第23話 モンスターハウス
〈良い? 素早さが重要よ! モンスターが湧き出してくる時間に手際よくやるのよ〉
〈わー、本当に入るんだ〉
〈なんだなんだ? 目を離してるうちに面白い事になってるじゃねぇか〉
「じゃあ、行きます!」
装備は白梅さんのアドバイスで作った装備をマジックポーチにしまい向かっていく。
〈しっかし、この階層は俺らでも面倒くせぇからモンスターハウス行かなかったのに、よく行くなw〉
〈余計なこと言わない! クリアすれば大量経験値で一気にレベルアップなんだから〉
〈でも死んじゃったらどうするんですか?〉
〈あれだけ準備して負ける程彼は弱くないわ!〉
モンスターハウスに入ると、すぐに事前に計画してた通りに動き出す。
メイ、アン、スケルトンクラーケンの空飛べるチームでマキビシを撒いていく。
立て掛けて組み合わせる事で、半円状のドームになるようにしたシールドを大きくなったパワイチを中心に入り口付近に設置してバリケードを作る。
高さはゴブリンに合わせてるので百四十cmほどだ。
そこに、牛頭馬頭が乗れる足場を固定していく。
その足場に乳母車につけているようなバリスタを設置していく。
盾の百三十cmくらいの所に覗き穴があり、裏側にはスケルトン達が待機するトレーの様な台がついて居る。
〈全部サイズが小さいから、オモチャのセットみたいね〉
〈なんか、かわいー〉
「当事者は必死ですけどねぇ!」
間に合った!
近場に湧き出してきた奴らに向けてバリスタを放つ、スケルトンクラーケンの毒付与で毒矢化している。
レイスとスケルトンクラーケン達が少し遠くのゴブリン達へ向かった。
マキビシと一緒に足止め、あわよくば転ばして後ろのゴブリンに踏ませる。
これで同士討ちさせて、少しでも数を減らしていく。
うん、知能が低いだけあって、仲間が転んでもお構い無しに突進してくるな。
ちょうど目の位置にある覗き穴からはスケルトンが身体を柔らかくして伸ばした腕で確実に眼を貫く。
「よし、第二射だ!」
〈あ! 外しちゃった!〉
〈あー、あ、いや何でもない〉
〈え? なんか意味あるの?〉
〈バカ黒〉
「あれは運が良ければ意味があるかもって物なので気にしないでください」
実際はミニクラーケン乗せてるけどなー。
凄い勢いでゴブリンが盾の前に積み重なっていく。
もう覗き穴からじゃ、目を攻撃出来なくなってきた。
「スケルトン部隊と牛頭馬頭は突撃! パワイチは投擲、パワジは牛頭馬頭に続け!」
パワイチには投げ槍の束を持たせて次々投げさせる。
サイズが大きくなってるし、剛力のおかげで威力もかなりある。
「それでも一本で倒すのは無理かぁ」
やっぱり五百層のゴブリンは強すぎる気がするんだよなぁ。
……
……
……
もう三百体くらい倒してると思うんだけど、一向に減った気がしない。
多くね?
〈あのぉ、なんか押されて来てる気がするんですけど〉
〈え、ええ、ちょっと危ないかもしれないわね、数が悪い方に上振れしちゃったわね〉
〈おい! なんかまだ出来る事ねぇか?〉
「そんな事言われても……」
余計な事ばかりが頭をよぎる。
もっと早く探索者始めてれば……。
あの時帰らないでもっとレベル上げておけば……。
不思議とダンジョンデビューした事に後悔は無かった。
「皆さん、せっかくレベルアップに協力してくれたのにごめんなさい! ありがとうございました!」
〈おい! 諦めんなよ! 足掻け! もっと足掻け!〉
そんな事言ったって、俺のやれる事なんてもう無いし……。
ステータスが突然そんな変わるわけじゃ無いし……。
……
……
……
ん!?
四つめの能力が解放されてる?
パーソナルスキル 『粗製濫造』
効果 その一 クリエイト系のスキル使用時の消費MPが九十%軽減される。
その二 自身がクリエイトした物の所持制限が十倍になる。
その三 クリエイトされたもののスペックが九十%低下する。
その四 クリエイトした物を1+(1)回デッドコピーする事が出来る。
デッドコピー? 簡易鑑定かけたらわかるかな?
クリエイトした物と同じものを生み出せるが、デッドコピーの為すぐ壊れる。
すぐ壊れるってどのくらい持つんだ?
悩んでる時間も迷ってる余裕も無い!
「四つめのスキル使います!」
〈お! 覚醒したのか!〉
〈えー覚醒してたんですかーすごーい〉
〈ギリギリ間に合ったのね、よかったわ〉
「デッドコピー!」
「ワタシガメイヨ」
「チガウハ、ワタシガメイヨ」
「アナタハ、アンネ」
「ソウネ、アナタモアンヨ」
「もう一回デッドコピー! デッドコピーした物もクリエイト扱いなのか!」
「「「「ワタシガメイヨ」」」」
「「「「ワタシガアンヨ」」」」
一気に総勢二百体になった!
〈おお! やるじゃねぇか!〉
〈これなら負けないわね〉
〈すごーい、おじさん強ーい〉
いよっしゃぁ! 勝ったぁぁ!
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