こんなに凄まじい勢いで一気読みしたのは久しぶりでした。
教室に蔓延る空気に肌がひりつくようで、どんどん歪んで壊れていく人間関係から目が離せなくて、気付けばどんどんページを繰っていました。
主人公である栞菜が、とにかく強くて魅力的です。
彼女が帰国したのは、小学生時代からの友人であり、クラスの中心人物であった茉莉が自殺した直後。
ピリついた教室の中、帰国子女で「空気が読めない」彼女は、むしろ積極的に立ち回り、茉莉の死の理由を探っていきます。
栞菜とタッグを組む、隣のクラスの慈郎もまた非常にいいキャラです。
頭が良くて、常に沈着冷静で、かなりの毒舌。
表向きは付き合っている体で情報を共有し合いつつも、完全に信用し合っているわけではない二人のやりとりは、スリリングでクレバーでたいへん性癖に刺さりました。
茉莉がいなくなった後の教室は、出口のない地獄のよう。
教室内のカースト、他者への依存、自尊心とマウント。猜疑心、結託と離反、絶えず入れ替わる人物相関。
クラスメイトたちとSNSで繋がる、正体不明の女子生徒が鍵を握っているようで——?
そして、非の打ち所のない完璧な優等生だった茉莉の素顔とは?
この年代だからこそのやりとりや心理の動きが非常にリアルでした。
みんな少しずつ歯車が狂っていくけれど、誰が悪とも言い切れない。
エピローグまで読み終えた時、否が応でもこの先も続いていく「人生」というものに、思いを馳せずにはいられませんでした。
あっという間にラストまで行き着くこと間違いなし! おすすめです!