第7話 スケルトン

〈ざっくりとだけど、レベル1から2に上がるのに必要な経験値はレベル1のモンスター✖︎参加してる人数なんだよね〉


「今回だとレベル1モンスター、十一体でレベルが一つ上がる感じですか?」


〈クリエイト系は自身を数に数えないから十体ね〉


「あ、そうなんですね」


〈で、他の表記が変わってないのにステータスだけ上がってるって事は、レベルが小数点で必要経験値も十分の一だった可能性が高いわね〉


「えーっと、という事は?」


〈レベル1になるまでに成長するから、レベルの割にステータスが高いスケルトンになりそうって事よ〉


「なるほど」


〈お願いがあるんだけど〉


「何ですか?」


〈ブルーリングクラーケンでスケルトンクラーケン作って欲しいの〉


「え? クラーケンってタコの魔物ですよね? タコがスケルトンになるんですか?」


〈過去に作られた事があるわ、ヒョウモンダコがモンスター化した物でアンデッド化に成功したんだけど、体長十cmくらいで弱すぎて使い物にならないから作ってすぐ破棄されたスケルトン〉


「弱すぎなんですよね?」


〈貴方の場合はどうせみんな下限値になるから一緒じゃない〉


「それもそうか」


〈スケルトンじゃなくてスケルトンクラーケンっていう特殊なクラスだから、どう成長するか気になるのよね〉


「でも、何で今まで解明されてないんですか?」


〈ネクロマンサーって率いるモンスターの数が他の系統より少ないのよね、五、十、三十、五十、百で各一体づつ増えていく感じだから、そんな雑魚に貴重なリソース割く余裕無いわよ〉


「え? 俺は?」


〈貴方は二体くらい、戦力外でも別に問題ないじゃない〉


「それもそっか、で、何で二体なんですか?」


〈進化の分岐あった時に両方見たいじゃない、それに、他で成長させていないモンスター成長させたら、視聴者数上がると思うわよ〉


「あーやってみたシリーズみたいなノリですかね」


〈多分〉


「素材はどうやって集めれば良いんですか?」


〈受付に頼めばすぐ用意してくれるんじゃ無い?〉


「じゃあ、今から戻ってアヤさんにお願いしてきますね」


〈帰りで良いわよ〉


「でも、二体は変更するんだから、経験値勿体なく無いです?」


〈変更分のモンスターも素材と一緒に使ってしまえば経験値は継承出来るわよ〉


「そうなんですか!」


〈それくらいはネットに幾らでも載ってるからもう少し検索とかした方が良いわよ〉


「はい……すいません」

「ところで、元が十cm程度だったら、俺が作ったら一cmとかになりません?」


〈数揃えれば大きく出来るはずよ、二倍だと二乗の四体って感じで〉


「へぇ、あ! ゴブリン発見しました! 今度こそ上手く倒します!」


 作戦を変える事にした。

 十体のスケルトン全員に麻痺毒を使わせる。

 最初の五体で麻痺らせた後、刃に毒薬を塗った俺が攻撃する。


 麻痺が切れたら、即座に残り五体が麻痺矢を放つ。


「なかなか死なないなぁ」

 何故か立ったままで麻痺しているゴブリンにナイフをザクザクしながら一人ゴチる


〈おっさん弱すぎだろw〉


「あ、こんにちわー」

 本日二人目の視聴者様である。


〈なんか武器でも作ったら?〉


「武器かぁ、一応考えてるのあるんですよね」


〈あ、考えてるんだ〉


「ただ、私に上手く扱えるか心配で」


〈なんで自分の武器の心配してるんだよ!〉

〈貴方じゃなくてスケルトンの武器よ〉


「え? あれ? このクロスボウじゃダメですか?」


〈一層ならそれで充分だろうけど、巻き上げるのに時間かかるから、二層から急に使いづらくなるぞ〉

〈スケルトンのステータスが上がるって分かったんだから、別の武器作った方が良いわね〉


「あー、何作ったら良いですかね?」


〈オススメは投げ槍ね、投げないで普通の槍としても使えるし〉


 視聴者に薦められるままに投げ槍を作って渡していく。

 槍にも毒を塗って、毒の回るスピードを上げていくことにした。


 十五cmの小さいスケルトンが、チマチマとふくらはぎ辺りを攻撃する姿がちょっと可愛い。


「ふむ……」


〈どうした?〉


「いやね、今七体目倒したじゃないですか」


〈そうね〉


「なんか最初より毒回るの早くないかな思いまして」


〈今のスケルトンのステータスはいくつか確認してみて〉


「はい、あ! 3になってる!」


〈レベル1のゴブリンなんて、個体差あるけどステータスは3から5程度だから〉

〈サイズ補正入るから、アレだけどステータス的には一対一でも充分戦える位だもの、それだけ居たら毒とか必要ないんじゃない?〉


「え! そうなんですか! ちょっと試してみます」


 おー! 確かに毒無しでも充分倒せた!

 麻痺部隊も順次麻痺槍に変更していこう。


 全員に行き渡ったところで、先制攻撃用に投げる為に二本目の槍を持たせていく。


「十体で一斉に先制攻撃させたら、それだけで倒せる様になってしまった」


〈時短になってよかったじゃない〉


「いやぁ、素材がベビーカーに入り切らなくなってきてしまって」


〈なんでイチイチ素材化してるんだ?〉


「素材化すると、素材と魔石になるんで、魔石取り出すの楽なもんですから」


〈え? お前ゴブリンの魔石回収してるの?〉

〈もしかして価格わかってない?〉


「へ? 魔石でお金稼ぐするんじゃ無いんですか?」


〈R1モンスターの魔石の値段はレベル×十円よ〉

〈そのダンジョンなら十階までは階層✖️十円ね〉

〈一日中戦っても百匹は倒せないだろ? そんなもん拾ってる暇あったらさっさと階層降りた方が良い、時間の無駄〉


「マジか...」


〈私の予想では五十五体倒せばスケルトンがレベル1になるはずだから、そこまで戦ったら今日は止めにして、明日は五階の小ボス倒すまで進んだ方が良いわね〉


「五階まで行けますかね?」


〈レベル1でスケルトンのステータスが10になるはずでしょ? ステータスだけ見たら十階でも戦えるはずよ〉


「あ、そうなんですか! じゃあ今日はそれ目標にして、帰ります」


〈帰りに受付でスケルトンクラーケンの素材用意して貰うの忘れずにね〉


「はい、分かりました! 色々ありがとうございます」


こうして、一日目の探索はつつがなく終了した。

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