンを押す。
『どうしました!』
「氾濫です! モンスターが溢れて来てます! 後は配信で!」
長く説明してる暇がない!
「皆んな行ってくれ!」
さっきのモンスターハウスでレギオンがかろうじて、レベル1になっている。
レベル1
クラス レギオン(ゴブリン)R4
強さ 1000
・
・
・
今なら十体に分割しても充分戦えるので、レギオンを百体に分割して戦わせる。
ミニクラーケン達は魔法を使いそうな後方にいる奴を攻撃させた。
『瘴気作成』『瘴気操作』コレでアンデッド達に瘴気を与えて一時的なパワーアップをさせる。
こちらの殲滅速度が速いので瞬く間にゲート近辺まで押し戻した。
これなら、なんとかなるな。
と、思ってた時期もありました!
「ウソだろ、あれレッドキャップじゃないか!」
最初の三十分は問題なかったけど、ここに来てレッドキャップが混じり出した。
「アヤさん! 見てますか!? レッドキャップ混じり出しました!」
〈関係各所に連絡入れていますが、どうしても時間がかかってます! ごめんなさい、もう少し頑張って下さい〉
あ! マズイ! 透過が効かない!
「カオスヒール!」
レッドキャップの一部が持ってる武器が透過を無視するようだ。
「イッチ達、あのナイフ持ってる奴を重点的に落とせ!」
視界じゃ見えないけど、感覚的に向かったのが分かった。
「ヒョウ! モン! 右側に! オオマルコマルは左だ! うわ! ワモン! メイ、アンと一緒にあのデカい奴に向かってくれ!」
メイ、アン達は今ゲートから出て来たデカいのに向かわせる。
あれ、絶対特殊個体だろ!
ヤバいな……
「アヤさん……見たことないデカいゴブリンが何体か出て来て……急に他のゴブリンも強くなって来ました」
〈あれは! レッドキャップロードです! 七百層以降じゃないと出てこないやつです〉
「ロードって事は全体に何かバフかけますか?」
〈はい〉
完全に不利になる前に切り札切るか……。
しかし、まだ先見えないのに切って大丈夫か?
いや、ダメだ! このまま戦線崩れたらそれを立て直す力は俺にはない。
「デッドコピーだ!」
これでもなんとかなるんだけど……どうする?
今デッドコピーすれば軍勢は四倍になる。
だが、その後の切り札が無い。
長引けば時間切れで終わる。
今の状態でもなんとか優勢を保てているが、もっとヤバい奴が出て来たらこの数でも抑え切れない。
「ふぅぅぅ」
覚悟を決めるしか無い!
「デッドコピー!」
もう一回使って軍勢を一時的に四倍の数にする。
あとは援軍が間に合うのを祈るしか無いな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます