第8話 クラーケンはイカ? タコ?
翌日、プレハブに来ると潮の香りがした。
「おはようございます」
「あ、ご注文のクラーケンの軟甲用意しましたよ」
「あれ? タコって軟甲無いですよね」
「無いですね」
「ヒョウモンダコがモンスター化したって聞いたんですが」
「モンスターになった時点でタコじゃ無いですから」
「モンスターになったらイカになるんですか?」
「クラーケンはクラーケンですよ」
「な、なるほど」
「はい、じゃあ二百個どうぞ」
そう言って段ボール箱をこちらに渡してきた。
「うわぁ、良くこんなに集められましたね」
「小樽の加工場の廃棄物ですからね、高速で行って帰ってすぐですよ」
「廃棄物?」
「ブルーリングクラーケンは海洋系ダンジョンの浅い場所に割とどこにでも居て、ドロップ品がイカっぽい食感の良いおつまみになるんで、クラーケン加工が盛んなんです」
「あれ? もしかして、イカもどきってクラーケンですか?」
「あぁ、そういう商品名のもありますね。 その加工で捨てられる廃棄物がこれです」
「なるほど、いくらでもあるわけですね」
「はい、スケルトンクラーケンなんて、誰も使ってないモンスターですから頑張って育成して是非バズってくださいね」
「頑張ります! ありがとうございます!」
二日目のダンジョン探索開始だ。
「さてっと、ポチッとな」
今日も配信開始だ。
〈待ってたわ〉
「あの、仕事とか大丈夫なのですか?」
〈私も探索者だから、それなりに稼いでるから大丈夫よ〉
「なるほど、自由業の強みですね! それじゃあ、スケルトンクラーケン作成していきますね」
スケルトンと軟甲百本を材料に、大きさ十cmのスケルトンクラーケンを作る。
あ、てことはゴブリン百体あれば人間台のスケルトンも作れるのか、余裕できたら考えとくかな。
〈かわいい〉
「えっ……これ、可愛いですか?」
思わずスケルトンクラーケンをまじまじと見つめてしまった。
〈可愛いじゃない〉
そっか可愛いんだ……うーん、よく分からん。
〈それよりステータスは?〉
「ん? ああ! はいはい、あ! ステータス全部10になってますね」
〈史上最強のスケルトンクラーケンの完成ね!〉
「ちなみにこんなステータスです」
レベル1
クラス スケルトンクラーケン(ブルーリングクラーケン) R1
強さ 10
器用 10
素早さ 10
知性 10
耐久力10
賢さ 10
HP 100
MP 100
パーソナルスキル 毒付与
クラススキル 再生
「毒付与って、強いんですかね?」
〈知らないわよ、誰もスケルトンクラーケンなんて使ってる人居ないんだから〉
「一回使ってみようかな」
〈もう少し下の階に行かないと分からないわよ、この辺だと普通に一撃で倒せるもの〉
「じゃあ、さっさと下にいきますね」
〈そうね時間の無駄だから、戦闘は出来るだけ避けて五階まで降りてちょうだい〉
「あ! そうだ、そういえば受付のお姉さんから、こんなもの貰ったんだった」
段ボールの底敷いてあった羊皮紙の巻物の様な物を取り出す。
〈貰った× 買わされた⚪︎〉
「あ、こんにちはー」
〈それ絶対、その分の借金が増えてるぞ〉
「そんなに借金増やして俺が死んじゃったらどうするんですかね?」
〈探索者保険がギルドに入って終わり、むしろ死んでもらった方が儲かるまである〉
「え! 俺保険代とか払って無いですよ」
〈ちゃんとその分加算されてるよ、説明受けただろ?〉
全然覚えてない……。
〈その顔は説明全然聞いてなかったって顔ね〉
「あ、はい」
〈あんた、説明書読まないで失敗するタイプのオッサンだろ〉
「く、否定できない」
〈このタイプのダンジョンは大体中央の一番端に下に降りるゲートあるから、真っ直ぐ直進して〉
「了解です! 真っ直ぐ直進します」
ナイス、話題変更!
途中何回かゴブリンに遭遇したけど、本当に一斉にやり投げて終わり。
そして、戦闘中に発見したことがあった為、戦闘方法が変わっている。
「よし! ヒョウとモンを二体で担いでそっと近づいて」
スケルトンクラーケンにはヒョウとモンという名前をつけました。
その方が指示しやすいから。
〈名前のセンス無いな〉
〈名前の付けるなら私に考えさせて欲しかった〉
現在二名のうちの視聴者には不評らしい。
「ヒョウ! モン! 一斉に投射!」
そう、クラーケンはなんと八本の足全部で槍が持てる。
全部の足に槍持たせると移動出来なくなるのは玉に瑕だが、これが強い。
複数のゴブリンもこれで一気に二体倒すので、残りを他のスケルトンで倒せばいいから、かなり効率が良い。
スケルトンクラーケンもう少し増やすかな?
そんこんなであっさり五階層まで来てしまった。
〈次のゲートの前に小ボスいるはずだから、先に向かって〉
「あれ? まだレベル上げしなくて良いんですか?」
〈予想外にスケルトンクラーケンが強いから、もう少し下の階まで行ってしまった方がいいわね、ここでもまで魔石は一個五十円よ〉
「その値段聞いちゃうと、もっと下に行かないとって気になりますね」
〈そもそも、普通はそんなダンジョンに潜ろうとしないけどな!〉
「でもまぁ、私の場合ちょっと特殊ですし、こういう人の居ないダンジョンで良かったかなってちょっと思ってます」
〈良いのかそんな呑気で? そのダンジョンじゃあ、最低でも十層超えないと学生のアルバイトより稼げないぞ?〉
「その為にもレベルアップしないとですね!」
〈あれ? まだレベルアップしてないの?〉
〈この人、三つもクラス取っちゃってるから、レベル上がるの遅いのよ〉
〈うわあ、なんかギルドの受付のねぇちゃんに良い様に扱われて無いか?〉
「いやぁ、でも実際武器作れるの助かってますけどね……あ! アレかな? 小ボスって」
ゲート前に他のよりも体格の良いゴブリンが居るのを見つけた。
ボス戦開始だ!
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