第11話 俺なんかやっちゃいました?

 さてと、早くも探索者生活三日目だ。


〈今日もよろしくね〉


「皆勤賞だね」


〈貴方が言ってた実験が気になってね〉


「あー、ごめんちょっと準備必要なんで、実験始めるまで少し時間もらうね」


〈準備?〉


「うん、もう一体スケルトンクラーケン作ったので、それの装備作成するから」


〈じゃあ、今はスケルトン七体、スケルトンクラーケン三体なの?〉


「うん、そう」

 話しながら、十三層のゲートを潜った。


〈あら? もう下の階いくの?〉


「実験は十五層の小ボスに試したくて」


〈多分大丈夫だろうけど、ちゃんとレベル上げはしてね〉


「うん、モンスター発見したら回避しないで掃討していくよ」

 そんなこんなで、十五層までやってきた。


 ここでレベル上げする為にしばらくはウロウロと探索して歩く。

「えーっと、なんだこれ?」


 近づくまでは何も無かったのにいきなりドーンとログハウスみたいな建物が現れた。


〈モンスターハウスね、このダンジョンはわかりやすくて良いわね〉


「モンスターハウスっていうと、あのモンスターがいっぱい居るやつ?」


〈そうね、その階層の最大数から最大の倍の数までで出てくるわよ」


「てことは、ここだと十五から三十の間ってこと?」


〈そういう事、いけそう?〉


「もうすぐで五レベルになるんで、なったら挑戦してみるかな」


〈結構順調ね〉


「あ、それで相談なんだけど、ゾンビって居る?」

 五レベルになると、クリエイト上限が増えるだけじゃなく、ゾンビも作成出来る様になる。


〈ネクロマンサーの場合、スケルトン万能、ゾンビタンク、レイスアタッカーって感じだから何体かは用意した方が良いんじゃない?〉


「じゃあ、とりあえず十体作ってみるかな、実際に使ってみて必要なかったら、素材に混ぜれば経験値は無駄にならないし」


〈ところで、さっきから三体目のスケルトンクラーケンが見えないんだけど?〉


「ん? ああ! ここに居るよ! ちょっとカメラをズームするね」


〈ちっちゃ! 貴方の通常サイズで作成したの?〉


「うん、ちょうど良いから今武器も作ってしまうね」

 素材八個を使って極小の足の先につけるかぎ爪を作成する。

 一つの円錐を八分割した形に調整した。


〈なんか先をピッタリつけると、タコ型の弾丸か鏃みたいね〉


「あ、イメージ的にはそんな感じ」


〈なんか面白そうな事してるな!〉


「あ、こんにちわー」

 現状の最大視聴者数に達した。

 増える日は来るのか!


〈それで、運用方法は?〉


「実際やってみた方が早い! ボス戦で試そうと思ってたけどプレ実験て事でモブで試すね」

 そう言って、少しウロウロしてゴブリンの集団を見つけた。


「一体だけ麻痺させて、残りは倒すわ」


 レベルが上がってるせいか、殲滅力が上がってる。

 瞬く間に倒していき、一体を麻痺で拘束した。


「じゃあ、実験! これこうして」


 ゴブリンの耳の中にスケルトンクラーケンを入り込ませた。

 程なくゴブリンも目がグリンと裏返って死亡した。


「脳まで侵入出来たみたいだ」


〈ふう……、ドローンの制御装置出して〉


「え? 制御装置?」


〈良いから早く!〉


「え、あ、はい!」

 慌ててワタワタしながらドローンの端末を取り出す。


〈そこの設定ボタン押して〉


「押しました!」

 勢いに飲まれて、敬語で喋ってるけどしょうがない。


〈撮影終了後にアップロードするって所オフにして〉


「しました!」


〈じゃあ、そこ下の招待制にするってのをオンにして、私たちからの申請にOK出して〉


「了解です!」

 迫力に負けて言われるままにしたけど、俺なんかやっちゃったのかな?


〈やっと安心して発言出来るな〉

〈ずっと無言だったものね〉

〈不用意な発言できないだろ〉

〈それもそうね〉


「あのう、招待申請がもう一人来てるんですが」


〈誰?〉


「受付のアヤさんですね」


〈ギルドかぁ、敵に回す訳にもいかねぇな〉

〈そうね、流石に拒否する訳いかないから、巻き込んでしまいましょう〉


「じゃあ申請にOK出しますね」

 やばい、醸し出される上位者感のせいで完全に俺下っぱムーブしてる。

 わかっちゃいるけどやめられねぇ。


〈どうしました? 何かあったのですか?〉


「あったのかどうかよく分からないんですが、多分ありました」


〈あったわよ〉

〈あったな〉

〈突然設定変更の通知来たんでビックリして〉


「あったみたいです。 ていうか、設定変更するとそっちに通知行くんですか?」


〈管理ダンジョン内の公式配信者だけですけどね、普通何も無いのに設定変更とかしないんで、一応通知来ます〉


「なるほど」


〈で? 何があったのですか?〉

〈その前に私の正体を明かすわ〉

〈じゃあ俺も名乗っておこうかな〉


 あれ? なんか話が大きくなってる?

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