第16話 白梅の実力

「ここまでくる途中でレベル三十超えたわよね?」

「はい、レベル三十どころかレベル五十超えました」

「あら、ボス戦と最低限の遭遇戦でも意外に上がるものね」


「ええ、何度か金棒代わりに振り回された時は死を覚悟しましたがレベルは上がりました」

「すまねぇ、ついに癖でな! でもまぁ、衝撃波で相手は消し飛んでるからオッサンに当たってねぇだろ?」


「まさか自分自身が、衝撃波出す道具になると思ってませんでしたがね!」

「はっは、許せ許せ」


 軽い! 軽すぎる! 言っても仕方がないから我慢するけど! 大人だからね! 大人だから我慢すけどね!


「貴方的には何を増やしたい?」

「小脇に抱えられてまともに戦闘に参加してない俺にそれ聞きます?」


「それもそうね、まぁ後でどうにでも出来るし、とりあえずワイトにしとけば良いんじゃない?」

「了解しました」

「じゃあ、モンスターハウス探すか」


「多分向こうね」

「え!? 分かるんですか?」


「貴方、スキルオーブって知ってる?」

「知りません」

「……ふう」

 ため息つかれた!


「後で検索しときなさい」

「はい」


 そして、また小脇に抱えられる。

「お! 本当にあった」

「黒? 何? 疑ってたの?」


「や、そういうわけじゃねぇが」

「ねぇが、何?」


「と、とにかく中入ろうぜ! 種族変わったしなこっからルール変わってるから、数もそんなにいねぇだろうし」

「何も知らない俺だって知ってますよ! レッドキャップって一匹で中堅探索者百人殺せるって言われる激ヤバモンスターじゃ無いですか!」

 数もそんなじゃねぇよ! 一匹で充分ヤバいんだよ!


「こっちには白梅っていう激ヤバ探索者いるから平気だ!」

「いいから貴方達入るわよ」


 中にはレッドキャップが十匹。


「おっとマックスの数出て来たよ」

 おっとじゃねぇよ! 昔ニュースになった数じゃねぇか! どこかの地域それで壊滅したやつ覚えてるぞ!


「この数じゃ話にならないわね『氷荊』」

 目の前に氷で出来たイバラの鞭が何本も現れ縦横無尽に動き回る。


 絡みかれたレッドキャップはその場で凍りつき氷像のようになっていった。


「見たろ、人外ってのはな、俺みたいのじゃなくて、あーゆー奴に使う言葉だ」

 コクコクコクと小刻みに返事をした。


「余計な話してないで、さっさとあれを素材にレイス作ってしまいなさい」

「はい!」


「この辺なら、魔石が一個二十万になるはずだからな、忘れずに持って帰れよ」

「へ?」

 今までと桁が違った。


「説明してなかったが、魔石って十万で一回頭打ちになるんだわ、んで、こういう特別な魔物になるタイミングでポンと金額が上がって、またそれでしばらく固定だな」


「え、じゃあ強さ関係なく金額が固定されるタイミングがあるんですか?」

「そうだな、魔石で稼ぐなら十万の所でそこそこ数出る階層でするのが一番効率良いだろうな」

 なるほど、覚えておこう。


「どちらにしても今はどんどん降りるわよ、そういう事は明日から考えればいい事よ」

「それにしても、初期のスケルトンすらまだレベルカンストしないんですけど、何レベルまであるんですかね?」


「誰もレベルカンストまで育てた人居ないからわからないけど、このタイミングでまだカンストしないなら百かもね」


「ネクロマンサーは不人気な上に、強くなら無い! その割にゃクリエイト系だからって値段が高いからな、こんなのになる物好きはあんまりいねぇんだよ」

「おそらく最も解明されていない職種の一つね」


「なんか、俺ってかなりレアなケースなんですね」


「そうよ、じゃなきゃ私達が興味持ってやって来ないわ」

「成長したその先に可能性感じるからな、オッサンのスキルとのシナジーで」


 階層を降りる、モンスターハウスでレベル上げをするをしばらく繰り返す。


「最初のスケルトンのレベルがカンストしました!」

 二人にステータスを見せる。


 レベル99

 クラス スケルトン(ゴブリン) R1


 強さ 50

 器用 50

 素早さ 50

 知性 50

 耐久力50

 賢さ 50

 HP 500

 MP 500

 パーソナルスキル 

 クラススキル 再生

        武器操作 派生(強撃)


 ヒョウ レベル99

 クラス スケルトンクラーケン(ブルーリングクラーケン) R1


 強さ 50

 器用 50

 素早さ 50

 知性 50

 耐久力50

 賢さ 50

 HP 500

 MP 500

 パーソナルスキル 毒付与

 クラススキル 再生

        浮遊 派生(倍速移動)


「R1のアンデッドだと能力の上限は50なのね」

「他は違うんですか?」

「ゴーレムだと100行くわよ」


「で? スケルトンは何になれるようになってる?」


「ハイスケルトン、ランサー、ソードマン、スカウト、アーチャー、材質変化型? なんかそんな感じですね」

「あら、普通はR2のハイになるのに、R3のランサー達にもなれるのね」

「いきなり飛び越せるんだな」

「そうなんですね、で、恐らくこの材質変化型がレベルカンストで出た奴なんですが……」

「どういう特徴?」


「スケルトンの硬さを自在に変化出来るみたいです」

「面白そうね」


「スケルトンクラーケンの方はどうなんだ?」

「こっちもハイがおそらくR2でその先の進化先っぽいポイズンとミストがあって、材質変化型になってる」


「思ったよりバリエーション多く無いのね」

「そうですね、ちょっと一体スケルトンを材質変化型にしてもう少し検証しますか?」

「そうね」


 こういう時に数いると便利だな。

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