第21話 普通にレベリング

「じゃあ、このまま降りますね」


〈一回戻って入り直した方が早いだろ〉


「そうか、それもそうですね」


〈ちなみに何階層まで降りるつもりなの?〉


「当初の予定通り、二百八十層まで降りるつもりです」


〈は? お前何の為に俺たちがレベリング手伝ったんだと思ってるんだ?〉


「え! もっと下行けっていうんですか?」


〈当たり前だろ? 俺たちが鍛えたのに、そんな三流探索者みたいなレベリングしてたように見られる事すんなや!〉


「じゃあ、何層行けば良いんですか?」


〈そりゃ五百だろう〉


「無理ですって!」


〈大丈夫だ、五三十までは魔法職はでねぇ! 下手に魔法職出る階より安定して戦えるはずだ!〉


「そうなんですね! 分かりました! じゃあ一旦戻って五百に入り直します」


〈おう! 頑張れよ!〉


 と、いう事でいったん受付に戻る。


「ただいま戻りましたー」

「あら、早いですね」


「配信で黒鬼さんにもっと下潜れって怒られまして……」

「そうなんですね! あ、ちょうど良かったんで先程届いたオーブも渡しますね!」


「ありがとうございます」

「それと、申し訳無いんですが北海道の統括本部から連絡がありまして、招待制を解除するように言われまして」


「え! なんかありました?」

「ここって他に潜ってる人居ないから、唯一の内部情報を秘匿または占有するのは独占禁止法に抵触するとか言われちゃいまして」


「ええ! マジっすか!」

「本音はバズって儲かりそうだから、公開させろって事だと思いますけどね」


「あ、そうなんですね、良かったなんか罰せられるのかと思った」

「あれ? 怒らないんですか?」


「はい! 特に怒るようなことでも無いんで! じゃあいって来ます!」

 アヤさんも仕事とはいえ、こんなオッサンに親切だよな。


 ダンジョン入ったし、まずは配信をオンに。


 そういえば、貰ったスキルオーブ使って無かったな。

 流石に全部中古か、そりゃそうだよね。


 スキル『盾魔法』獲得

 スキル『簡易治療』獲得

 スキル『簡易鑑定』獲得

 スキル『悪意感知』獲得

 スキル『思考強化』獲得


 えっと、盾魔法はまんま盾が出せる魔法だね。

 熟練するほど強度と大きと持続時間を上げられるらしい。

 優秀な点は魔法でも防げる事、ダメな点は盾で上手く防がないと無意味になる事。


 簡易治療、簡易鑑定、は文字のまんま。

 悪意感知は危害を加えようとするのを感知するらしい。

 感知系では出回ってる方みたいだ。


 思考強化は少し思考力が上がるみたいだけど、本当に少しらしい。

 なお、実感は出来ていない。


 それと武器も作らなきゃな。

 とりあえず、牛頭馬頭ように棘付き棍棒、メイ、アンは本人が懐刀が良いって言うから、匕首を作った。

 あとはスケルトン&スケルトンクラーケン用に槍を順次作っていく感じ。


「せっかくアルケミストとかクラフトマン持ってるんだから、もう少しスキル欲しい」


〈使わないと無理ね、ポーション作成は材料揃わないでしょうけど、強化は素材化したの消費で出来るでしょ?〉


「そういえば強化やった事無いですね」


〈強化する意味ないほど弱い武器だしな〉


「しょうがないじゃないか! 質より量でしか作れないんだから!」


「アブナイワ! ケイカイシテ!」

「ダイジョウブヨ! チュウイシテ!」


 メイとアンが急に両耳で囁き出した。


 この二人違う事言ってるようで同じ事言ってる気がする。

 悪意感知にはまだ何も反応がない。

 相手がこちらに気付いてないから悪意に反応しないって事だよな。


 これが気配感知や危険感知だと反応するんだろうな。

 この微妙な使い勝手の悪さが中古で出回る理由かもな。


「えーっと何処だ? ああ! 居た居た! 結構遠いなぁ」

あんな遠くでも見つけるの凄いな。


「とりあえず、もう少し近づかないとな」

「アブナイワ! イカナイデ!」

「ダイジョウブヨ! ココニイテ!」


あれ? おかしいな?

あんな遠いんだから少し近づかないと戦闘しても経験値入らないだろう。


「なんかあるの?」

「アブナイノ、イッテハダメ」

「ダイジョウブヨ、ココニイテ」


うーん


うちでタフなのは『パワーゾンビ』か。

パワイチ、パワジとメイ、アンで偵察して貰おうかな。

これだけ言うんだから、なんかあるだろう。


「ココヨ!」

「ソコジャナイワ!」

別々のところ指さしてるから、お互い矛盾はしてないな。


おし! じゃあそこまで移動して。

乳母車を斜めにして。

バリスタ発射!


ゴンッという音ともに地面に穴が空いた。


〈あら? おかしいわね、そこのダンジョンにトラップは発生しないはずなんだけど〉


「でも実際有ったわけですし」


〈うーん、ちょっと中見て来てくれない?〉


「メイ、アン、頼める?」

「「ハーイ」」

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