第3話 初クリエイト

「あ、ゴブリンです。 ここのダンジョンは初級なので階層イコール、レベルと出てくる最大数になります」

「じゃあ、五十層だと五十体出てくるんですか?」


「最大ではそうですね。 でも、そんな数モンスターハウスって呼ばれるモンスターがウジャウジャ出てくる所くらいで、大体五体くらいが普通で、たまに十体くらいが出るってのがずっと続きますね」

「なるほど」


「とりあえず、近づいてゴブリン倒しちゃいますね」

 まだ遠くに見えてたゴブリンに一気に近づいて一撃で倒してる。

 え! この人強っ!


「あの、えっと……」

 そういえば、この女の子の名前なんだっけ?


「あ! そういえば名前言ってませんね『大城 綾奈』です。 アヤって呼んで下さい」

「ありがとうございます! アヤさんお強いですね!」


「一応、このダンジョンで戻って来れなくなった人の救援隊も兼ねてるんで、そこそこ強いですよ」

「は〜、凄いなぁ」


「そんな事より、消える前に処理しちゃわないと」

 そういえばダンジョンってモンスター倒して放置すると消えるんだった。


「はい! ……えっと、どうすれば?」

「魔石はモンスターが消えた後もしばらく残るので、何もしなくて大丈夫です」


「というと、何の処理を?」

「スケルトン作るに決まってるじゃないですか! 指とかで良いのでナイフで削って骨見えるようにして下さい。 その骨に向かってスケルトン作成を使って下さい」


「は、はい」

 慌てて、ゴブリンに駆け寄りナイフを取り出して指先を削る。


「あれ? あれ?」

 なんか思ったより上手くいかない。


「慌てなくて大丈夫ですよ! そんなすぐ消えないので」


 何とか指先から白い物が見えた。

 スケルトン作成のスキルを意識すると、簡単に使えた。


「よし! スケルトン完成! ……ちっちゃ!」

「え! 何このスケルトン! どうしてこんな小さくなったの!?」

 約十五cmくらいのスケルトンが目の前に現れた。


 キャラものフィギュアでも小さい方のサイズだぞ。


〈何それ可愛い!〉

〈モンスターは強さとサイズが関連あると言われてるからな、弱いから小さいは当然といえば当然〉

〈ゴブリン素材のスケルトンって一五〇cmくらいだろ? ちょうど十分の一くらいじゃね?〉


「……」

 大丈夫かこれ? 思わず無言でアヤさん見つめちゃったけど。


「と、と、と、とりあえずスペック見ましょ! 考えるのはそれからです!」

「あ、はい」


 レベル0+

 クラス スケルトン(ゴブリン) R1


 強さ 1

 器用 1

 素早さ 1

 知性 1

 耐久力1

 賢さ 1

 HP 10

 MP 10

 パーソナルスキル 

 クラススキル 再生

      

「あれ? 十分の一じゃない!? ちょっとユーザーにも見せちゃって良いですか?」

「あ、はい、どうぞ」


〈スケルトンの元々の数値ってどれくらいだっけ?〉

〈ざっくり五くらい、いきなりスペックバグってんな〉

〈能力値の下限値が1なんだろ? それより下には下がらないって事だろ〉

〈確かに小数点の能力値なんて見た事ないもんな〉


〈お前ら、そんな事よりレベルの方見ろよ、こんな表記初めて見たんだけど〉

〈レベル0とかあり得るのか?〉

〈あるはずだぞ、どこぞの実験で生まれたばかりの赤ん坊にジョブ持たせたら0だったとかいう記事見た事ある〉

〈じゃあ、このスケルトンはレベル0なのか?〉

〈九十%オフなんだから、レベル0.1だろ?〉


〈これレベルアップしたらどうなるんだ?〉

〈分からん、可能性としてレベル1まで0.1づつ上がるかもしれない〉

〈その場合スペックってどうなる?〉

〈クリエイトモンスターはクラスチェンジしない限りレベルアップ時は全ステータス+1だぞ〉

〈面白くなって来た!〉

〈レベルアップはよ!〉

〈いや、そこの女いる限りレベルアップは無理だ、ダンジョン職員で探索者と一緒に潜る奴は最低でも二十五レベルだ〉

〈おおっと、経験値獲得ペナルティ〉


 なんか凄いな。

 みんなやたら詳しい。


「レベル上がらないのですか?」

「はい、私と一緒だと最低でも十五階層下がらないと経験値が入らないですね」


「残念です」

「今日はチュートリアルみたいなもんですから、そんな事より明日から戦えるように準備しますよ」


「……こんなスケルトンで大丈夫でしょうか?」

「大丈夫です! 問題ないです!」


〈あるだろ〉

〈あるな〉

〈大丈夫だ問題ないが既にフラグ〉


 なんかコメントが不穏だ。



【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品はGAウェブ小説コンテスト参加作品です。


 コンテストでは皆さんの応援によるランキングを基準とした読者選考というのがあります。


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