第10話 バリスタ搭載型乳母車爆誕
十二層まで来た。
〈R2はレベル✖︎五十円だから、十一階層じゃかえって安くなるわよ〉
と、視聴者さんに言われたからだ
十二層はR2のゴブリンLV2が最小三体、最大十二体、平均六体くらい出る。
一般的には『ハイゴブリン』と呼ばれているらしい。
これがさらにランクアップしてゴブリンアーチャーやらソードマンやらに分岐していくそうだ。
全部視聴者さんからの受け売りだ。
「ヤバいくらい素材が余っていく……」
〈魔石回収のためとはいえ、ちょっと勿体無いわね〉
「そろそろ自分用の武器作ろうかと思うんだけど」
〈そういえば考えてるとか言ってたな〉
「うん、実験的な部分もあるんだけど、クロスボウ作っても弱すぎて実用的じゃ無いじゃん」
〈そうね〉
「でも、バリスタを作ってそれを小さくするなら、元の攻撃力が高いからそこそこ使える武器になるんじゃ無いかなって」
〈なるほど、やってみる価値はあるわね〉
「今素材は十五個だけ持ち歩いて残りは捨ててるんで、次のゴブリン倒したらそれも素材化して全部使って作ってみるよ」
〈ちょっと面白いな〉
「あ、ゴブリン発見、お前たちやっておしまい!」
色々思いついた事ができるのが楽しくてちょっとテンション上がってる。
こうやって見ると、小さいが故の奇襲成功率の高さは下手にサイズ大きくするより有効かもしれない。
ほぼ無防備な相手にいきなり毒槍が刺さるもんな。
二十四本もの槍が飛び交えば、そこに残ってるのはほぼ元ゴブリンだったもの。
たまに生き残っているのが居ても、周囲から一斉に刺されて死亡するしか無い。
「さてと、早速作成にかかるかな」
バリスタを作成するのに素材が二十個も必要だった。
それで出来上がるのが九十%オフのシロモノなんだから、つくづく性能にこだわった物との相性の悪さを思い知らされるな。
〈バリスタの元々の性能考えたら、完成品の性能は3? 4? そんな所か……ギリ実用として使えるレベルだな〉
〈でもこれどうやって持ち歩くの? 設置して使う物だから持ち運びは不便じゃ無い?〉
「ああ、それだけど」
ベビーカーの幌の部分を外してクラフトマンの技術でバリスタを先端に取り付ける。
重心がかなり前になるので、バランサーとして残った素材を反対側に収納できる様に改造する。
「バリスタ搭載型乳母車爆誕!」
〈バリスタ搭載型乳母車、字面だけはなんかカッコいいわね〉
〈明らかに用途としておかしいけどな〉
完成したし使ってみたいな!
ゴブリンを探しに行こう!
しばらくすると、五体のゴブリンの集団を見つけた。
あえて一体だけ、攻撃の数を減らしてもらう。
「よし! 狙いをつけて発射!」
見事命中したが倒しきれなかった。
〈よっわ〉
〈薄々勘付いてたけど、実用性は皆無ね〉
「これは俺が作ったから弱かっただけで、ちゃんとした人が作ればもっと性能出せるはずだと思う」
〈貴方の場合は元々性能が悪いから影響してないんでしょうけど、サイズを大幅に変えるってかなり性能の劣化起こるのよ〉
〈粗製だからサイズもいい加減に作れるスキルなんだろうな、そのスキル〉
衝撃の新事実が出てきた!
「素材一万個とか集めて、サイズ百倍スケルトン構想もあるんだけど」
〈モンスターにはサイズに上限キャップがあるから無理よ、そんな都合よくいかないわよ〉
グヌヌ、やはりそんな都合良くいかないか。
「……小さい、いや、元のサイズならいけるか……」
〈何ぶつぶつ言ってるの?〉
「あ、いや、ちょっと実験をしてみようかなって思って」
〈なんの?〉
「それは見てのお楽しみって事で、今日はキリの良いのでそろそろ切り上げます」
〈そう、ま、良いわ! お疲れ様〉
あれ? 気づいたらもう一人の視聴者さんは落ちてたみたいだ。
ー 受付所 ー
「戻りましたー」
「お疲れ様ですーどうでした?」
「十二層でレベル上げする事になりました」
「え! 随分ペース早いですね、大丈夫ですか?」
「あ、はい視聴者さんがプロの方らしくて、詳しいので色々教えてくれまして」
「それはラッキーでしたね! 結構居るんですよ、初心者育成が好きなベテランさんって」
「ありがたいです。 それでクラーケンの軟甲って一本くらい余って無いですか?」
「あー捨てちゃいました」
「あちゃー」
「あ、でもまだゴミ袋が裏に置いてあるので多少汚くても良いなら持っていって良いですよ」
「あ、じゃあ、そうします」
サクッとクラーケンの軟甲で、通常サイズ(一cm)のスケルトンクラーケンを作っておいた。
明日はちょっとした実験だな。
【後書き】
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